大学の新卒採用では経団連が2021年卒から必要な人材を採用する「通年採用」を拡大することを大学側と合意しました。

通年採用が実現すると内定出しの早期化がより加速化することが予想されますね。
この早期内定率、高卒採用についても考えてみました。

（１）新卒採用のスケジュール変更が与える影響は？

大卒新卒採用においてはそれまで、採用広報の解禁は12月、選考の解禁は4月というスケジュールでした。
これが、2016年卒に対しては、それぞれの時期を後ろにずらし、採用広報の解禁は3月、選考の解禁は8月へと変更になりました。
変更の背景には、学業への影響（就職活動の早期化に対する懸念）がありました。
しかし、それでも学業と就職活動の並行が難しかったことから、2017年には採用広報は3月解禁、選考は6月解禁と変更となっています。

とはいえ、これは経団連が唱える採用スケジュールのルールです。
経団連に加盟しない企業の多くはこのルールを守っていません。

現在の人手不足問題による「採用難」では、早い時期から採用活動を始めて学生を囲い込もうとする企業が多数です。

実際、年々企業が内定を出す時期は早まっており、5月1日時点の内定率は2020年卒で51.4%、2年前と比べて約1割高くなっています。

出典:『就職プロセス調査（2020年卒）【確報版】「2019年7月1日時点 内定状況」』リクルートキャリア 就職みらい研究所

（２）高卒採用でも早期化が起きている！？

一方で同じ若手採用でも高卒採用の場合はどうでしょうか？

高校による紹介（高校斡旋）では、高校生の就職活動は7月に求人票が解禁され、9月5日に応募受付を開始、9月16日以降に選考、内定開始というルールがあります。
こちらは大卒と異なり、厳密なルールとして各企業がこれに従って採用活動を進めます。

また、高卒採用には主に「一次応募」「二次応募」があります。
一次応募は、上記の通り9月に選考を行うもので、高校生の大半がこの一次応募で就職先を決定します。
二次応募は、一次で決まらなかった学生ということばかりではなく、部活や公務員試験、大学進学等との兼ね合いで一次応募の段階で就職活動ができなかった学生も多く含まれます。

出典:『平成30年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ』厚生労働省

さて、ここで注目したいのが時期別の内定率です。
厚生労働省発表データによると、5年前と比較して、9月末内定率は17.1%も上昇しています。
公務員試験の受験率や大学進学率がこの5年でそれほど大きく変化をしていないとすると、早い時期に内定率が高くなったのは企業側の要因が大きいと言えるでしょう。
ひとつは、求人数の増加＝学生の選択肢が増えたことで、マッチングがしやすくなったということ。
また、高卒採用を新たに始めた企業が、数年採用活動を行なって独特なルールに慣れ、スムーズに内定を出せるようになっているのかもしれません。

（３）高卒採用、早期化への対策は？

高卒採用は大卒採用と異なり、採用スケジュールが厳密です。
そのため、大卒採用のように競って採用活動を前倒し前倒しし早期化するということは学校斡旋が高卒採用の中心である今のところはありません。
高卒採用の中心は「一次応募」。
この一次応募での内定に向けて、事前の準備を怠らないことがが大切です。

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