【2019年10月時点】高卒採用市場の「これから」はどうなる?
令和2年3月に高校を卒業する生徒への求人数は厚生労働省発表によると、約44万3千人で年々高卒採用の人気が高まっています。
(令和元年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめより)
今回は高卒採用市場の「これから」はどうなるのか、統計データを元に予想いたしました。
目次
(1)年々増える高卒求人
(2)今後、高卒就職者は増える?減る?
(3)変わる競争環境
(4)中小企業の採用戦略は?
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(1)年々増える高卒求人
出典:『平成29年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ』厚生労働省
企業の人材不足、採用難は続く一方、これは高卒採用の求人数にも表れています。
グラフにある通り求人数は右肩上がり、6年前の2倍程度となっています。
一方で、就職者数は通信制高校を卒業し就職する生徒(平成31年で11,026人)を含めて約18万人でほぼ横ばいで、それまでは比較的穏やかだった高卒採用は競争が激しくなりつつあります。
(2)今後、高卒就職者は増える?減る?
高卒就職者は、18歳人口のうちどれくらいの高校生が高校を卒業して就職するか(就職率)で計算ができます。
まず、18歳人口について。
少子化の影響で18歳人口は減ります。
出典:『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』国立社会保障・人口問題研究所
どれくらい減るかというと、2015年を100%とすれば、2020年で94%、2025年で90%、2030年で84%、、、というようにおよそ年に1%程度は減っていくと予想されます。
続いて就職率。
人口は減っても、就職(希望)率が上がれば、就職者数は維持もしくは増加する可能性もあります。
出典:『平成29年度 学校基本調査』文部科学省
高校生の進路は大きく「大学」「専門学校」「就職」に分類できます。
大学進学率はこの10年程度で見れば50%強で推移しています。今後は政策や学校の戦略など様々ありますが、進学率は増加すると予想されています。
増える進学率が、就職希望からの移行か、専門学校希望からの移行かという観点はあるものの、高卒就職者は減少すると予想されます。
(3)変わる競争環境
増える求人数、減る高卒就職者数、この状況が企業にどのような影響を与えるでしょうか。
出典:『高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況取りまとめ』厚生労働省のデータをもとにグラフを作成
高卒採用の求人全体に占める、従業員規模100名未満の企業の求人数割合は約6割で圧倒的多数です。
この5年でその比率は62.1%から60.3%と1.8%減りました。この数字だけ見ると大した減少ではありませんが、高卒全体に占める割合からすると決して少なくありません。
割合が減少した理由は、従業員規模500名以上の企業の求人数の増加です。実に5年前と比較して求人数は約25,000増えています。
規模の大きい企業が高卒求人数を増やした理由の一つは、大卒採用で充足しなかったため、他の若手人材に注目しはじめたということが考えられます。
大卒、高卒を総合的に「新卒採用」として捉えて採用計画を作る、これまでよりも高卒採用人数を増やすことで充足を果たしたいのではないでしょうか。
また、一般的に、売り手市場になればなるほど、求職者は「待遇」や「安定」を求める傾向にあります。
高卒就職者は17万人です。H31卒の卒業生に対して500名規模以上の求人総数は約64,000、高校生にとっては大企業への就職もだいぶ現実味を帯びているようです。
大企業は、採用にかけられるコスト・人員は小企業に比べれば多くあるのは間違えありません。
また、「知名度」は採用に有利に働きます。
高卒採用においても、中小企業には厳しい競争環境になっています。
(4)中小企業の採用戦略は?
それでもまだ、中小企業にとって高卒採用は他の人材よりも有利に採用活動ができます。
なぜなら、学校の紹介を経て採用活動を行う場合、先生に自社のことを良く知ってもらい、それを生徒に知らせてもらえれば、生徒独自の価値基準だけでは就職先を選びません。
裏を返せば大学の新卒採用では当たり前の「大量の母集団形成」や「内定辞退対策」などを不要にさせ、もろもろの採用活動コストを抑えてくれることにもつながります。
今はまだ戦略的に行えば勝てる採用市場です。