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採用にも影響するリテンションの意味と人事におけるリテンション強化方法

近年、多くの企業で高い離職率や採用難による人材不足が問題になる中、注目を集めているのが「リテンション」という言葉です。本記事では企業の人事活動における「リテンション」の意味やメリットの他、リテンション強化のための施策について解説します。末尾では高卒人材に対して取り入れたいリテンション施策についてご紹介します。


1、リテンションとは?

リテンション(retention)とは、「保持」や「保有」などを意味する英単語です。しかし近年では、この意味が転じてビジネスの人事領域において「従業員の定着度」という意味で使われるようになりました。あるいは、従業員のリテンションを高めるための企業の取り組みそのものをリテンションと呼ぶ場合もあります。その際は「従業員のリテンションをする」などの用法で使われます。また、マーケティング分野でもリテンションという言葉が使われることがありますが、こちらの場合は「顧客の定着化」という意味で使用されます。

リテンションが注視されている理由

リテンションがいま注目を集めている理由は、大きく言えば「人手不足の深刻化」によります。
元々、リテンションは人材の流動性が高いアメリカで発達した概念です。終身雇用制が機能し、労働者の意識としても、ひとつの会社で定年まで勤め上げるのがよしとされていた日本ではそれほど注目されていませんでした。しかし最近では、日本においてもキャリアアップの手段として転職を肯定的に捉える傾向が高まってきています。そのため転職は当然の選択肢となり、人材の流動性が高まっています。

近年は、深刻な少子高齢化の影響によって労働者人口そのものが減少しつつあり、企業はさらなる慢性的な採用難に悩まされています。このような状況に直面している企業は、人材定着にフォーカスしてリテンションを高められるように努力する必要性に迫られています。

2、リテンションを強化する目的とメリット

企業がリテンションを強化することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。続いては、リテンションのメリットと目的について解説します。

リテンションで採用にかかるコスト削減につなげる

リテンションを高めることは、従業員の離職を抑制することと同義です。離職率が下がることによって、離職者が抜けた穴を埋めるための採用活動が不要になるため、採用活動に関わる経済的コストを削減できます。また、引き継ぎや研修、採用活動などの手間が減ることで、人事部門を中心に人的コストも削減できます。

リテンションで社内の生産性を向上させる

リテンションが高まり、人材が長く安定して働くようになることで、社内の人間関係やチームワークが成熟し、生産性の向上が期待できます。良好な人間関係は職場全体の魅力を高め、さらにリテンションを高める好サイクルをもたらすでしょう。また、中途退職という不安要素が減って人材が安定することにより、人材の配分を最適化しやすくなるのも重要なポイントです。

リテンションは事業の継続性を確保するうえでも鍵となる

リテンションの向上は、長期的な事業の継続性を確保するうえでも重要です。長く勤続する従業員が増えることで、社内には業務上有用なノウハウが蓄積され、同時に流出もしにくくなります。また、取引先企業との渉外活動においても、担当者が入れ替わらないことで安定的な関係の構築がしやすくなるでしょう。

採用にも影響するリテンション

リテンションの向上は採用活動にも大きな影響を与えます。ITの進化によってさまざまな形で情報を得ることが可能になった現在、求職者は就職先の選定に当たって、離職率や在職者・離職者の口コミなども調べているのが当然です。そこで悪印象を与えてしまうと応募者は減り、人材の質も期待できなくなってくるでしょう。そもそもの適性が低い人材を雇用してしまうと、リテンションは当然下がりやすくなってしまい、悪循環に陥ってしまいます。逆に言えば、リテンションを高めることは就労環境の良い職場として、就職市場における強みにもなります。


3、リテンションを強化するための施策

ここまで見てきたように、リテンションの強化にはさまざまなメリットがありますが、どのような取り組みをすればそれが実現するのでしょうか。以下では、リテンションを強化するための具体的な施策について解説します。

ミスマッチを解消する

リテンションを強化するためには、採用段階からすでに注意する必要があります。というのも、そもそも自社の活動にそぐわない人材を採用したり、その人材の希望や適性に合わない部署に配属したりしていては、早期離職さえ起きかねないからです。

こうしたミスマッチを解消するためには、契約前の採用段階から誠実で適切な説明に努めて配属先の希望をヒアリングし、可能な限り反映するといった取り組みが必要です。もちろん、応募者の希望をすべて叶えるのは難しい側面もあるでしょう。しかしその場合も、キャリアパスを示して、ミスマッチ解消の希望を与えることで納得感を得られやすくなります。こうした対応は就業後の人事異動においても同様に重要です。

個々の能力を発揮できるようにする

特に若い世代の人材は、企業に対して給与や待遇の良さだけではなく、「やりがい」や「自己実現の場」を求めている傾向があります。それゆえ、責任の伴う仕事を積極的に与えて個々の能力を発揮しやすい状況を整えたり、スキルアップの支援制度を作ったりして、従業員の仕事に対するモチベーションを高めることが大切です。また、透明性のある適切な評価制度を設ければ、従業員は「自分の仕事がきちんと見てもらえている」という安心感を得やすく、目的意識を持って仕事ができる環境が整います。

社員間のコミュニケーションを改善する

社員間のコミュニケーションを改善することでも、リテンションの強化は実現できます。不適切な人間関係は従業員の精神に大きなストレスを与え、ときには離職という決断に至らせます。こうした事態を防ぐには、セクハラやパワハラなどのハラスメント対策などはもちろんのこと、日頃から従業員の不満を見逃さないためのこまめなコミュニケーションが重要です。とはいえ、現在はいわゆる「飲みニケーション」など、職場での過剰なコミュニケーションに抵抗がある人も多くなっています。そのため、あくまでも相手の自主性を重んじた人間関係を構築するように心がけましょう。


4、高卒人材へのリテンション

続いては、従業員へのリテンションについて、特に高卒人材に対して配慮すべき事柄について解説します。

高卒人材には早期のリテンションが重要に

離職率の抑制という観点から考えた場合、特にフォーカスすべき対象となるのが離職率の高い新入社員です。なかでも高卒人材の就職後3年以内の離職率は、厚生労働省の調べによると約4割にも上ります。
特に従業員数の少ない中小企業ほど離職率が顕著であり、従業員500名未満の企業の平均離職率は約5割です。このように早期離職が常態化している高卒人材のリテンションを強化するには、企業側が高校生の立場に立って早期に丁寧なフォローを実施することが不可欠です。

参照元:厚生労働省 プレスリリース 新規学卒就職者の離職状況 令和2年10月https://www.mhlw.go.jp/content/11652000/000689481.pdf

高卒人材に施すべきリテンション

高卒人材の高い離職率の主要な原因は、「ミスマッチ」と「人間関係の問題」によるところが大きいと考えられます。高卒での就職活動は学校を仲介した斡旋も多く、生徒側が十分な企業情報を持たないまま進んでしまうケースも見受けられます。また、高校生以下であればアルバイト経験も少なく、校外での社会経験自体が乏しい生徒も多いでしょう。

そのため、企業としてはミスマッチを避けるために、まず採用段階にできるだけ誠実かつ丁寧に、自社の企業情報や従事してもらう業務について説明することが大事です。また、高校生にとっては「大人」ばかりの職場に馴染みやすいように、職場全体であたたかく迎え入れるように配慮することも必要でしょう。
高卒人材のリテンションについて、下記の記事においてより詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。


5、まとめ

本記事では、企業の人事活動において重要なリテンションについて解説しました。リテンションとは、「従業員の会社への定着度」やその改善のための取り組みを意味します。今後人手不足がさらに深刻化することが懸念される中、リテンションへの取り組みは全ての企業にとって喫緊の課題です。特に高卒人材に対しては、早期のリテンションが欠かせません。適切なリテンションを実施し、ぜひ高卒人材が能力を発揮できる企業になるようにお取り組みください。

 

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