コロナでどう変わる?高校の進路指導の先生に聞く10の質問 | 記事一覧 | 高卒採用Lab 高校生採用を科学する

コロナでどう変わる?高校の進路指導の先生に聞く10の質問

例年通り7月1日(水)の高校生への新卒採用の求人情報の解禁が近づいておりますが、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で採用活動が思うように進められず、お悩みの企業様も多いのではないでしょうか?

本記事では、今、全日・定時・通信制高校の進路指導の先生が『今後どのように就職活動を進めていくのか』『企業に期待していること』など、リアルな現場の声をお届けいたします。

目次

(1)新型コロナの影響で変わる高卒採用
(2)先生に聞く!これからの就職活動
(3)先生に聞く!企業がこれからするべきこと
(4)まとめ

(1)新型コロナの影響で変わる高卒採用

高卒採用では、例年7月月初に求人情報の解禁が行われ、全国の高校に企業の求人情報が届きます。2021年3月卒でも、2020年7月1日(水)に求人が解禁されます。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、全国の高等学校で臨時休業期間があったことにより、文部科学省及び厚生労働省より、2021年3月に高等学校を卒業する生徒の応募期日は9月5日から10月5日へ、採用選考期日について、現行の9月16日から10月16日へ変更することが発表されました。

新規高等学校卒業者の就職準備期間が1ヶ月長くなることで、自己分析、先生との面談、企業の求人情報収集などの準備期間を確保できるようになります。
一方で、選考期間を1ヶ月後ろ倒す分、内定の出る時期も1ヶ月遅くなります。1社目の選考結果が不合格だった場合、2社目の応募時期も遅くなってしまいます。また選考期日まで1ヶ月間を授業の遅れを取り戻すための期間に充てられたり、予め先生の元へ企業情報が届いていないことから、生徒が不安を抱えたり、準備が十分に出来ないまま就職活動に臨むことも懸念されます。期間が1か月延びたからといって高校生にとってミスマッチのないな就職活動が保証される訳ではありません。

企業には1ヶ月増えた求人情報PR期間に充分な情報発信することが求められます。

(2)先生に聞く!これからの就職活動

7月から本格的に高校生の就職活動が始まりますが、例年通りにいかない中、高校現場で進路指導を行う先生はどのような考えや不安をお持ちなのでしょうか?

そこで就職人数が10~15名から100名前後の高校など、全日・定時・通信と様々な課程の高校の進路指導の先生9名に『今後どのように就職活動を進めていくのか』『企業に期待していること』など、ヒアリングを行いました。

①就職を考えている子にはどんな生徒が多いですか?

学年や傾向は毎年違うが、おとなしくてまじめな生徒が多い(東京 / 通信)

・やんちゃな子や留学生、まじめな子まで様々な子がいます(東京 / 定時)

・決められたことを継続的に作業することが得意な生徒(三重 / 通信)

・進学して学びたいことがない生徒や早くお金を稼がなければならない生徒(大阪 / 全日)

高校や課程によっても違いはありますが、就職を考えている高校生には固定の特徴があるわけではなく、様々な生徒がいることが分かります。

②就職活動スケジュールを教えてください。

【東京 / 定時制のスケジュール例】

6月:生徒とのオンライン面談

7月:企業説明会参加・ハローワーク含む求人整理

8月:業界研究・自己分析

9月:職場見学・就職先決定

10月:履歴書提出(応募)→面接

高校によってスケジュールに多少のズレはありますが、選考期日の後ろ倒しを受けて改めてスケジュールの変更をする学校もあります。休校期間中にオンラインで生徒との面談を行い、滞りなく就職準備を進められている高校もあれば、思うように進められなかった高校もあるため、高校によって今後のスケジュールに差が出てきそうです。

ただ、本来であれば4月~6月の間に時間をかけて行っていたはずの自己分析や業界研究に費やす期間の減少により、ミスマッチなどのリスクも考えられます。求人情報が解禁される7月から応募が始まる10月にかけての準備期間の動き方が肝になってくると予想されます。

③今年、企業が学校訪問をするとしたらどの時期が好ましいですか?

多くの回答が6月~8月の訪問を希望している先生が多い結果でした。しかし、中には4月に入る前に企業の求人情報をいち早くキャッチしたいということで、2~3月の訪問を希望するという声もありました。

7月に入ると、求人情報の解禁と同時に多くの企業が求人票を持って学校訪問を始めるため、予め交流のある学校にはアポイントをしっかりとって他社とは時期をずらして訪問するのも差別化できるポイントです。

④今年、先生はどのように企業・求人の情報収集を行っていますか

・過去の求人票、企業さんが訪問・郵送してくれたものなど(東京/定時)

・民間企業の名刺交換会や合同企業説明会への参加(東京/通信)

インターネット、就職斡旋会社、ハローワークなど(大阪/全日)

・企業訪問・企業への電話で求人状況を確認(福岡/全日

先生からの回答として多くあがったのは、例年通り各地域の「ハローワークでの情報収集」に加えて「昨年度に届いた求人票」や「先生が企業訪問する」でした。新しい求人情報が手に入りづらい分、これまでの求人情報を参考にしている先生が多いようです。

今年から高卒採用を始める企業は、これまで高校との繋がりがない分、積極的に高校へ求人情報を届けることが重要です。

また、先生の企業訪問と同様に企業からの学校訪問も制限されている状況をが続く中、インターネットでの情報収集や民間企業のサポートを必要だと感じている先生もいらっしゃいます。

⑤企業が学校訪問する場合、どんな情報が欲しいですか?

・欲しい人物像、高校から近い地域で配属されるか(東京 / 通信)

・企業の想い、離職率、配属地(東京 / 定時)

これまで高卒求人に少なかった業種や業界の企業情報。今年度のコロナの影響により社員教育や社内体制がどこまで変わるかのリアルな情報。(福岡 / 全日)

・コロナ禍での採用活動が例年とどう異なるか(三重 / 通信)

・求人票に記載されている内容に加えて、生徒が就職をした後の具体的な仕事内容(大阪 / 全日)

離職率や教育環境など(大阪 / 全日)

・高卒就職者の現状 通信制高校生受け入れの是非(過去の実績)等(兵庫 / 通信)

回答として1番多かったのは勤務地や離職率に加えて「企業の雰囲気」や「高校生に対する想い」など求人票では図ることの出来ない内容でした。また、企業と生徒とのミスマッチをなくすためにも入社後の定着を重視した「企業側がどのような生徒を求めているのかを知りたい」という回答が多く見られました。

今年度ならではの回答としては、「コロナ禍で企業側の採用スケジュールはどう変わるか」「コロナの影響により社員教育や社内体制がどこまで変わるのか」など、新型コロナウイルスの影響で変わってくる現場の状況を不安視している先生も多いようです。

⑥企業が訪問以外でコンタクトを取れる手段はありますか

課程や学科を問わず、どの高校に関しても1番最初にあげたのは「電話」または「メール」での連絡を希望するという回答でした。

続いて、「Fax」や「オンライン会議」という回答もありました。

通信制や定時制の高校現場では全日制の公立高校に比べて、オンラインでのやり取りのノウハウや設備が整っていることが多く、従来通りの電話やメールに加えてオンラインでの情報収集に積極的なようです。

(3)先生に聞く!企業がこれからするべきこと

次に、新型コロナウイルス感染症の影響で企業と接点が取れていない中、先生や生徒が実際に企業に何を求めているのかをまとめました。限られた時間の中で、効率的かつスピード感をもって高校現場に情報をお届けすることが大切になってきます。

企業と高校生がお互いのことをしっかりと知った上でのマッチングが採用後の離職率軽減で要となります。求人条件以外で先生や生徒が注目しているポイントを押さえておきましょう。

⑦ 高校生は企業のどこを見ていますか?

・勤務地、給与、職務内容、就業時間、休日日数などの福利厚生

・社風と職場環境

企業の魅力を伝えることはもちろん大切なことですのが、高校生が職場見学の際に最も気にしている点は「企業の雰囲気」「職場の環境」など、実際に職場見学に行かないと分からない項目も多いようです。

⑧ 先生は企業のどこを見ていますか?

先生の注目ポイントを見てみると、生徒が注目する視点とは違いが見られます。

・教育環境など入社後に成長できるかどうか(東京 / 全日)

・企業の社員に対する思いや将来性(東京 / 定時)

採用数と離職数を意識して見るようにしている(大阪 / 全日)

・勤務地、給与、職務内容、就業時間などの福利厚生(兵庫 / 通信)

先生が見ているポイントは求人情報はもちろんですが、社員を一人の人間として、どのように評価しそしてその個性を活かしているのか、そして入社した生徒がどのように活躍できそうかなど、入社後の先を見据えて考えていることが分かります。

⑨ 就職後、企業に期待することは何ですか?

・教育環境やキャリアアップが出来るかどうか(東京 / 定時)

・やりがいを持って継続的に働けること(大阪 / 全日)

・社内の雰囲気(福岡 / 全日)

⑧の回答からも見られるように、やはり多くの先生方が「社内の雰囲気」や「成長できる環境」など、入社後の企業の対応に期待を寄せています。

⑩ 最後に企業に向けて伝えたいこと

・通信制高校にも、全日制高校同様の求人情報が欲しい。(東京 / 通信)

・通信制に偏見が少なからずあるかと思いますが、優秀な生徒も在籍しているので、そういった生徒にも目を向けてほしい。(東京 / 通信)

・どうか高卒採用を継続してください。(大阪 / 通信)

・働き方改革やテレワーク、時差出勤など、劇的な就労環境の変化があった数年かと思います。企業の継続的な発展に最も大切なことは「人財」かと思います。一人一人が企業発展に貢献している実感が持てるような人間性を高校生活の中で培えるように取り組んでいきます。(三重 / 通信)

・現在の就職のルール下でも、生徒の社会に対するイメージのギャップをなくすためのいろんな情報や企画があるとうれしい。(福岡 / 全日)

(4)まとめ

以上が、実際に高校の進路指導の先生に聞いた『今後どのように就職活動を進めていくのか』『企業に期待していること』についてのポイントです。

今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により高卒採用にも「イベントの中止」や「採用スケジュールの若干の遅れ」など影響が出ています。採用活動を不安に思う企業も多いかと思いますが、それ以上に学校現場では「求人の数」や「生徒が望む企業に行かせてあげられるのか」など、不安に思われている先生が多くいます。また、今後も社会や経済の情勢や新型コロナウイルスの第二波、第三波のがどのような影響を及ぼすのか、予想できないこともあります。

現在の社会の情勢や現場の状況など情報収集を行い、限られた期間や動き方の中で、1人でも多くの高校生に求人情報を届けることが大切です。有意義な採用活動を行えるようにしましょう。新型コロナウイルス感染症の影響を受けてイレギュラーな採用活動何るかと思いますが、少しでも今後の希望をお持ちいただけますと幸いです。

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