【独自調査】新型コロナは高校生の進路選択にどんな影響を与えた?
新型コロナウイルス感染症は高校生の進路選択にも影響をもたらしました。高校生がコロナの影響により進路選択を変更しているかどうか、またどのような考えで決断に及んでいるのか当社の独自調査を元に考察をしていきます。
(1)就職か進学か、新型コロナによる高校生の進路選択の逡巡
「コロナ不況で高校生向け求人数は減る、希望職種の募集も少ないだろう。環境が悪い中での就職活動はいったんやめて進学に変更しよう」「両親の仕事への影響が大きくなっている。学費を負担させるわけにはいかない。早いうちから働いて、少しでも家計の支えにならないと」どちらも、今の高校生の頭の中にある考えです。新型コロナウィルス感染症の経済への影響が顕著になる中、進路選択に悩む高校生は少なくありません。高校生が今の状況をどう捉えるかで、進路選択の決断は異なります。こうした高校生の変化を分類するとこうなります。
A.進路変更なし
就職にしろ進学にしろ、コロナ前から考えていた進路方針に何ら変更はしない高校生です。
B.就職に悲観的→就職から進学に進路変更
無理に就職をして後悔するよりは、進学してその間にコロナ不況の回復や改善に期待をしようと進路を考えます。特に、コロナ不況で飲食や宿泊・観光業は大きなダメージを受けています。こういった業界・職種への就職を希望していた高校生にとって、今年の募集状況は極めて厳しいでしょう。
C.就職に悲観的→就職のまま進路変更なし、ただしコロナの影響を考え活動範囲を広げる
リーマンショックの例を見れば分かる通り、今年が「底」というわけではありません。むしろコロナ後しばらくは高校生向け求人数は減少し続けるのではないかというのが大方の予想です。進学したところで卒業時の状況は今よりも悪いかもしれない、となれば今年のうちに就職をしておいた方が良いのではと進路を考えます。ただし、業種や地域によってはコロナの影響で高校生向け求人数が著しく減少しており、対象を広げて活動をします。
D.コロナで家計状況が心配→進学から就職に進路を変更
経済状況が切羽詰まっている場合もあるでしょうが、「なんとなく進学」と進路を考えている高校生の層もコロナ禍の状況で曖昧な理由での進路選択に後ろめたさを感じる部分があるかもしれません。
コロナの影響で高校生向け求人数は減っているとはいえ、有効求人倍率はまだ2.08倍(厚生労働省発表、2020年7月末時点)あるのだから、希望の就職はできるだろうと考えます。
(2)調査結果に見る高校生の進路選択へのコロナの影響の実態は?
高卒採用Labを運営する株式会社ジンジブでは、2020年9月全国の高校生を対象に「コロナが進路選択にどのような影響を与えたか」独自の調査を実施しました。
その結果リポートをご紹介します。
【調査期間】2020年09月24日~2020年9月30日
【調査内容】就職活動に関するアンケート【調査方法】インターネット調査法
【調査対象】15歳~19歳
【有効回答】N=1033人(うち卒業後の希望進路が「就職希望148人」「就職か進学か迷っている31人)
1.新型コロナウイルスは進路選択に影響しましたか?
2.現在考えている卒業後の進路について、最も希望する進路はどれですか?
新型コロナウィルスが進路選択に影響した割合は30.5%でした。また、この割合について、都市部(東京、千葉、神奈川、埼玉、北海道、宮城、愛知、大阪、広島、福岡)とそれ以外の地域方面で比較したところほとんど差はありませんでした。また、現在高校生がどのような進路を希望しているかは以下の通りです。
・就職:14.3%
・就職か進学か悩んでいる:3.0%
・進学:75.0%
・その他:7.6%
9月時点の調査ですので、おおよそ進路についての方針は決定していると考えられます。
厚労省発表データによると今年7月末時点の高校生の求職者人数は161,666人です。
昨年度、2020年卒の卒業生は総数1,056,847人に対し、就職者は183,891人で、就職者の割合は17.3%でした。今回の調査結果にある、就職希望(14.3%)と悩んでいる(3.0%)を合わせると去年とちょうど同水準ですが、一部進学になることを考えると、現時点では就職希望者の割合は、昨年に比べてやや少ないと推測されます。
3.就職への変更、進学への変更
現在の進路希望者数 | 変更した人数 | |
就職 | 148名 | +12名 |
進学 | 775名 | +52名 |
現在の進路希望者数は以下の通りです。
・就職:148名
・進学:775名
その中で、もともとあった希望から進路を変更して現在の希望となった数(増加数)は
・就職:12名
・進学:52名
となります。
そもそも、就職者よりも進学者の母数が大きいのですが、進路変更者の動向はそうはなっていません。母数が少ない「非進学層」が大学や専門学校など学びの進学に進路変更した数が多く、コロナの影響は進学を促進していると言って良いかもしれません。
<外部リンク:株式会社ジンジブ>高卒採用お役立ち資料~高校生就活実態調査など多数!~
4.就職の検討範囲への影響
5.進学の検討範囲への影響
希望進路自体に変わりはないが、それぞれの検討範囲に影響があった場合、高校生にどんな影響があったかについてまとめました。※ここでいう検討範囲とは検討エリア、検討数を指しますまず就職については、求人数の減少への対応からか、エリアや対象職種を広げた高校生が多いという結果になりました。就職可能性を高めたいという気持ちの現れかもしれません。
一方で進学については、検討範囲を狭めた割合がやや多いという結果が出ました。経済状況を考慮して受験学校数を減らそう、あるいは勉強不足を心配して受験校を増やそうなど、どちら側の考えもあるようです。
(3)まとめ
調査結果から、新型コロナウィルス感染症により、約30%の高校生が進路選択に影響があったと回答しました。また、進学に進路変更する高校生が増えた、就職の場合は検討範囲を広げて就職可能性を高めようという動きが見て取れました。
高校生にとって進路選択に関して、何を選んでも正解・不正解はありません。
就職活動にせよ、進学準備にせよ、自ら決める選択に悔いのないよう取り組むことが大切です。
高校生の新卒採用に取り組む企業の皆さまには、高校生の進路選択の変化にも気を配り採用活動を進めて頂けると幸いです。
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