20卒振り返り! 高卒採用Lab 解説 「求人・求職・就職内定状況取りまとめ」
高校生の新卒採用は求人数が6年前の約2倍と近年需要が非常に高まっています。
今回は2020年3月に卒業した高校生の、厚生労働省のデータ「求人・求職・就職内定状況の取りまとめ」から、20卒採用市況を振り返ります。
目次
(1)求人数は更に高まり約48万人
(2)求人倍率振り返り
(3)地域・業界・企業規模別求人数振り返り
(4)早期内定率振り返り
(5)まとめ 2021年卒の就職市況はどうなる?
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(1)求人数は更に高まり約48万人
2020年卒の高校新卒の求人数、内定率を振り返ります。
7月末のスタート時点での求人数はすでに約44万3千人、3月末の最終報告では約48万4千人となり、昨年よりも更に増えました。
ここ数年の数値を振り返ると、2018年卒では7月末時点で37万人だった求人数は、9月に入り約5万人増加し、最終的には43万人、
2019年卒では7月末時点で42万人だった求人数は、9月に入り約4万人増加し、最終的には47万人でした。
2020年卒では7月時点からすでに44万人と、2年前の最終求人数を7月時点で上回っていました。近年の高卒採用の高まりが更に加速したと言えます。
また、内定率に関しては99.3%で昨年と比較して0.1ポイント減少していますが、高い水準を保っています。
(2)求人倍率振り返り
2020年卒の求人倍率は、7年前の倍以上の2.89倍でした。昨年より0.11ポイント上昇し9年連続増加しています。
求人倍率の高まりの大きな理由は求人数の増加ですが、もう一つの理由に求職者の減少も見られています。
求職者は約16万8千人で、同2.1%の減となりました。
出典:『就職内定状況の推移「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ』厚生労働省よりグラフ作成
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(3)地域・業界・企業規模別求人数振り返り
この1年の求人数の増減を地域・業界・企業規模別に振り返ってみましょう。
【地域別】求人数増減率
増加
第1位 高知県 (+10.4) 求人数2,023人 求人倍率1.88 昨年 第1位 三重県
第2位 和歌山県(+10.3) 求人数3,339人 求人倍率1.94 第2位 岐阜県
第3位 山梨県 (+8.9) 求人数3,059人 求人倍率2.58 第3位 福井県
第4位 愛媛県 (+7.3) 求人数6,492人 求人倍率2.76 第4位 兵庫県
第5位 大阪府 (+7.1) 求人数38,053人 求人倍率5.19 第5位 和歌山県
減少
第1位 山形県 (▲8.2) 求人数5,911人 求人倍率2.34
第2位 大分県 (▲7.6) 求人数4,832人 求人倍率1.96
第3位 岩手県 (▲6.3) 求人数6,081人 求人倍率2.1
第4位 青森県 (▲4.4) 求人数4,984人 求人倍率1.67
第5位 福島県 (▲4.4) 求人数9,672人 求人倍率2.13
昨年も求人数が伸びていた高知県が1位に、昨年5位だった和歌山県が2位になりました。
求人数の多いエリアでは大阪の伸び率が高くなっております。
一方求人数が減ったエリアは、東北に多い傾向があります。県外採用を検討する場合はこのような求人数の増減なども注意して見てみると良いかもしれません。
【地域別】業界数増減率
増加
第1位 電気・ガス・熱供給・水道業 (+18.8) 求人数2,052人
第2位 鉱業・採石業・砂利採取業 (+16.9) 求人数408人
第3位 金融業・保険業 (+10.2) 求人数2,538人
第4位 学術研究、専門・技術サービス業 (+7.4) 求人数8,695人
第5位 建設業 (+6.9) 求人数73,073人
減少
第1位 公務、その他 (▲17.8)162人
第2位 製造業 電子部品・デバイス・電子回路製造業 (▲11.5) 求人数5,616人
第3位 製造業 ゴム製品製造業 (▲ 8.0) 求人数2,014人
第4位 製造業 繊維工業 (▲7.8) 求人数4,595人
第5位 製造業 電気機械器具製造業 (▲6.2) 求人数8,990人
増加率の5位の建設業界の伸びが、電気・ガス・熱供給・水道業や、鉱業・採石業・砂利採取業の伸びに影響していると見られます。
一方で、減少している業界上位のうち4つが製造業でした。求人数も145,861人とダントツで多い製造業ですが、製造業全体を見ても▲2.8で減少となりました。
【地域別】企業規模増減率
第1位 500~999人 (+3.9) 求人数23,013人
第2位 100~299人 (+2.1) 求人数95,234人
第3位 300~499人 (+1.5) 求人数26,258人
100~999人の中小企業の増加率が高い結果となりました。新卒採用全体が売り手市場で高卒採用の需要が伸びたことも一因と考えられます。
また最も求人数が多い企業規模は153,431人で、29人以下の小規模の企業になります。
(4)早期内定率振り返り
今年は9月末での内定率は64%、11月末時点で88%、1月末時点で94.4%でした。9月末の早期内定率は、昨年の62.3%と比較して更に高まっています。
10年前の37.6%と比較すると26.4ポイントも第一志望の企業で内定を得る生徒が増えているのでいかに売り手市場かが分かります。
出典:『就職内定状況の推移「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ発表』厚生労働省より
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(5)まとめ 2021年卒の就職市況はどうなる?
2020年3月卒の高校新卒採用は、求人数48万件、求人倍率2.89倍と、全体的に昨年と同じく増加しており、内定率が99.3%と高い内定率に終わりました。企業としては最も苦戦を強いられた年だったと言えるでしょう。
この売り手市場が2021年3月卒では新型コロナウイルスの影響で一変すると予想がされています。
2020年3月卒のころから減少が見られる地域や業界では更なる減少される可能性がありますし、毎年高まっていた早期内定率も減少するかもしれません。
半面、毎年採用に苦戦していた企業にとっては採用のチャンスとも言えます。
また高校側では求人情報不足に不安をもっていますので、求人情報をより多く届ける(先生に直接、郵送、求人サイトへ掲載など)ことをお勧めします。
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