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なぜ働く? 高校生の就職動機を知る【高校生の就職活動アンケート】

進路に就職を選んだ高校生の就職動機にはどんなものがあるか。高卒採用を始めたばかりの企業にとっては気になるところかと思います。

今回は株式会社ジンジブが行った調査、その中の設問「就職を決めた理由を教えてください」の回答結果のご紹介を踏まえて考えてみましょう。

目次

(1)経済的理由と高校生の就職希望動機
(2)外発的動機付けによるキャリアのスタートについて
(3)いつかは就職、いつから就職?
(4)まとめ

(1)経済的理由と高校生の就職希望動機

出典:『高校生の進路と親の年収の関連について(2009年)』東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター

経済的な事情が高校生の進路選択や就職動機にどのような影響に現れるでしょうか。

家計状況と子の大学進学との関係性については、学費や生活費の支援を考えれば当然とも言えます。東京大学の調査結果からもそれは見て取れ、両親の年収は高校卒業後の進路に影響を与えています。

経済的な事情が少なからず就職という進路選択にも影響していることになりますが、それは高校生の就職動機にどのように現れるでしょうか。

株式会社ジンジブが行った調査、その中の設問「就職を決めた理由を教えてください」の回答結果をご紹介します。

<調査概要>

・調査期間:2019年7月26日(金)・7月31日(水)
・調査内容:ジョブドラフトFesアンケート
・調査対象:ジョブドラフトFes(東京・大阪)来場の就職を希望する高校生
・回答方法:紙での回収
・回答者数:N=634名

就職を決めた理由を教えてください(複数回答可)

回答が多いものから順に見ていくと「自立して稼げるようになりたい」36.2%、続いて「経済的理由」23.6%「大学・短大・専門学校でやりたいことや行く目的が見つからない」22.1%「高校を卒業してから勉強したくない」16.9%でした。

上位の2つはいずれもお金に関することですが、状況的に働かざるを得ないという気持ちよりも「稼げるようになりたい」という意思・志向が強いことがうかがえます。

また、このアンケート設問は複数回答可ですが、一項目のみ選択された回答に絞って集計すると「自立して稼げるようになりたい」が群を抜いて多いことも、それを示す要因ではないでしょうか。

続く回答の2つは他の進路との比較となります。634名のうち162名、およそ4人に1人が「大学・短大・専門学校でやりたいことや行く目的が見つからない」という回答をしていました。

これまでは「良い大学に入り、良い会社に入ること」が目指されてきましたが、良い会社がいつまでも良い会社であるという保証はなく、また良い大学を卒業すれば良い会社に入りやすいというわけでもないという、社会の変化を少なからず反映しているのではないでしょうか。

また、家計の悪化や大学学費の上昇から、奨学金制度を利用して進学する学生が増えていますが、奨学金の返済が困難となる問題が取り沙汰されており、「果たしてそこまでして進学する意味はあるのか」と一歩立ち止まって考えることが増えているのかもしれません。

(2)外発的動機付けによるキャリアのスタートについて

このように、経済状況は進路選択に影響を与えていますが、この動機をどのように理解すれば良いのでしょうか。

心理学では、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つがあるとされています。

外発的動機付け:評価や報酬を外部から得られることを目的とした動機付けのこと。「お金のために働く」というのはこの外発的動機付けにあたります

内発的動機付け:内面に沸き起こる興味や関心、「やりたいこと」や「楽しいこと」が要因となる動機付けのことです

どちらか一方だけが存在するのではなく両方の動機付けがあって、わたしたちが何か目的に向かって営みを続ける原動力となっています。

就職活動時に行う「自己分析・他己分析」は、主にはこの内発的動機付けの要因探しと言えます。自分の興味・関心をこれまでの経験や行動、それによって形成された価値観などから掘り起こして自覚すること、そしてそれを「仕事」に当てはめて考えることで、志望業界や志望職種が徐々に輪郭を現し、就職活動の軸となります。

それで目指すべき道がはっきりしたという学生もいるでしょうがそれはごく少数、大半は自己分析によって明瞭な方向性が導き出せるわけではなく、曖昧・漠然としたおぼろげなもので就職活動を進め就職先を決定していきます。

高校新卒にしろ大学新卒にしろ、採用活動時に企業が重視するのはこの「内発的動機付け」です。なぜなら、外発的動機付けは一時的であると考えるからです。その動機がなくなれば離職につながるかもしれません。

しかし、就職活動時の学生の内発的動機はまだはっきりと骨格を現していません。志望動機が、書類・面接対策のテクニックやテンプレートの対象ともなっています。そこばかりに着目をしてしまっていては人材を見誤りかねません。

高校生がどのような動機で就職という道を選んだか、またその企業を志望したかは、高校生自身が自覚していることとそうでないことがあり、自覚していないことが大半のように思います。

採用活動時に見るべき点として、やはり大切なのは「人間性」ではないかという考えに行き着きます。

(3)いつかは就職、いつから就職?

大学進学の一つの意味として「やりたいことを見つけるための4年間」と位置付けることがあります。社会に出るための知識や経験を積む4年間です。実際は大学生活が「ただ遊ぶだけの4年間」となってしまっていることが問題で、となると内発的動機付けの要因があまり見つかりません。そうなると高校卒業後にすぐ就職すると決めたことは大学卒業後に就職する人より4年先に人生の大きな決断をしたという考えも生まれます。

また、就職の主な動機が外発的動機付けであったとしても、仕事を続けるうちにその仕事に対する興味や関心が高まり内発的動機付けに変化していくこともあります。何かしらの動機を持って、早くから仕事に就くことの意味はこういったところにもあるのではないでしょうか。

自身にとって動機付けの要因は不変ではなく、変化をするものです。またその要因は日常の中にもあります。社会人になれば生活の半分近くを職場で過ごすことになります。

その動機の変化や深化・強化のきっかけを与え、自己の成長を促すには、入社後の環境が重要です。

(4)まとめ

高校生の就職動機の多くが「自立して稼げるようになりたい」にあります。大卒・高卒ともに多くの学生は、就職活動時に内発的動機はまだはっきりと現していません。大学進学の一つの意味として「やりたいことを見つけるための4年間」に対して、高校生の就職は、動機が外発的動機付けであったとしても4年先に決断をし、仕事を続けながらその仕事に対する興味や関心が高まり内発的動機付けに変化させることにつながると言えます。

若手人材の動機の変化・成長を促すためには、入社後の環境が重要です。

合わせて読みたい:一人一社制を考える。就職活動をする高校生の気持ち【高校生の就職活動アンケート】

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