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一人一社制を考える。就職活動をする高校生の気持ち【高校生の就職活動アンケート】

2020年02月12日

学校からの紹介による高卒採用を経験した方はご存知の「一人一社制」というルール。

このルールによれば、一定期間は高校生は複数の会社に応募することはできず、応募した一社からの内定が得られれば原則、内定企業に就職しなければなりません。

2020年2月10日に文部科学省、厚生労働省が開催する「高等学校就職問題検討協議会」では、複数社応募も可能にすることも含めた報告書を発表しました。

この報告書を受け、各都道府県にてどのようにルールを決めるのか注目が集まっています。

今回は「一人一社制」を高校生はどう思っているのか、当社が2019年4月に実施した「高校生の就職活動に関するアンケート」の結果をもとに見ていきます。

目次

(1)「一人一社制」というルールの存在
(2)一社応募が当たり前?高校生の反応
(3)一人一社制は高校生の強い「不安」要素となっている
(4)のびのびと就職活動を行うには

「一人一社制」というルールの存在

「一人一社制」とは、企業が自社への応募に際して単願を求め、学校側としても応募の推薦を制限し、「応募解禁日」から一定時期の間まで、一人の生徒が応募できる企業を一社とする制度です。

生徒はその企業の内定が得られなかったときに、はじめて他の企業に応募できます。

都道府県毎に、学校関係者、経済団体関係者と行政(文科省・厚労省管轄)が毎年話し合いで詳細を決めており、地域によってルールやスケジュールに違いがありますが、一定期間を過ぎれば、複数の企業に応募することができます。

学業優先、健全な学校教育を最優先かつ適正な就職の機会を与えるために設けられたルールです。

また原則として、内定すれば必ず就職しなければならないという慣行があります。

先日、2020年2月10日「高等学校就職問題検討協議会」の報告書では、都道府県により次のいずれかを選択することが妥当であると発表がありました。

➀9月の一次応募の時点より複数社応募を可能にするか、②一次応募までは1社のみの応募・推薦とし、それ以降(例えば 10 月1 日以降)は複数応募・推薦を可能とする。

報告書についてはその他のルールについても言及がありますので後日詳しく解説させていただきますね。

大卒新卒の場合、学生一人の平均としてプレエントリー23.4社、企業説明会参加14.5社、書類選考10.9社、面接などの対面選考7.7社、最終面接3.1社、内定取得2.2社となっています。

出典:『2019年卒学生の就職活動の実態に関する調査』公益社団法人全国求人情報協会

これに対して、高卒新卒の場合は2〜3社に会社見学を行い応募は1社にとどまります。

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一社応募が当たり前?高校生の反応

大卒新卒や中途の採用と比較すれば「一人一社制」は特異なルールです。
当の高校生は「一人一社制」に対してどう思っているのでしょうか?

まず、日本財団が18歳に行った調査の結果を見てみましょう。

高校生の就職・採用活動は行政(厚生労働省、文部科学省)と全国高等学校協会、主要医経済団体の間で9月の応募解禁日から一定期間、一人の生徒が応募できる企業を1社とする「一人一社制」がルール化されてきました。
しかし、今後、大学生と同様い、複数応募ができるよう見直す動きが出ています。この動きをどう思いますか。

引用:18歳意識調査 第18回テーマ「働く」 期間:2019年8月8日(木)~8月10日(土)

複数応募に対しては、反対に比べて賛成が多数でした。

反対の理由は「知識が浅い段階では1つに絞って勉強した方がいい」や「高卒生は慎重に就職先を決めるべき」という内容で、就職活動について注意深い様子が見て取れます。

一方、賛成の理由は「いろいろな可能性を試せる」「就職先の幅が広がる」などで選択肢が増えることを望む声が上がりました。

「わからない」という回答は「一人一社制について知らない」ゆえの回答と言えそうです。賛成の理由にあった「高校生と大学生で就活のルールを変える意味が分からない」「高校生にも大学生同様の権利を与えるべきだと思う」にもあるように、比較対象があることで「一人一社制」に対する意見を持つことができそうです。

 

次に、株式会社ジンジブが行った「高校3年生の就職活動に関するアンケート(※)」から関係する項目を抽出してみます。このアンケートは、対象を「就職を希望する学生」に限定しています。

「一人一社制」の仕組みを知っていますか?

9月からの面接時期には一社ずつしか応募できません。

同時に複数社応募したいですか?

※『高校3年制の就職活動に関するアンケート』株式会社ジンジブ

<調査概要>
期間:2019/03/19〜4/10
対象:2019年4月から高校3年生(定時制は4年)になる就職希望者
有効回答数:908名

アンケートの実施時期が「就職活動前」の4月ですので、高校生にとって就職活動はまだ想像の世界でしかありません。また、学校からのガイダンスはこれからが本番、それほど知識がないということでもあります。

こうしたことのあらわれか、「一人一社制」を知っていると回答した高校生は全体の17.1%、聞いたことはあると回答した高校生は20.5%にとどまり、知らなかったと回答する学生61.6%を大幅に下回りました。

複数社に応募したいかどうかという質問には、61.3%が1社だけの応募で良いと回答しています。

就職活動は人生初めてのこと、何か他のものと比較できるほどの知識・情報もないので、そのルールに特段疑問を感じることなく受け入れてるのかもしれません。

一人一社制は高校生の強い「不安」要素となっている

アンケートの回答の中で、複数社応募したい(34.1%)と答えた高校生はなぜそう思ったのか、その理由をまとめてみました。

 

もう1度就職活動するとしたら、1社ずつの応募が良いですか?

同時に複数社応募したいですか。

まず、もっとも多いのが「落ちた時不安、滑り止めが欲しい(61.2%)」といった回答です。

高校生の就職活動は7月からスタートし、一次募集(およそ10月上旬まで)ではその年の就職者の約6割が内定を得ています。ですので、一次募集で決まっているのが当たり前、一次募集で決まっていないとまずい、という時期に対するプレッシャーが強いと想定されます。それに輪をかけて「一社のみしか応募できない」となると、その一社に受からなかったらどうしようという不安感が増すのもわかります。

次に多いのが「決めきれない、いろいろみたい(29.0%)」という回答です。

そもそも「将来自分がどうなりたいか、やりたいことは何か」という問いに対して明確な答えを持っている高校生はごく少数で(これは社会人でもほぼ同じだと思います)。それを探すのに就職活動が貢献するとも言えます。どんな業界があるのか、どんな仕事があるのか、ネットで調べたり企業のパンフレットを見て調べられることはありますが、得られる情報は限定的です。

選考過程で企業の魅力を知り志望度が高まることがあります。最初はそこまで強い志望度ではなかったけれど、企業担当者の話を聞くうちに業界や企業、その仕事を知り、価値を徐々に感じるようになり、そしてまた担当者の人柄にひかれ、いつしか「この会社に就職したい!」と思うようになる、といったケースです。

特に、まだ社会に多く触れていない若者にとって「企業担当者から直接話を聞く」機会は、求人票や企業パンフレットの字面からではわからない企業の全体像や現場の熱量が伝わり良い経験になると思います。

そうこうするうちに魅力的な企業がいくつか現れ、「どの会社に入りたいか」を真剣に悩み考え、だからこそ「この会社に入りたい!」という強い願望が生まれるのではないでしょうか。

のびのびと就職活動を行うには

大学新卒の就活生の口からよく聞かれるのは「まずは1社、早く内定が欲しい」です。それは一社内定があることで「就職できない」というプレッシャーから解放され、安心できるからです。

高校生の就職活動で「失敗できない」や「早く内定をもらって安心したい」というプレッシャーは、内定を得ることを目的化させてしまいかねません。社会に出ることや就職先の企業・仕事の理解、具体的なイメージに乏しいまま就職してしまえばミスマッチが生まれ、早期離職の原因にもなります。

同様のアンケート(※)を既卒者にも実施したところ、結果は逆転し複数社応募に積極的な回答が全体の79.6%に及びました。

 

もう一度就職活動をするとしたら、一社ずつの応募が良いですか?

同時に複数社応募したいですか?

※『高校生の就職活動に関するアンケート(既卒社会人)』株式会社ジンジブ
<調査概要>
期間:2019/03/19〜4/10
対象:高校新卒の就職活動を行い、就職をした者
有効回答数:284名

 

「失敗できない」という感覚は、チャレンジャブルな就職活動(応募)を阻害してしまいます。

学業を疎かにしないという前提で、高校生が納得の行く就職活動を行うにはどうしたら良いのか、時代の変化に対応したルールが求められています。

まとめ

「一人一社制」は、企業が自社への応募に際して単願を求め、学校側としても応募の推薦を制限し、「応募解禁日」から一定時期の間まで、一人の生徒が応募できる企業を一社とする制度です。応募者や選考の負担が少なく、短期間で済むため生徒への学業への負担が少ない、企業も内定辞退の心配がないなどのメリットがありますが、将来について考える時間も同時に少なくなってしまいます。

高校生は就職活動が始まる前の時期には「一人一社制」を知らない割合が多く、複数社応募を求める声の多くには「落ちた時不安、滑り止めが欲しい」でした。高校生の就職活動にも「失敗できない」や「早く内定をもらって安心したい」というプレッシャーが存在しています。

長年続いた慣習ですが、高校生の納得のいく就職活動を考え直す時期と言えます。

 

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