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【高卒採用のルール・注意点のまとめ】東京都の公表文書を見てみよう!!

ルール・注意点を深く知る!東京都の公表文書を高卒採用Labが解説

高卒採用を始めると、「ルールは複雑だ」と感じることがあるかもしれません。高卒採用では、毎年都道府県ごとに検討会議が開かれており、採用に関するルールや注意点の確認や更新を行っています。
今回は、東京都を例にとって高卒採用のルールがどのように決められているのか、具体的な注意点はどんなものがあるのかを詳しく見てみましょう。

「東京都高等学校就職問題検討会議」とは?

東京都の場合だと検討会議は下記によって構成されています。

学校代表

東京都公立高等学校長協会、一般財団法人東京私立中学高等学校協会

企業代表

一般社団法人東京経営者協会、東京商工会議所、東京都中小企業団体中央会

行政代表

東京都、東京労働局

3つの立場から参加者が集まり、毎年「東京都高等学校就職問題検討会議」が行われています。
今年は2020年6月9日に審議が開始されて、その申し合わせ事項が2020年6月11日に公表されました。この申し合わせに、高卒採用のルールや注意事項が記載されています。※2021年卒は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により例年と採用スケジュールが変更となりました。

この「東京都高等学校就職問題検討会議の申し合わせ」を元に、高卒採用のルールを詳しく見てみましょう。
※水色の枠・太文字で記載されている文書が「東京都高等学校就職問題検討会議の申し合わせ」からの引用です。

「東京都高等学校就職問題検討会議」の申し合わせとは?

新規高等学校卒業者に係る採用選考について検討した結果、早期選考の未然防止及び統一応募様式の制定の趣旨に基づく、公平かつ公正な採用選考の実施を徹底するとともに、就職の機会均等の確保と求人秩序の確立を図り、併せて適切な推薦・応募が行われるよう下記の申し合わせを行うこととする。

申し合わせの大目的は、「公平かつ公正な選考にすること」です。それとともに、最近では「求人秩序の確立」を命題に上げています。いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる、”若者の使い捨て”を少しでも減らそうと考えられています。
それでは、申し合わせの内容も詳しく見ていきましょう。

1.応募書類について

学校は、生徒の推薦に際し、厚生労働省、文部科学省及び全国高等学校長協会の協議のもとに定められた「全国高等学校統一応募用紙」を使用すること。また、求人者は、全国高等学校統一応募用紙以外の提出は求めないこと。

上記の通り、企業からは決められた応募用紙以外の書類提出を求められません。
これまで大卒採用を主に行ってきた企業は、少し違和感があるかもしれませんが、いわゆる会社オリジナルの「エントリーシート」は用意できない決まりとなっています。基本的に学校側から成績や推薦文が記載された用紙が送られてきますので、そちらを用いましょう。

2.採用選考について

「本人の適性と能力」に直接関係のない事項を採否決定の判断基準とはせず、本人の基本的人権を尊重すること。

  1. 全国高等学校統一応募用紙の制定の趣旨に基づき、「出身地」「家族の職業」「家庭環境・経済状況」等の就職差別に繋がるおそれのある質問(社用紙の提出)や調査等は行わないこと。
  2. 「同和地区出身者」「女性・男性」「障害者」「ひとり親家庭の人」「定時制・通信制課程修了者」「外国籍の人」「特定思想・信条の人」についても公正な選考を行うこと。
  3. 採用選考時における「健康診断」を実施する場合は、健康診断が応募者の適性と能力を判断するうえで必要不可欠であるか慎重に検討すること。

ここは、採用側は常に注意したいポイントです。厚生労働省では「基本的人権の尊重」をうたい、「本人の適正と能力に直接関係のない質問は行わないでください」としています。
特に問題になるのは、面接時の「家族への質問」が多いようです。聞くつもりがなくてもアイスブレイクで触れてしまったり、採用担当者ではない別の部署の方が面接時、知らずに質問してしまったりするため、情報共有しつつ採用活動を行っていく必要があります。

3.推薦時期・選考開始について

  1. 推薦開始は、10月5日(文書到達主義)以降とすること。
  2. 選考開始は、10月16日以降とすること。なお、推薦開始日からは1人1社の応募・推薦とするが、11月1日以降は、1人2社まで応募・推薦を認めること。
  3. 他道府県の企業に応募・推薦する場合は、応募先の道府県の応募・推薦の申し合わせを適用する。

※上記スケジュールは、1か月後ろ倒しになった2021年卒の採用スケジュールです。
選考開始時期は、厳守です。大卒のように、解禁前に説明会を開催したり、内定を出すことは高卒ではできません。高校生の学校生活を優先させるため、いかに期限厳守して採用成果を出すかがポイントになります。
スケジュールが決まっているので逆算して、採用戦略を立てておくことをおすすめします。余裕を持った採用活動ができるのはもちろん、採用成功のさせることにも繋がります。

4.求人申込みの手続き等について

求人者は、6月1日から管轄する安定所に求人申込書を提出し、選考時期、求人内容等について適正であることの確認を受けた後、7月2日以降、学校訪問が可能となること。

高卒採用ではハローワークへの求人申し込みが必須となります。

ハローワークへ提出するときのポイントはこちら:高卒採用準備編 ~まずはハローワークへ求人票登録を!~

5.家庭訪問の禁止について

求人者またはその委託を受けた者が、直接家庭訪問し求人活動を行わないこと。また、採用内定後といえども家庭訪問は行わないこと。

内定後も家庭訪問は禁止されています。
これは「面接時の注意点」にも記載がありますが、家庭環境を見ることによる就職差別の懸念がこの事項につながっていると考えられます。

6.利益供与について

求人者またはその委託を受けた者が、新規学校卒業者、その保護者、その他の関係者に対し、金品または利便の供与により、新規学校卒業者の求人活動を行わないこと。

昔は、「企業の人事と学校の先生との癒着があった」という都市伝説的なうわさもありますね。今は学校の先生の方が「企業から何かを受け取る」ことに敏感なのではないでしょうか。

7.文書募集等について

安定所で確認を受けた求人であり、当該求人票記載内容と異なるものではないこと。また、広告等掲載にあたっては、安定所名及び受付番号を記載することとし、応募者の受付は、学校またはハローワークを通じて行うこと。

「高校等掲載にあたっては、安定所名及び受付番号を記載すること」がポイントでしょうか。ハロワークの求人票以外に求人広告を出す場合も、この「安定所名及び受付番号を記載すること」が基本的な申し合わせ事項になっています。

8.応募前職場見学等について

求人提出後に実施することとし、実施時期は夏休み期間中とするなど、学事日程に影響の少ない時期とすること。採用選考と異なることから、参加の有無を採否の判断基準に含めないこととし、応募書類をはじめとして生徒に書類を求めることのないようにすること。また、本人の状況を聴取するなど、採用選考に直接繋がる質問をしたり、内定と受け取られるような話はしないこと。

職場見学は、高校生にとって、貴重な社会を知る場、企業を知る場です。是非、企業の皆さまには職場見学を受け入れてもらいたいものです。注意点は、職場見学はあくまで「見学」であることです。
職場見学の対応をしていて高校生と接していると、担当者は「この生徒いいなぁ。」や、「この生徒、面接を受けてくれても、当社にはどうだろうなぁ。」と感情が湧くこともあるでしょう。しかし、職場見学はあくまで職場見学。採用選考とは切り離して考えましょう。

9.採用試験及び採用結果の通知について

求人者は、採用試験期日、場所、採否結果等を決定次第直ちに学校及び学校を通じて応募者に文書を以って通知すること(採否にあたっては極力7日以内)。なお、不採用者があった場合には、その者の応募書類を学校に返却するとともに、その理由についても併せて通知すること。

高卒採用では、常に学校の先生(進路指導教員)とのやり取りを通じて採用活動を行います。
中途採用で考えると、学校の先生が「エージェント」の役割を担います。生徒からの「書類提出」も、「合否連絡」も、「選考調整」もすべて学校の先生が連絡先になります。

10.採用内定後の提出書類及び連絡について

求人者は、入社日までは「就職承諾書」以外の書類の提出を求めないこと(ただし、入社以前に真に必要な書類・写真等を除く。)。また、入社後の提出であってもその使用目的を十分に説明のうえ提示を求め、使用後は速やかに返却すること。

内定後の書類提出について、そこまで問題になることはないと思いますが、ひとつ注意すべきは、健康診断等も原則入社後となります。

11.採用(内定)生徒の就業開始時期及び教育等について

就業開始は「卒業日の翌日以降」となること。また、卒業前実習、教育、研修等にあたっては、学校教育に支障をきたすことが考えられるため、教育等は入社後に事業主の指揮命令のもとで実施すること。

高校生の卒業日は学校によって異なりますが、基本的に在学中は高校生の内定者研修やインターン等は禁止です。
ただし、学校や先生の指導方針によっては、「現場から、出来れば課題を用意してもらえないですか?」と言われることもあります。この辺りは、学校の先生としっかり関係性を築いて、柔軟に対応したいところですね。

いかがでしたか?東京都の「東京都高等学校就職問題検討会議」の申し合わせを例にひとつひとつ説明をさせて頂きましたが、正しくルールを理解してから高卒採用活動を始めたいものですね。

分からない点があれば、気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

引用元:「東京都高等学校就職問題検討会議」の申し合わせについて 東京労働局より

高卒採用のルール・注意点まとめ

高卒採用では、各都道府県で検討会議が開かれ、ルールや注意事項が申し合わせされています。スケジュール・求人・職場見学・選考・内定のルールの理解が採用成功の鍵と言えます。

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