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新卒採用に職種別採用を導入するメリットとデメリット・注意点

最近、新卒採用においても職種別採用を導入している企業が増加傾向にあります。そこで本記事では、企業の人事担当者に向けて、職種別採用が現在増えている背景やそのメリット・デメリットについてご紹介します。

また、高い早期離職率が課題となっている高卒採用において、職種別採用を導入する効果についても解説します。


1、職種別採用とは

職種別採用とは、「営業」「マーケティング」「情報システム」「エンジニア」といったように、企業活動の職種別・内容別に求職者を募集し、採用する方法を意味します。「ジョブ型採用」と呼ぶ場合もあります。

職種別採用は国際的には以前からごく一般的な手法ですが、従来の日本の新卒採用はいわゆる「総合職」として、職種で分けない「一括採用」をするのが主流でした。しかし近年では日本でも、労働者・企業者双方のニーズを反映して、新卒でも職種別採用を取り入れる企業が増えています。

職種別採用が増えている理由

職種別採用が日本で増えている大きな理由としては、多くの企業が抱える人手不足という問題が挙げられます。終身雇用制度の崩壊や少子高齢化による売り手市場の恒常化の影響を受けて、労働者にとって転職の難易度は低くなっています。こうした状況下において、「仕事が自分に合わない」ことは十分な離職理由といえるでしょう。

従来の一括採用においては、従業員の希望と、就業する職種との間でミスマッチが起こりがちでした。また、企業側としても、人手に余裕がない中で即戦力を求める傾向が強まっています。職種別採用はこのような労働者・企業双方のニーズを反映して増加しつつあるのです。

2、職種別採用のメリット

一括採用に比べて、職種別採用にはどのような利点があるのでしょうか。以下では職種別採用を取り入れることによる企業のメリットについて解説します。

職種別採用でミスマッチを予防する

前項でも触れたように一括採用においては、従業員の希望と実際の職種とのミスマッチが生じやすく、従業員が早期離職する原因の一つとなっていました。この点、職種別採用では、採用後にどんな仕事をするのかをあらかじめ了解しているので、こうしたミスマッチを予防し、離職率を軽減できます。採用する企業としても、職種別採用のほうが、求めているスキルや適性を持った人材を獲得しやすいでしょう。

職種別採用なら従来とは違う層へアプローチできる

従来の求職者とは違う層にアプローチしやすいのも、職種別採用のメリットといえます。一括採用の場合、求職者はその企業や業界のイメージによって応募先を決めがちです。しかし「職種」という切り口で募集をかけることによって、業種を越えて求職者にアプローチできます。それゆえ職種別採用は、一般に知られている企業イメージとは異なる職種にニーズがある場合、特に効果的な方法といえるでしょう。

職種別採用なら学生時代の学びを活かしやすい

職種別採用は求職者の得意分野や関心を活かしやすい採用方法です。それゆえ、学生ならば大学で学んだ内容などを活かしやすく、企業としても即戦力かそれに近い人材が確保できるというメリットがあります。たとえそのスキルが自社の求めるレベルに達していなかったとしても、基礎的な事項を知っているだけで教育にかかる手間や時間は大きく抑えられるでしょう。

また、大学で学んだ内容が社会に出てからも活かせるとなれば、学業に対するモチベーションも高まることが期待できます。在学中に目的意識を持って、自身の知識やスキルを積極的に向上させられるでしょう。

あわせて読みたい:新卒・中途採用の定着率を高める方法とは?原因や適した人材の見極めるポイントを紹介!

3、職種別採用を行う上でのデメリットと注意点

職種別採用は前項で述べたようなメリットがある一方で、次のようなデメリットも持っています。職種別採用の導入を検討する際には、上記のメリットと合わせてお考えください。

人材配置に融通が利きにくくなる

職種別採用のデメリットとしては、雇用後の配置変更などがしにくくなることが挙げられます。これは従業員の心理的な抵抗感だけではなく、法的な根拠も含んだ問題です。というのも、「労働契約法」の第8条は、雇用契約時に結んだ就労条件を企業側が一方的に変更することを禁じているからです。労働契約に職種の指定が含まれている場合は、当の従業員の承諾を得ることなく変更できません。

これは、他の部署で欠員が生じたり、その従業員のスキルや適性が求めるレベルに達していなかったりするような場合、厄介な問題となりえます。限られた人数で事業を運営している中小企業ほど、影響も大きいでしょう。

キャリアパスに限界がある

将来の幹部候補生を育てる際に、さまざまな職種を経験させて自社の全体像の把握に役立てる企業は多いのではないでしょうか。しかし前項とも関係して、職種別採用の場合はさまざまな職種を従業員に経験させることが難しいため、こうした従来型の人材育成方法が通用しません。このように、将来的なキャリアパスに限界があるのも、職種別採用のデメリットです。

潜在的な能力を引き出せない

職種別採用は求職者の希望を反映しやすいというメリットがありますが、その一方で懸念されるのは、自分に適した仕事を若い学生が理解できているとは限らないことです。さまざまな経験をする中で、自分の隠れた才能や特性を発見する、あるいは誰かに発見してもらうことは、社会生活においてよくあることではないでしょうか。

しかし職種別採用の場合、容易に職種を変えられないため、そうした潜在的な能力を引き出す機会は限られてしまいます。また、「実は向いていなかった」という場合、異動することも難しいため離職してしまうことも少なくありません。

4、職種別採用は高卒にまで広がるか?

このように職種別採用には一長一短がありますが、高卒人材の採用方法としてはどのように評価できるでしょうか。近年では新卒採用でも多くの企業が導入しつつある職種別採用ですが、従来は主に中途採用で用いられていました。その理由としては主に、前職でのスキルを活かしやすいことや、その職務経歴から一定水準の能力の保証を得られやすいことが挙げられるでしょう。

その意味では、社会経験自体が乏しく、ポテンシャルに未知数なところが多い高卒人材を職種別採用することには、一定のリスクがつきまといます。しかしその一方で見逃せないのが、現時点でもすでに「ミスマッチ」による離職は高卒採用において大きな問題になっていることです。

厚生労働省の調べによると、高卒人材が就労後3年以内に退職する割合は39.5%と、約4割にも達しています。

そして高卒人材の早期離職の原因として、人間関係の問題と並んでしばしば挙げられるのが、仕事に対する「ミスマッチ」です。社会経験の乏しい高卒人材は、採用段階ではそもそも自分がどんな風に働くのか、具体的なイメージがつかめていない人も多いことでしょう。しかしこの点、従事すべき業務がおのずと限定される職種別採用ならば、採用担当者としても業務内容について説明しやすくなります。高卒の求職者も、仕事への自分の適性について判断しやすいでしょう。

仕事に限らず、なにかに根気強く打ち込むために大事になるのは、自分がきちんと考えた上で決めたという納得感です。高卒採用者は、中途採用者や大卒採用者よりも即戦力としては期待できないかもしれません。それでも、企業が適切なサポートを心がけることで、職種別採用された高卒人材がそのポテンシャルを存分に発揮する可能性は十分あるでしょう。

5、まとめ

この記事では、現在新卒採用においても増えている職種別採用について解説しました。職種別採用は応募者の希望や適性を反映しやすいというメリットがある一方で、採用後のキャリア形成や人材配置の幅が狭いというデメリットも抱えています。職種別採用の導入を検討する際には、上記のメリット・デメリットをよく考えた上で決める必要があるでしょう。

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