新卒採用コストの平均は? 大卒と高卒で採用単価の相場を比較
採用を行う上で高い費用対効果を実現するためには、新卒採用コストや大卒・高卒における採用単価の相場を正確に把握し、採用コストが適正かどうか見極める必要があります。
採用コストは目に見えるものではなく、把握しにくいという特徴がありますが、本記事では採用コストについて詳しく掘り下げて説明します。
目次
(1)採用コストとは?
(2)高卒と大卒の1人当たり採用コスト相場
(3)採用コストを削減するためのポイント
(4)まとめ
(1)採用コストとは?
採用コストとは、会社が人材を採用するのにかかった費用のことです。民間会社の調査によると、非上場企業の場合、2019年卒の平均で大卒採用に371万円かかっています。高卒採用は、統計的なデータがないため、「高卒専門求人サイト:ジョブドラフト」利用企業の活動状況から試算すると、215万円という数字になります。
新卒採用コスト 高卒と大卒の平均値を比較
では、高卒・大卒それぞれの採用コストを比較して見ていきます。
<採用費総額平均>
(大卒に関するデータ)出典:マイナビ「2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」データより作図
マイナビ「2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」 によれば、大卒採用にかかる総費用は、上場企業で平均1,531.8万円、非上場企業で371.5万円でした。
非上場企業の費用内訳をみると、広告費が168.5万円、セミナー運営費が129.9万円、内定後にかかる費用が42.3万円、その他が30.7万円となります。さて、この非上場企業の大卒採用総費用と比べて、高卒採用はいくらくらいになるでしょうか。統計的なデータがありませんので、「ジョブドラフト」利用企業の活動状況から試算してみます。
高卒採用に必要なものとして
1.パンフレット作成
2.WEBページ作成
3.求人票発送
4.広告費
5.合同説明会出展費
が考えられます。
まずパンフレットは使い回しはせずに、大卒採用と高卒採用を分けて制作することをおすすめします。理由はそれぞれ情報の受け手が異なるからです。大卒採用であればいずれも主には学生向けに制作しますが、高卒採用の場合パンフレットは主に先生と生徒向けとなるからです。
次にWEBページについて。大卒新卒用には「採用特設サイト」を制作する企業が多く見受けられます。
学生のエントリーにおいてWEBページの存在は必須、そのWEBページのイメージで印象づけられるので大切です。高卒採用では高校生がWEBページを通じてエントリーするわけではなく、多くは先生からの情報の補足的にWEBページを見ることになりますので、今のところそこまで作り込みを必要としないでしょう。
パンフレットはA4サイズ4ページ、500部印刷として30万円程度。WEBページは大体50万円程度の予算といったところでしょうか。
続いて、求人票発送の代行費用。高卒採用では自社の求人票を高校に郵送し、目に触れる機会を増やします。全国に高校は約5,000校ありますが、そのうち地域や教育課程、学科で絞り込みを行いますので100校くらいが送付対象となるかと思います。
郵送実費、代行費用合わせて@500とすると50,000円となります。
広告については、高校新卒用の求人媒体はほぼありません。また露出を増やすオプションメニューなども多くなく、基本的な料金プランで収まることがほとんどです。おおよそ80万円程度といったところでしょうか。
最後に、合同説明会出展費用です。高卒採用では民間企業が運営する合同説明会もほぼありませんが、多くの生徒に直接触れられる稀な機会として注目されています。規模や開催場所によりますが、こちらは大体40万円くらいの出展料となります。その他、諸経費を10万円と折り込みます。
これまでの、高卒採用にかかる費用をまとめてみます。
1.パンフレット作成 30万円
2.WEBページ作成 50万円
3.求人票発送 5万円
4.広告費 80万円
5.合同説明会出展費 40万円
6.諸費用 10万円
合計215万円となりました。
大卒採用と比較して156.5万円の差となります。金額の差もありますが、内訳の違いも歴然です。パンフレットやWEBページなどは大卒、高卒それぞれのものを同じ制作会社に依頼すればコストを抑えられるでしょう。
<外部リンク>利用率No.1、高卒専門求人サイト「ジョブドラフト」
採用コストの内訳
採用コストは、外部コストと内部コストという2つに分類されます。外部コストとは、採用ポータルサイトや情報誌などに求人掲載するための費用で、自社以外に支払う費用の合計となります。
一方で内部コストとは、社内の人事・総務担当者などが社内の採用業務に費やした費用の合計となります。具体的には、求人広告を出すための打ち合わせや合同会社説明会の運営、面接など多岐にわたり、一般的には「費やした時間×社員の時給」を内部コストとして計上します。内部コストは社員の給与に含まれるため、請求書などで数値の残る外部コストと比べ、実態を把握しにくい側面があります。
次に実際に採用コストの内訳(非上場企業)を見ていきます。大卒の採用コスト371万円は、「広告費:168.5万円」「セミナー運営費:129.9万円」「内定後費用:42.3万円」「その他費用:30.7万円」で構成されています。約半分を広告費が占めているのが特徴です。これは、ホームページや採用ポータルサイトを駆使して、幅広く自社をアピールしているためといえます。
次に、高卒の採用コスト215万円の内訳を見ていきます。高卒の採用コストは、「製作費:80万円」「求人票発送代行費:5.0万円」「広告費:80万円」「合同説明会出典費:40.0万円」「その他費用:10.0万円」で構成されています。大卒とは項目がかなり違いますが、具体的にどのような費用なのか見ていきましょう。
制作費とは、会社案内のパンフレットやホームページなどの制作にかかる費用のことです。
特に、非上場企業の場合は、採用期間限定で「採用特設サイト」を開設する企業が多く、高校生の場合は本人が直接エントリーするわけではないため、先生向けのシンプルなつくりなのが特徴です。
続いて、求人票発送代行費用は、自社の求人票を高校に郵送し、高校生の目に会社情報と触れる機会を提供します。こちらは、1社平均100校程度に送付すると想定し単価を500円とすると、5.0万円が必要になるとしています。
広告費については、大卒採用と比べ高卒採用の求人媒体は少なく、その必要性もないため、広告を出すための基本的な料金プランで収まることがほとんどです。こちらは、約80.0万円と想定します。
そして、合同説明会出展費用です。高卒採用では各地の労働局によるものが主で、民間企業が運営する合同説明会は非常に珍しいですが、多くの生徒に企業の担当者および情報に直接触れてもらう貴重な機会として注目を集めています。こちらは、規模や開催場所にもよりますが、約40.0万円が相場といえます。 最後に、その他費用として、諸経費を10.0万円とします。
金額の差は明らかですが、大卒採用と内訳が全く異なります。高卒採用には、セミナーや個別のインターンなどがなくメディアを用いた広告も少ないため、そこで100万円ほどの差が生じていると考えられます。
(2)高卒と大卒の1人当たり採用コスト相場
次に、高卒と大卒の1人当たりの採用コスト相場を見ていきます。ここでは、企業ではなく1人当たりの採用コストに注目しているのがポイントです。1人当たりの採用コストは、採用にかかった総費用を採用した人数で割って算出します。すると、大卒の場合は70~100万円、高卒の場合は10~50万円が1人当たりの採用コストとなります。前述した企業当たりの採用コスト以上に大卒と高卒でその費用に差が出ているのがわかります。
大卒の場合は、いくつか内定を取った中から自分に合った企業を選択する方式が一般的なため、企業側としては多くの採用コストを費やしてでもより優秀な学生を囲い込もうと必死になります。
高卒の場合、内定辞退はほとんどなく、メディアへの露出や求人サービスを利用するケースも限られているため、学校回りなどの地道な活動に依存する部分が大きいのが、費用に差が出る理由といえます。
一方、より優秀な学生を求めて採用コストを費やしても、すぐに会社を辞められてしまっては元も子もありません。そこで、長い目で見てどれくらいの採用コストなのかを分析するため、3年以内で早期退職した人材を除いた「4年以上働く人材」における1人当たりの採用コストを見ていきます。すると、大卒の場合は125万円、高卒の場合は49.3万円となりました。単純に、前述した1人当たりの採用コストの中間の値と比較して、大卒は約1.4倍、高卒は約1.6倍以上になりますが、これは採用したうち、大卒で3割強、高卒で4割弱程度が3年以内に離職してしまっていることが理由です。離職率は、企業にとっては採用活動のあり方、求職者にとっては就職するに値する企業であるかを選別する重要な指標になります。
合わせて読みたい:採用コストはどれくらい上がった?費用と時間で見る新卒採用のコスト
(3)採用コストを削減するためのポイント
採用活動は企業が存続・成長するために不可欠ですが、工夫次第でその質を維持したままコストを削減することができます。ここでは、2つのポイントを解説します。
高卒人材の採用も行う
大卒採用と高卒採用の一番の違いは採用コストですが、その要因は「採用プロセス」にあります。大卒採用と高卒採用を比較するとわかるのが、高卒採用のプロセスのシンプルさです。
大卒採用の一般的な流れは「広報→エントリー獲得→会社説明会開催→書類選考→筆記試験→面接→内定→内定者フォロー」です。
これに対して、高卒採用の場合は「求人票作成→学校訪問→職場見学対応→面接→内定→内定者フォロー」となります。採用業務にかかる時間は、大卒は高卒の約4倍にもなります。つまり、高卒採用は採用コストを低く抑えられるだけではなく、業務に必要な時間という面でも大きなアドバンテージがあるのです。また、大卒採用では内定辞退が多いため、せっかく手間と時間をかけて採用した優秀な学生が入社しないのも珍しくはありません。一方で、高卒採用には「一人一社制」などのルールもあり、内定辞退がほとんどありません。これらのことから、金銭的にも時間的にも、高卒採用を前向きに検討するメリットは大きいと考えられます。
ミスマッチによる早期離職を減らす
先ほど、3年以内の早期退職を除いた1人当たりの採用コストを解説しましたが、この額が大きいというのは離職率が高いことであり、企業にとって良い状態とはいえません。採用コストは経費ですので、離職は純粋にロスであり、経営的に大きな損失といえるでしょう。当たり前のことですが、採用コスト分の効果が最も得られるのは「自社にマッチングした人材が長く働いてくれる」場合です。「イメージしていた雰囲気ではなかった」「もっとこの仕事に向いていると思った」というミスマッチを防ぎ、長く働いてもらう環境を整えるのが非常に重要です。言い換えれば、誤解や過度の期待をもたないよう、会社の実情や風土が伝わるような採用活動が求められるということです。
そのためには、まず広報活動に力を入れることが大切です。ホームページやパンフレットを大卒向け、高卒向けにそれぞれ作り込む、または高卒を対象とした合同説明会の積極的な活用するなど、さまざまな方法があります。大卒については選考途中の離脱を防ぐため、面接の間隔を短くし自社への興味を持続させるのも有効です。また、内定後に辞退者が多いのであれば、内定者と社員の交流の機会や内定者同士で情報交換する場を作り、入社前の心理的なストレスを軽減するのも効果的かもしれません。高卒では、学校の果たす役割が大きいので、先生方との信頼構築が欠かせません。仕事だけでなく、立派な社会人に育成するためのプロセスを提示するなど、企業努力をアピールしましょう。
<外部リンク>全国4,000校の先生とのリレーションを生かした採用支援メニュー<ジョブドラフト>
まとめ
企業単位の新卒採用コストの平均は大卒(371万円)と高卒(215万円)で大きく異なり、その費用差は、1人当たりの採用単価で考えると2.5倍ほどに広がります。高卒採用に比べ大卒採用は、内定辞退者が多く、インターンやセミナーなど採用に要するプロセスが多いのがその要因です。つまり、高卒採用をうまく活用すれば、採用コストを抑えることが可能です。
従来の価値観とは異なる人材の発掘にもつながり、企業の新陳代謝が向上するなどメリットが多いのが高卒採用です。したがって、大卒にこだわる特段の理由(資格や専門性など)がなければ、高卒採用を前向きに検討してはいかがでしょうか。
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