内定率99%の嘘!?高卒就職の隠れた課題「進路未決定者」を考える
99.4%。
この数字は、厚生労働省より公表された、平成31年3月卒の高校卒求人の内定率です。
文部科学省でも、就職率が98.2%と、高い水準が公表されています。
高校就職は全ての希望者が就職しているように見えますが、果たしてそうなのでしょうか。
今回は約6万人いると言われている進路未決定者について考えます。
毎年高まる内定率
出典:『就職内定状況の推移「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ発表』厚生労働省より
グラフは、厚生労働省の公表の就職内定の推移です。景気の好調や、人材不足による求人数の伸びにより、高校生の3月末内定率は99.4%と8年連続で上昇しています。10年前と比較しても内定率はほぼ100%に近づいていることが分かります。
また、9月末のタイミングに第一希望で内定を得る早期内定率も年々高まっており、活況さが伺えます。
こうやって見ると就職を希望する全ての生徒が就職しているようですが、実際には多くの進路未決定者がいることをご存知でしょうか。
進路未決定者はどのくらいいるの?
「進路未決定者」、実は公表データでははっきりと発表されていません。
文部科学省の「平成30年学校基本調査 高等学校卒業後の進路」と「高校・大学における未就職卒業者支援に関する調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)2010年調査」を元に計算をしてみたいと思います。
出典:『平成30年学校基本調査 高等学校卒業後の進路』文部科学省データより算出
(※1)がよく発表されている就職者人数(185,780人)です。
(※2)高等学校(全日制、定時制)の「一時的な仕事に就いた者(6,984人)」と「左記以外の者(52,941人)」の中に進路未決定者は何名くらいいるのでしょうか。
ちょっと長いので結論だけ知りたい方は、太字下線部分だけご確認ください。
「高校・大学における未就職卒業者支援に関する調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)2010年調査」に掲載されている割合を元に算定しました。
この場合、景気変動などによる環境の変化は鑑みないものとして計算を行います。
「一時期的な仕事に就いた者」のうち、「正社員に登用される見込みのある一時的な仕事に就いた者」は、12.4%で、それ以外の回答は87.6%(「無回答」を含む)を占めています。
一時的な仕事に就いた者6,984人に、87.6%を乗じた人数は6,118人です。
次に、「左記(大学・専門学校・就職等)以外」のうち、「進学希望で受験浪人中」は37%で、19,588人です。
それを除く、「休職中」「就職希望だったことはあるが今は不明」「進路希望は未定、または不明」の合計は63%です。
「左記(大学・専門学校・就職等)以外」の人数52,941人に63%を乗じた人数は、33,353人となりました。合計すると39,471人。
実は、この学校基本調査、全日制と定時制課程のみの数値で、通信制高校の数値は別で取られています。
ここに通信制課程の人数を足す必要があります。
通信制高校は卒業者53,550人、就職者10,501人、進路未決定者が19,871人います。
全日定時制高校の進路未決定者想定39,471人に、通信制高校の進路未決定者19,871人を合計すると、顕在する就職者の他に、およそ59,342人の進路未決定者がいることになりました。
進路未決定者にはどんな人がいるの?
約6万人いる進路未決定者にはどんな生徒がいるのでしょうか。
・自己開拓(自分で就職)したが学校に報告をしていない生徒
・フリーターになり働いているが学校に報告をしていない生徒
・進学も仕事もしていない生徒
現状の高校生の就職活動は高校の進路指導による学校斡旋が大きな割合を占めています。
高い内定率を誇る一方で、高校の進路指導の先生や、中には高校との連携が上手くいかずに、本来就職や進学の道に勧めた生徒も含まれていると考えると、学校斡旋に限って就職活動指導を行うデメリットの一つだとも考えられるかもしれません。
全ての進路未決定者が就職を希望しているかは分かりませんが、出会いのきっかけさえあえば、活躍できる人材が多くいるでしょう。
まとめ:企業にできること「社会」という場を広く開ける
高卒を卒業し、進路未決定者になる高校生は毎年約6万人います。
毎年就職する18万人と合わせると24万人が社会に出ていることになります。
進路未決定者の中には、高校の進路担当の先生や、高校自体とも合わなかった生徒もいるかもしれません。学校はあくまでも一つの世界。
社会で働くことは、仕事での「やりがい」や「ありがとう」による承認欲求を得ることができます。
そんな場を得て、大きく活躍する人材を多く見て来た人事の方も多いのではないでしょうか。
企業が活躍の「場」を広く提示することで、企業側にとっても募集の幅が広がります。
学校斡旋のみに頼らない採用活動という新たな採用手法が今後広がる日も近いかもしれません。
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