【2021卒版】高校生の就職活動に関する実態調査~新卒採用を成功させる為に理解しておきたいこと~
新型コロナウイルス感染症の影響が大きい2021卒(2021年3月卒業予定者)における就職活動。2020年7月に解禁となった高校生の就職活動においては、選考開始が例年のスケジュールから1カ月後ろ倒しとなり、2020年10月5日応募解禁、2020年10月16日に選考解禁となりました。
厚生労働省が公表をしているデータによると、2021卒(2021年3月卒業予定者)における高校生の新卒求人数は約33万6千件(前年同期比24.3%の減)、求職者数は約16万2千人(同8.0%の減)、求人倍率については2.08倍(同0.44ポイント減)となっており、求人数、求職者数、求人倍率、いずれの数値も2020卒(2020年3月卒業)を下回る状況となっています。(※1)
そのような中で株式会社ジンジブでは、2021年卒以降における高校生の就職活動の実態を調査すべく、15歳~19歳、かつ高校生向けに就職活動に関するアンケート調査を実施いたしました。(調査期間:2020年09月24日~2020年9月30日、有効回答数: 1,033人(うち卒業後の希望進路が「就職希望148人」「就職か進学か迷っている31人))(※2)
新卒採用を実施する企業側の視点で考えた時、高校生がどのような手法で企業の情報を収集し、どのような流れで就職活動を行い、また、どのような観点で就職先の企業を絞り込んでいるのかを理解することは、新卒採用を成功させる上で非常に重要です。コロナ禍において、企業における新卒採用の状況は日々変化している中ではありますが、本記事における実態調査の内容が、少しでも新卒採用成功の為の情報になりましたら幸いです。
目次
(1)高校新卒の就職活動。大学新卒の就職活動との違いとは?
(2)【調査1】新卒採用を成功させる為に抑えておきたい!高校生が考える企業選びのポイントとは?
(3)【調査2】高校新卒生は、企業の情報をどのように収集しているのか?
(4)まとめ:高校生の新卒採用をする上で理解しておきたいこと
(1)高校新卒の就職活動。大学新卒の就職活動との違いとは?
①高校新卒の就職活動の進め方とは?
新卒の就職活動として真っ先に思い浮かべられやすいのは大学生の就職活動です。ニュースやテレビ番組でその光景や動向・データがピックアップされ、直近ではオンラインでの採用活動・就職活動も注目を浴びています。大学生の就職活動の場合、早期からインターンシップに参加し、様々な企業と接点を持ちながら幅広く企業の情報を収集しているケースが多くなっています。大学3年生の後半になるとエントリーや会社説明会への参加を行い、早ければ大学4年生になる段階で内定を獲得している学生も少なくありません。一方で、高校新卒の就職活動についてはあまりピックアップされておらず、新卒採用の選択肢として考えていない企業も多いのではないでしょうか?まずは、高校新卒の就職活動の流れについて簡単に見ていきましょう。
高校新卒の就職活動のスケジュールは「短期決戦型」です。例年、高校3年生の7月に求人解禁し、7月後半~8月にかけて高校生は職場見学へ参加をします。その後、9月から選考が解禁となり(2021年3月卒の高校新卒においては、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年10月5日選考解禁、2020年10月16日選考解禁に変更)、9月末の段階で就職希望者全体の約6割の高校生が内定を獲得する、と言われています。
就職活動自体は、高校を起点として進められるケースが多いです。高校生はまず、高校の進路指導室で保管されている求人票の中から、興味のある職種、企業などを数社ピックアップし、職場見学へ参加。多くの場合は、職場見学に参加をした企業の中から選考を受けたい企業を決定し、応募します。高校を通して就職活動を行う場合は「1人1社制」というルールが敷かれている為、選考が解禁となっても、原則1人1社ずつしか選考を受けることができません。その為、内定を獲得した場合はそのまま内定を承諾するケースが多く、大学新卒の採用活動と比較すると、高校新卒の内定承諾率は高くなる傾向になります。
②具体的にどのように就職活動を進めている?
では、高校生は実際にどのような方法で就職活動をし、選考を受ける企業の情報を集めているのでしょうか?アンケート調査の内容から回答を見ていきましょう。
■問1:どのような方法で就職活動を行いますか?(n=179)
就職希望の高校生、並びに、就職および進学か迷っている高校生に「どのように就職活動を行うか」を質問したところ、一番多かったのは「学校の先生からお勧めの求人を紹介してもらう」が35.2%、次いで「進路指導室にある求人票の中から探す」34.6%でした。また「求人サイトから探す」といった自発的な行動も見受けられる一方で、就職活動の仕方が「わからない」といった回答も多い結果となりました。
高校を起点として就職活動を実施する流れの場合、先生からの紹介や進路指導室にある求人票の中から就職先企業の情報を探すという活動がメインとなります。大学新卒の就職活動のように、オンライン上で企業の情報を収集し、インターンシップやOB、OG訪問、会社説明会等を通して幅広く企業との接点を持つことは、現状ではまだ難しいと言えます。
(2)【調査1】新卒採用を成功させる為に抑えておきたい!高校生が考える企業選びのポイントとは?
続いて、「企業選びの際のポイント」についての調査結果を見ていきましょう。
■問2:就職先の会社を選定する際、重要だと思うポイントを3つまでお選びください。(n=179)
就職希望の高校生、並びに就職および進学か迷っている高校生に対し、就職先の会社を選定する際に重要だと思うポイントについての調査を実施しました。回答結果としては、一番多かったのが「給与」72.1%、次いで「勤務地」44.1%、「仕事の内容(職種)」41.3%という結果でした。現行の高校新卒の就職活動においては、求人票での情報収集が主軸となっており、給与や勤務地、職種等の条件面での企業情報を得ることがメインとなっています。条件面以外で得られる企業の情報が少ないが為に、給与や勤務地、職種内容等での判断が主軸となっているようです。
■問3:どんな会社であれば入社したいと思いますか?当てはまるものを3つまでお選びください。(n=179)
続いての質問は「どのような会社であれば入社したいと思うか」です。一番多かったのは「人間関係が良い」が74.3%、次いで「休日数や給料などの待遇が良い」が72.6%、「会社の安定性」が41.9%でした。問2の調査結果とは変わって、人間関係というソフト面が1位に入りました。
企業の採用担当者からすると、人間関係の良さを求人票上で表現するのはなかなか難しいですが、高校生は自分が実際に入社した後にどのような人と働くのかをとても重視しているようです。高校生の新卒採用の活動では、高校生と直接の接点を取れる機会は少ないですが、職場見学で高校生が来社する際にはしっかりと準備をして迎え入れましょう。よくある失敗事例としては、「採用担当者の人は印象が良かったけれど、企業内見学をした際にすれ違った社員さんが挨拶をしてくれなかった」「実際にオフィスで働いている人達の雰囲気が良くなかった、表情が良くなかった」等の理由から、就職先の候補から外されてしまう事例です。日頃から社内の雰囲気づくりをすることももちろん大切ですが、職場見学で高校生の受け入れをする際には朝礼等で全社にしっかりと情報を共有し、全社員が心構えを持って見学の受け入れをできるよう準備をすることをお勧めします。
(3)【調査2】高校新卒生は、企業の情報をどのように収集しているのか?
続いて「就職活動時、企業の情報収集をどのように行っているのか」についての調査結果を見ていきましょう。
■問4:求人票だけで就職先の会社の情報は十分に収集できますか?(n=179)
就職活動において、求人票だけで企業の情報を十分に収集できるか質問したところ、「十分に収集できている」6.1%、「まあまあ収集できている」25.1%を合わせた31.2%に対して、「あまり収集できていない」26.3%、「全く収集できていない」6.7%を合わせた33%がわずかに高い結果でした。3分の1が求人票での情報収集に不十分さを感じている結果となりました。
大学生の就職活動ではオンライン上で幅広く企業の情報を集め、十分な情報を持った上で就職活動を進めていけるケースが多いですが、高校生の就職活動における情報源は求人票が主軸になっている状況です。しかし、上記回答結果からも分かる通り、約3人に1人が求人票だけでの情報収集に満足していません。高校生の新卒採用を成功させる、かつ、入社後の定着率を高める為には、求人票を作成する際に詳細の情報までしっかりと纏めるよう意識すると良いでしょう。また、求人票だけで伝えられる情報には限りがありますので、オンライン上での情報発信も強化することをお勧めしています。(具体的には次項参照)
■問5:就職先の会社の情報を収集する際、求人票以外でどのようなものを見ていますか。
就職先の会社の情報収集で何を見ているか質問したところ、1番多かったのが「会社のホームページ」52.5%、次いで「会社の採用ページ」が32.4%、「求人サイト」が30.2%、「会社のパンフレット」が24.6%でした。インターネットを利用した情報収集が主流となっていることが分かります。
2020年においては新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2021年卒における高校生の就職活動はこれまで以上にオンライン化の動きが出てきています。問4からも分かる通り、求人票の情報だけでは満足していない高校生もいますので、会社のホームページや採用ページ、求人サイト等でどれだけ+αの情報を発信していけるかが1つの鍵となるでしょう。その際に、求人票だけでは表現できない情報、特に社風や実際に働いている人の雰囲気が伝わるようなコンテンツを作成し、発信をしていくことをお勧めしています。
あわせて読みたい:【独自調査】新型コロナは高校生の進路選択にどんな影響を与えた?
(4)まとめ:高校生の新卒採用をする上で理解しておきたいこと
本アンケート調査によると、15歳~19歳かつ就職希望および就職か進学か迷っている高校生の就職活動方法は、依然「学校の先生からお勧めの求人を紹介してもらう」35.2%、次いで「進路指導室にある求人票の中から探す」34.6%と、多くが学校斡旋(あっせん)による指導の中で行われています。一方で「求人サイトから探す」といった自発的な行動を起こす人も一定数いることや、3分の1の高校生が求人票での情報収集に不十分さを感じ、30%が求人サイトを使った情報収集を行っていることから、主体的に情報収集し就職活動を行う高校生は増えてきていることが見て取れます。
特に2020年においては新型コロナウイルス感染症の影響もあり、高校現場では、2021卒の就職活動では例年のような内定率を担保できないのではという不安の声も広がっています。学校現場の状況や、高校生の就活の実態を理解した上で、高校生に寄り添った採用活動を進めていくことが大切です。
※1:厚生労働省 令和2年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(2020年7月末段階)
※2:アンケート調査概要
【調査期間】2020年09月24日~2020年9月30日【調査方法】インターネット調査法【調査対象】15歳~19歳かつ高校生【有効回答】N=1,033人(うち卒業後の希望進路が「就職希望148人」「就職か進学か迷っている31人」)
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