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若手・新人社員が早期離職する理由とは?未然防止施策についても解説

「せっかく人を採用しても定着せず、早期離職してしまう」「早期離職を防ぐには具体的にどうしたらよいかわからない」とお困りの採用担当者は多いのではないでしょうか。
早期離職を防ぐには社員が離職するに至った理由を正しく把握し、適切に対処する必要があります。

この記事では社員が早期離職する理由を紹介した上で、早期離職のデメリットや防止策について解説します。

若手・新人社員の早期離職の実態|厚生労働省の資料で見る

厚生労働省が2023年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、2020年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は以下の通りです。

  • 高卒者:37.0%(前年比1.1ポイント増)
  • 大卒者:32.3%(前年比0.8ポイント増)
出典・参考:厚生労働省「新規学卒者の離職状況

業種や事業所の規模によって多少バラつきはあるものの、高卒者・大卒者の離職率はどちらも3割を超えており、年々増加傾向にあります。高卒者に至っては、就職後3年以内の離職率37.0%のうち約4割にあたる15.1%が就職後1年以内に離職しているという結果です。

若手・新人社員の早期離職に向き合うことは、企業にとって課題の1つといえるでしょう。

若手・新人が早期離職をする5つの理由

若手・新人社員が早期離職する理由として、次の5つが挙げられます。
自社を退職する社員のケースと当てはまっていないか確認してみましょう。

入社後のギャップ

1つ目は、入社前に思い描いていた期待と入社後に感じた現実とのギャップです。

例えば、「この会社なら早くから裁量権の大きい仕事が任せてもらえる」と入社前は希望に満ちていたものの、実際に働いてみると上司のサポートや雑務ばかりで理想と現実がかけ離れていたというケースです。

このようなリアリティショック(理想と現実との差によって受ける衝撃)は、早期離職につながることがあります。

労働条件や給与についての不満

2つ目は、労働条件や給与など待遇に関する不満です。

社員は、入社前の面談や労働条件通知書などで内容を確認し、納得した上で入社しているはずですが、実際に働いてみると「仕事のパフォーマンスに対して給与が少ない」「有給消化率は高いはずなのに、自分のタイミングで休みが取得しづらい」といった不満が出るケースも少なくありません。

こうした不満から解放されるため、少しでも早く環境のよい職場へ転職しようと早期離職を検討する方もいるでしょう。

上司や同期との人間関係

3つ目は、上司や同期など職場での人間関係による理由です。

気の合う仲間とだけ過ごすことができた学生時代とは異なり、社会人になると年齢や社歴、バックグラウンドの異なるさまざまなメンバーと働くことになります。

仕事の進め方や価値観の相違などにより「あの人とは合わない」と人間関係に不満を抱くことで、早期離職に陥る可能性があります。

さらに近年は在宅勤務を選択する企業も増えていることから、社員間のコミュニケーションが希薄となり、円滑な人間関係を構築しにくい傾向であることも影響しているでしょう。

キャリアアップや将来性についての不安

4つ目は、キャリアアップや将来性に関する不安です。

「今の仕事は理想とするキャリアの方向性と合っていない」「現代に求められている働き方改革やIT化が進んでおらず、会社の将来性が見込めない」など、個人だけでなく会社も含めて将来に不安を感じた場合に離職を検討することがあります。

特に意識の高い方は現状に早くから見切りを付け、さらなるステップアップを求めて転職を意識するでしょう。

高いミッションに対するプレッシャー

5つ目は、高いミッションに対するプレッシャーです。

「社歴にかかわらず全員一律のノルマを与える」「能力以上に責任ある業務を任せる」など、企業側にとっては早く仕事に慣れてほしい、活躍してほしいとのが狙いがある場合でも、経験や知識が浅い若手・新人社員にとってはかえってプレッシャーとなる可能性があります。

求められる成果が大きすぎる、責任が重すぎるなどプレッシャーを感じた場合に心が折れてしまい、離職につながるケースがあるでしょう。

若手・新人の早期離職による損失と悪影響

時間と費用をかけて採用した若手・新人社員が、早期離職することによって企業にもたらされる損失と悪影響は次の通りです。

人材育成の失敗

企業の中長期的な成長には、社員一人ひとりの成長が欠かせません。
会社の将来を担う管理職候補を育てるためには、若手・新人社員に早い段階からさまざまな経験を積ませ、時間をかけて育成する必要があります。

しかし、せっかく将来の管理職候補として若手・新人社員の育成をスタートしても、早期に離職されてしまうとなかなか育成が進みません。
会社の中核を担う人材が育たず、結果として人材育成の失敗と捉えられるでしょう。

組織の安定性の低下

会社では複数のメンバーが協力し合い共通の目標達成に向けて業務を遂行するため、メンバーが1人でも欠けると、残されたメンバーに業務の負担が集中します。

離職による減員は若手・新人社員に限ったことではありませんが、業務負担の増加は社員のストレスを引き起こし、モチベーションや業務パフォーマンスの低下を招く恐れがあります。
その結果、組織全体の生産性が低下し組織の安定性が損なわれることにつながるでしょう。

コスト増加

社員の採用には、求人広告費用や面接担当者の人件費、入社後の教育費用など多くのコストが発生します。しかし、これら多額の費用をかけて採用した社員が早期に離職してしまうと、業務に必要な人員が確保できないだけでなく、これまでに投資した費用も水の泡になります。

再度人員を補充するとなれば新たな費用が必要となるため、採用活動を繰り返すほどコストは増加していくでしょう。

ブランドイメージの悪化

企業は新卒者を募集する際、若者雇用促進法によって職場情報を提供することが義務付けられており、そのなかの1つに「過去3年間の新卒採用者数・離職者数」があります。

この情報は誰でも閲覧できるため、離職者数が多ければ「早期離職するだけの理由がこの会社にはある」「離職率が高い会社」と捉えられてしまう可能性があります。社員の早期離職は企業のブランドイメージ悪化につながる恐れがあるでしょう。

参考:厚生労働省「若年者雇用促進法
参考:厚生労働省「職場情報の提供制度

5つの解決策|若手の早期離職を防ぐための取り組み

若手・新人社員の早期離職を防ぐため企業にはどのような対策が求められるのでしょうか。
企業ができる取り組みとして、次の5つが挙げられます。

入社前のすり合わせ

入社前後のギャップを減らしてリアリティショックによる早期離職を防ぐためには、入社前のすり合わせを十分に行うことが大切です。

社員によいイメージを持ってもらおうと自社のメリットばかりを取り上げるのではなく、デメリットも包み隠さず伝えることで、入社後の「こんなはずではなかった」とマイナスに捉えられる認識のズレを防ぎましょう。

新入社員の疑問・不安を払しょくし、仕事への理解を促すため体験入社や職場見学などの機会を設けることも有効です。

定期的なフィードバックと評価

仕事の進捗状況や成果について定期的なフィードバックと評価を行いましょう。

若手・新人社員の中には仕事の悩みや不安を1人で抱え込んでしまう人もいるため、気兼ねなく話せるよう上司との「1on1ミーティング」や先輩社員との「メンター制度」などを活用してフォローすることが大切です。

できている部分はしっかりと褒め、できていない部分は改善策を示すことで仕事に対するモチベーションの高まりも期待できます。

メンター制度については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

社内コミュニケーションの活性化

社員同士のコミュニケーションを活性化することも重要なポイントです。

同期同士の横のつながりだけでなく、上司や先輩との縦のつながりも強くすることで、何か困ったことがあった際サポートできる体制を整えやすくなります。

例えば教育担当の社員が急きょ不在となり、他の社員が代役をこなす場合にも有効といえるでしょう。

円滑なコミュニケーションを図ることで若手社員も社内で孤独を感じることがなくなり、自分の居場所はここだと感じられるようになります。

キャリアパスの明確化

自社で働くことでどのような将来像を描けるのか、キャリアパスを明確化することも不可欠です。

例えば現在の業務で身に付くスキルや得られる資格の他、「入社○年目で△△の役職についた社員がいる」「プレイヤーまたはマネージャーとして活躍する道が選べる」など、具体例やさまざまなキャリアの選択肢があることを示すとよいでしょう。

さらに、それに応じたスキルアップの機会を提供することで社員は自身の将来に明確なビジョンを持つことができ、早期離職防止につながります。

ワークライフバランスの改善

働きやすい環境を提供するため、ワークライフバランスの改善に努めましょう。

残業や休日出勤を減らす努力はもちろんのこと、子育てや介護などともうまく両立できるよう「フレックスタイム制」や「時短勤務制度」を導入することも有効です。
自宅が遠く、通勤時間の長さなどがネックとなっている社員には「在宅勤務」や「テレワーク」を認めるなど、さまざまな働き方を柔軟に取り入れることが社員の定着につながります。

早期退職を未然に防ぐための採用活動のポイント

社員の早期離職を防ぐためには、採用活動のプロセスから工夫する必要があります。
採用活動時に心掛けたいポイントは次の5つです。

適正な採用基準の設定

適切な評価基準を設けず、採用担当者の主観的判断によって採用者を決定した場合、入社後社員は「この仕事は自分に合っていなかった」と感じて早期離職につながる可能性があります。

ミスマッチを防ぐためには自社の求める人物像について適正な評価基準を設け、採用担当者間で情報を共有し、応募者の適性を見極めることが大切です。

評価基準は、採用したい人物像を明確にするほか、長く活躍している社員の特徴などを分析することで設定しやすくなるでしょう。

カジュアル面談をする

カジュアル面談とは、主に選考前に行われるカジュアルな面談です。面接よりもリラックスした状態で行われることで企業側と求職者側の双方の理解が深まるため、ミスマッチが起こりにくくなります。
選考前の段階でお互いの希望や求職の際に重視していることを共有すれば、仕事内容の認識や価値観のズレを減らすことができ、結果的に早期退職のリスクも低くなります。
求職者としても、入社後のギャップを減らすことにつながります。

動画コンテンツを活用する

動画で、企業が仕事内容や職場の様子などを動画にすることで、求職者に対して会社への理解を深めてもらうものです。若手採用にはSNS活用なども有効です。
採用活動の各過程で求職者に動画を見てもらい、会社の雰囲気や具体的な仕事内容、経営者からのメッセージなどを伝える役割を持っています。

求職者のキャリアプランをヒアリングする

長期的なキャリアプランも選考時にヒアリングすることで、会社の目指すべき方向性と合うのかをすり合わせが可能です。求職者にとっても、キャリアプランを言語化して企業側に伝えることはモチベーションアップにつながるでしょう。

現場社員との交流会を設ける

内定者が不安を払しょくし、自信を持って入社できるよう現場社員との交流会を実施することも有効です。

具体的には、入社前研修、ともに仕事をすることとなる現役社員と気楽に話せる機会を設けることなどが挙げられます。

採用後の教育とセットで高卒採用を検討

企業が大卒者採用を優先する理由としては、「専門知識を有している」「教育の負担を減らすため」といった理由があります。

学歴に関わらず、2年3年目の離職率に差はなく
1年目の離職を防止するためにも入社時の教育と定着をセットで検討しましょう。
先述したように、研修や育成プログラムは外注も可能です。

ここでは、高卒採用の現状とメリットについて解説します。
また、以下の記事では高卒採用の成功事例を紹介していますので参考にしてください。

高卒採用の実態

当社が2023年4月に実施した「【24卒】高校新卒採用についての企業動向調査」によると、高卒採用の募集人数を前年よりも「増やす」と回答した企業は、31.6%でした。約3割の企業が高校生の採用に前向きな姿勢を示しています。

調査対象企業の約半数(50.1%)が高卒採用をすでに実施していることからも、高卒採用は一般的な採用手法の1つといえるでしょう。

【24卒】高校新卒採用についての企業動向調査

高卒採用を実施する理由には、「若手人材の層を厚くするため(70.4%)」「人材不足のため(50.8%)」との回答が多く見られました。
このことから、若手人材の確保は多くの企業にとって共通する課題であることがわかります。

高卒採用のメリット

高卒採用を行うメリットは、主に2つあります。

1つ目は、「採用業務が減らせる」ことです。
都道府県により多少違いはあるものの、高卒採用は生徒1人が応募できる企業数は限られており、学校からの推薦状を持って応募するため内定辞退がほとんどありません。
企業側は選考を行う人数が少なくて済み、採用業務を大幅に減らせます。

2つ目は、「若手を長期戦力化できる」ことです。
高卒者には大卒者よりも先に4年分の実務経験を積ませられるため、入社5年目(大卒者が入社1年目)の頃には部下を持てるほどの経験値があります。
若手を長期的な戦力として育てることで企業の活性化にもつながります。

まとめ

若手・新人社員が早期離職する理由は、入社後のギャップや職場の人間関係、将来への漠然(ばくぜん)とした不安などさまざまです。

早期離職は、組織の安定性の低下やブランドイメージの悪化を招くため、適切に対処することが求められます。入社後の環境改善だけでなく、「選考プロセスの透明性」や「採用後のフォローアップ」など、採用活動のプロセスから工夫するとよいでしょう。

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