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採用競争を勝ち抜く方法とは【激化の背景や業種別の求人数・就職者数動向も紹介】

求人数は、コロナ禍の令和3~4年で減少し、令和5年から増加傾向です。
求職者よりも求人数が多く、企業にとって働き手が不足している状態が続いています。

出典:令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ|厚生労働省

上記グラフはここ数十年の求人数と、民間企業の求職者数の推移です。
年齢別の人口の推移、進学率の変化などもありますが、令和5年の高卒求職者数は約12万9千人で年々減少しています。
そのため、各企業では、人材獲得競争を勝ち抜くための対策が必要になってくるでしょう。そこで本記事では、

  • 採用競争が激しい業界が知りたい
  • 人材獲得競争へ向けて企業が取り組むべき対策

などの悩みを持つ企業の採用担当様へ向けて、激化の背景や採用競争を勝ち抜く方法を解説します。

日本における採用競争の激化の背景

採用競争において、高卒採用をピックアップして解説しましょう。
特に、日本における採用競争が激化した背景として主に以下の2つが考えられます。

  • 人材の売り手市場化
  • 少子高齢化

それでは、それぞれ具体的に解説しましょう。

背景​その1:人材の売り手市場化

日本における採用競争の激化の一因として「人材の売り手市場化」が挙げられます。
売り手市場とは、求人数が求職者数を上回る状況です。
求人数が求職者数を上回る状況を示す指標として有効求人倍率があります。
例えば、有効求人倍率が1.32倍である場合、仕事を探している一人の人に対して、1.32件の仕事が存在するということです。
2009年8月、リーマンショックの直後には、有効求人倍率は0.42倍でしたが、2023年には1.32倍となり、求人数が増加していることがわかります。
つまり、仕事を探している人々にとっては、1つ以上の仕事から選べ、一方で企業側はより多くの候補者から選ぶことが難しくなります。
そのため、各企業は、優秀な人材を確保するために、独自の採用戦略を見直す必要があると言えるでしょう。

下記の記事は新型コロナウイルスの影響で景気が低迷していた中の採用動向の記事です。ぜひ、参考にしてみてください。

背景​その2:少子高齢化

日本の採用競争の激化は、少子高齢化も大きな要因の一つです。
少子高齢化により、労働力人口(一般的に15歳から64歳までの人口)が減少し、結果として企業が採用できる労働者の数も減少します。
特に日本では、1995年以降、生産年齢人口が減少傾向であり、同じ数の職位に対して応募する労働者の数が減っているため、生産年齢人口の減少が人材獲得の競争を激化させています​。
さらに、高齢者の増加は社会保障費の増大を招き、国家予算の圧迫や企業の人件費負担の増大など、経済全体に影響を及ぼしています。
これらの要因が相まって、企業の採用競争はさらに激しくなっていると言えるでしょう。

参照元:総務省統計局

採用競争が激しい業界とは?

高校新卒者のハローワーク求人状況をみると、高卒の求人数には下記のような変化がありました。

  • 令和2年3月卒:443,346/人(コロナ前)
  • 令和3年3月卒:335,757/人(コロナ禍)
  • 令和4年3月卒:345,563/人(コロナ禍)
  • 令和5年3月卒:401,394/人(コロナ明け)

コロナ禍により、求人数は減少しましたが、令和5年から回復傾向にあります。
では、どの業界の求人が増えているのでしょうか。

参照元:令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ|厚生労働省のデータをもとにグラフを作成

上図は、コロナ前に比較しての求人数の増加率と、直近の求人数のグラフです。

一定数以上の求人数があり、かつ求人数の増加率が高い業種は、下記の通りでした。

  • 運輸・郵便業:120.4%
  • 製造業:120.3%
  • 金融業・保険業:119.3%
  • 宿泊業:飲食サービス業146.9%

一方、求人数の増加率が低い業種は下記の通りです。

  • 鉱業・採石業・砂利採取業:105%
  • 建設業:108.8%
  • 電気・ガス・熱供給・水道業:107.6%
  • 情報通信業:107.7%
  • 医療,福祉:104.4%

上記業種は、令和3年と比較しても1桁のパーセンテージしか求人数が回復していませんでした。
そのため、採用競争の激しい業界と言えるでしょう。

【業種別】求人数と就職者数のギャップを図る

就職者数が増えている業界では、求人数の増加幅とどれだけギャップがあるのかを紹介します。
求人数はどの業界でも減ってはいないので、就職者数が減少している業界は採用競争が激化していると思われます。
そこで、業種別の求人数と就職者数のデータをもとに、令和4年3月卒の有効求人倍率を算出しました。

業種求人数(人)就職者数(人)有効求人倍率
農,林,漁業3,2319853.28倍
鉱業,採石業,砂利採取業4051682.41倍
建設業75,05612,3326.09倍
電気・ガス・熱供給・水道業1,9951,5011.33倍
情報通信業2,9191,3982.09倍
運輸業,郵便業24,5777,9403.10倍
卸売業,小売業46,34617,3192.68倍
金融業,保険業1,9571,6031.22倍
不動産業,物品賃貸業4,1951,2033.49倍
学術研究,専門・技術サービス業7,3062,4922.93倍
宿泊業,飲食サービス業14,8584,7303.14倍
生活関連サービス業,娯楽業14,3253,8383.73倍
教育,学習支援業7065101.38倍
医療,福祉43,04311,0443.90倍
複合サービス事業3,9692,2051.80倍
サービス業(他に分類されないもの)24,2886,4553.76倍
参照元:令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ|厚生労働省のデータをもとに票を作成

有効求人倍率は、業界における仕事の空きと求職者の比率を示しています。
数値が1より大きければ、その業界は売り手市場(仕事が豊富にあり、働き手が不足している状態)である状態です。
1より小さい場合、求職者の方が多く、買い手市場(働き手が豊富にあり、仕事が不足している状態)となります。
上記データからは、各業界における求人と就職の状況が明確にわかります。
例えば「建設業」は有効求人倍率が6.09と最も高く、求職者に対する仕事の空きが多いことを示しています。
建設業で働く人々が不足しているか、またはその業界が拡大している可能性があると言えるでしょう。
対照的に「金融業、保険業」の有効求人倍率は1.22となっており、この業界で働きたい人々に対する仕事の空きが少ないことを示しています。
22年高卒の内定率について知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

人材獲得競争へ向けて企業が取り組むべき対策

人材獲得競争へ向けて企業が取り組むべき対策を紹介します。

具体的な対策として挙げられるのは、

  • 競争力のある求人票作成
  • 地元採用の強化
  • リテンションの強化

の3つです。それぞれ解説しましょう。

対策その1:競争力のある求人票作成

企業が人材獲得競争で優位に立つためには、競争力のある求人票を作成することが重要です。
求人票は、応募者に対する企業の最初の印象を形成するため、内容は明確で魅力的でなければなりません。
まず、企業のビジョンやミッション、カルチャーを明確に伝えることが重要です。
企業の目指す方向性や価値観を共有する求職者を引き寄せられます。
次に、応募者が期待できる具体的な給与、福利厚生、キャリアパスなどの情報を含めましょう。
求人票の情報は、求職者が自分の将来を想像するのに役立ちます。
また、ポジションに必要なスキルや経験を明確に記述することで、応募者が自分自身を評価し、該当するかどうかを判断するのに役立つでしょう。
最後に、応募プロセスを明確に説明し、応募者がどのようにしてプロセスを進めることができるかを示すことが重要です​。
高卒採用の求人票の役割や詳しい記載方法は、下記記事でも紹介してるので、参考にしてください。

対策その2:地元採用の強化

地元採用の強化も有効な対策の一つです。
地元の高校生を対象としたインターンシップや職業体験を提供することで、学生たちに対して早い段階で自社の魅力を伝えられます。
また、地元の高校やコミュニティに積極的に関与し、地元の人々とのつながりを深めることも重要です。
地元採用の強化活動は、学生たちが企業に対して肯定的な印象を持つことを助けるだけでなく、企業のブランドイメージを向上させ、地元の人々からのサポートを増やすことにもつながります。
さらに、地元の高卒生を採用すると、企業は地域への貢献にもつながります。下記記事にて、地元採用を強化した高卒採用の成功事例を紹介しています。
高卒採用での成功の秘訣や、高校生に向けた魅力の伝え方が知りたい方は参考にしてください。

対策その3:リテンションの強化

人材獲得競争へ向けてリテンションを強化するのも有効な対策の1つです。
リテンションとは、既存の従業員を満足させて長期間在籍させるための戦略です。
特に高卒採用においては、初期のキャリア形成段階での満足度が将来の離職率に大きく影響を与えます。
リテンションを強化するための対策としては以下のようなものがあります。

  • はじめての仕事に不安を感じる高卒者に対して、十分な教育と研修を提供し、自身のスキルを向上させる機会を与える
  • 長期的な視点でキャリアパスを明確にし、その達成に向けた支援を提供する
  • 働きやすい環境を作ることで、従業員の満足度を高め、長期的な離職を防ぐ
  • 従業員の声を定期的に収集し、それに基づいて改善策を講じる

上記対策により、企業は高卒者のリテンションを強化し、人材獲得競争での優位性を確保できるでしょう。
下記記事にて、離職率を下げるために採用担当ができる改善策をシチュエーション別に紹介しているので、参考にしてください。

【まとめ】人材獲得競争へ向けて、有効な採用戦略を立案しよう

就職者が減る業界においては、待遇面や会社や職場のイメージ向上が必要でしょう。
また、他社の求人内容をみて、自社の求人にどのような特徴を持たせられるかを考えるのも良いでしょう。その際は、「求人レベル」で考えるのではなく「会社レベル」で強みや特徴を洗い出すことからはじめてみてはいかがでしょうか。

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