高卒採用における内定者フォロー~内定後から入社までに人事担当ができること~
高卒採用では、ハローワークによって1年間の採用スケジュールがある程度決められています。人事担当は、求人票の作成や学校訪問、面接の時期など計画を練って動く必要があります。
今回はそんなスケジュールの中でも、特に高校生の新卒の「内定辞退率」を大きく左右するといわれている「受入準備」で心がけることについてまとめました。
目次
1.高卒採用における入社までの内定者フォローを考える
2.入社式の連絡・準備物リスト
3.入社後の研修・フォローを考える
2-1.研修体系を考える
2-2.フォローの仕方を考える
4.まとめ
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1.高卒採用における入社までの内定者フォローを考える
内定をもらった後の「高校生のモチベーションの推移」について、実際に高卒新卒で入社した社員にヒアリングを行い、就職活動中~内定~入社式までの期間で簡易なグラフを作成しました。
グラフを見ると、内定時期をピークに入社に向けてのモチベーションが下がっていることがわかります。
このグラフは内定後何もフォローをしなかった場合のモチベーションの推移です。
ジョブドラフトtwitterアカウントに、内定後何もフォローがなく不安に思っている高校生からの投稿がありました。
それは不安ですよね?質問ありがとう?会社が高校生に直接連絡することがルール上NGなので、先生に相談してみてね♪相談しにくい方は、ライン公式アカウントでも相談受付中?私たちから先生or会社に連絡してみま…
続きは質問箱へ #Peing #質問箱 https://t.co/bDKiNLGRgQ
— ジョブドラフト@高校生の就職を応援⭐【公式】 (@JOB_DRAFT) January 16, 2020
「2019新卒者募集のために」の手引きによると、“就業開始は「卒業日の翌日以降」となること。なお、卒業前の実習、教育、研修に当たっては、学校教育に支障をきたすことが考えられるため教育等は入社後に事業主の指揮命令のもとで実施すること。”と明記があり、研修や課題などは就業開始後に行うことと表記されています。
しかし、高卒採用だから内定者フォローをしてはいけないということではありません。
内定者フォローを何もしないと、上記の内定後の高校生のモチベーションの推移や、質問箱の高校生のように不安が募ってしまいますから入社までの期間で内定者フォローは何かしらするように心がけましょう。
内定者フォローを行うことで、以下の効果が見込めます。
1.モチベーションが上がった状態で入社できる
2.入社と同時にスタートダッシュが切れる
3.早期離職の防止が見込める
入社前後で会社にやって欲しかったことを高卒者にヒアリングしました。
「研修」という名前ではない食事会
同期との顔合わせ(大卒・高卒混合で)
親睦を深められる機会
入社後少しでも早く環境に溶け込めるもの
物件探し(全く分からないため)
会社で規定している制服の採寸や懇親会などの行事を作っても良いでしょう。
しかし、会社や内定者の事情によっては内定者が一か所に集合するようなフォローは難しい場合があります。
そんな場合でも、どんな人が働いていて、どんな仕事をしているのか先に伝える方法もあります。社員からの寄せ書きやお手紙を贈ること、内定者が在籍している高校にアポイントをとり訪問して内定者に挨拶をする。といった行動でも高校生の不安な気持ちは解消できるはずです。年末年始・社内行事・卒業式前など、定期的に情報提供をすることが大事です。
内定者フォローを行う場合は、必ず高校の進路指導の先生にフォローの可否を確認し、フォロー内容の検討、高校への通知を行いましょう。
入社前の内定者フォローに関して詳しくは、下記記事をご確認ください。
2.入社式の連絡・準備物リスト
高卒採用の場合入社式の連絡は高校の先生を通して行うことになります。
企業により時期や内容が異なりますが、高校生に案内を送る2月までに事前準備が必要なものをチェックするようにしましょう。ここだけは押さえておきたい連絡事項と準備物をまとめてみました。
入社式のご案内
☑ 入社式当日の集合時間・場所・持ち物・服装
☑ 入社する前に準備してもらうもの(住む住所の確定・住民票・助成金を申請する企業は卒業証書・卒業証明書・給与振込の口座・印鑑など)
☑ 入社後研修のカリキュラムや必要なものや服装
2月頭ごろに入社式の案内と事前に準備してもらう内容を高校生に伝えます。学校の先生に渡してもらうため、自由登校に入る前に送付するようにしましょう。
ご案内の書類は、高校生分だけではなく先生分も用意すると良いでしょう。
生徒に送る書類は別途封筒に入れて渡してもらうなど迷わないような配慮や、前章でお伝えした社員からの寄せ書きや手紙などもこの時期に同封しても良いかもしれません。
入社前に準備すること
☑ 社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)
☑ 賃金
☑ 福利厚生(社員寮・団体生命保険加入・健康診断など)
☑ 備品・貸与品の準備
☑ 労働条件書
☑ 口座開設用紙
☑ 就業規則の印刷
受入研修・教育関連
☑ カリキュラムとスケジュール作成
☑ 講師の選定と依頼
☑ 研修場所・昼食等の準備
☑ テキストの準備
☑ 研修フォロー方法・配属先でのフォロー体制の構築
配属関連
☑ 配属先の決定と通知
☑ 受入準備・指導社員の決定
☑ OJT計画
3.入社後のフォロー・研修を考える
入社後のフォローや研修についてもこの時期に考えておくことが重要です。
特に高校生は、社会人と学生のギャップが大きいです。注意する点は、「分断」をすることです。親・先生など頼りにしていた存在との分断です。分断ができないと、バイトの延長感覚で仕事に取り組んでしまうことがあります。
例えば「親への感謝の手紙」を書かせることで、自分が社会人になったことに気づき、分断ができるとも言われています。
次に入社後の社員の心境の変化を見てみましょう。
入社後4月~5月に社員が抱える不満
なじめない
自分の思っていた仕事ではない
仕事を任せてくれない
先輩と合わない
6月~9月に社員が抱える不満
自分の出来なさ
周りに迷惑をかけた
同期が成果を出しているのに自分は成果が出せない…
仕事で失敗した
不満の矛先が、環境から自分に向くように変化していっていることが分かります。
3-1.フォローの仕方を考える
入社後の高卒社員へのフォローは、入社後の心情の変化に合わせて対応を考えていく必要があります。
4月~5月は、期待していること、どう成長して欲しいのか、何故その仕事をやるのか、将来にどうつながるのかを説明することが重要です。目の前の仕事にいっぱいになって苦しくなることが多いので、先のことを見せてあげることが重要です。
6月~7月は、自分が成長していること、ステップアップの道筋や、本人の仕事のビジョンを考えさせることが重要です。新卒の成長角度は非常に高いですが、本人は自覚していないものです。あえて過去を振り返り、成長を実感とやる気を高めることができます。
入社後の高卒社員へのフォローで、まず決めることは、「どのような人材に育成するか」です。
1.キャリアビジョンは明確か
2.入社1か月目にどんな育成をするのか(離職の一番多い時期が入社2ヶ月以内です)
3.誰が育成担当になるのか
見落としがちなのは、受け入れる側の現場の上司に対しての事前の意識付けです。意見を吸い上げて二人三脚で進められると良いですね。
人事がフォローしている期間に、その生徒の特長、性格、スキルなどを配属先の上司に渡しておく。
上司に、大卒と高卒は別のものだと理解をしてもらい期待値調整を行うこと。「このくらいはできるだろう」と認識が合わないことがあります。
現場で直接指導する先輩にも、教えるべきものの順番を整理する。
人事は入社後1年間、短くても10月までは定期的に高卒新卒社員本人と上司にフォローを行うのが望ましいです。
3-1.研修体系を考える
教育を考える上で、新卒教育に限らず、新卒~役員に至るまでの研修やキャリアアップの流れを整理する教育体系図が必要です。その上で、自社に不足している層の研修を客観的に把握します。
特に入社3年目までを手厚く考えましょう。
大切なのは、前段落でも記述した通り「どのような人材に育成するのか」を考えること、またその教育方針が社内で共有なされていることです。
具体的な研修例
➀ 外部の講師を招く
② 人事面談(月1回程度)
③ 1on1ミーティング
④ 外部メンター
⑤ 月1回の集合研修
⑥ 外部セミナーに行かせる
研修体系を考える上では、研修を開催したからと言ってそれが直接成果になるわけではないことを分かっておきましょう。
どんな研修をしたのか配属先の上司に報告を行い日々の業務で教育をしてもらうことが重要です。
高卒の研修で気を付けると良いポイント
1.アクティビティを多めにすること。
通常の研修ですと、「座学→アクティビティ(実証する)」という流れが多いですが、「やることを伝える→アクティビティ→振り返り→もう1度アクティビティ」 と何度も繰り返すことで腹落ちします。
2.簡単な言葉を使うようにする。
3.喜怒哀楽を豊かにして接することで伝わりやすくなる。
4.習得度を見ながら進める。
コンテンツをやり切ることに注力するのではなく、臨機応変に、一つのコンテンツを長めにとったり、途中で辞めてもOK。
5.年の近い先輩社員に講師をお願いする。
ジンジブの運営する、高卒新卒社員向けの1年間の研修プログラム+メンテナンス「ルーキーズクラブ」では、ジンジブが1年間を通して高卒新入社員と人事担当者様をサポートします。
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4.まとめ
高校採用では、今の時期から内定者フォローだけでなく、入社後のフォロー・教育体制も構築していくことが重要です。特に、高卒社員に期待すること、どうなってほしいかを明確にし、社内にも共有を行い一緒に育てていくことが重要です。
内定者フォロー・入社後フォローともに行い、研修カリキュラムを事前に準備し、1年以内の早期離職の軽減と活躍社員へと育成していきましょう。
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