高卒を育て上げる【高卒採用成功事例vol.3 株式会社一門会様】 | 記事一覧 | 高卒採用Lab 高校生採用を科学する

高卒を育て上げる【高卒採用成功事例vol.3 株式会社一門会様】

老舗企業でも高卒採用をはじめて人材育成への挑戦を行う企業があります。
高卒採用を支援するジョブドラフトへ掲載企業の担当者に採用活動の体験談を聞く、高卒採用成功事例シリーズ。
今回は、行列のできる「串かつ だるま」を大阪で運営する株式会社一門会の取締役藪口様に、高卒採用の活動内容や人材育成についてお話を伺いました。

目次

(1)高卒を始めたきっかけ 新規店舗出店のため高卒に絞って採用活動を開始
(2)注力した採用活動 ~高校生に効く採用活動~
(3)高校生の育成教育 ~高校生をどう育てる?~

(1)高卒を始めたきっかけ 新規店舗出店のため高卒に絞って採用活動を開始

‐まずは御社のことについて教えてください。

私たちは昭和4年の創業から90年で、大阪に13店舗を構える「串かつ だるま」を運営する会社です。
全国に“ソース二度づけ禁止”を広めたお店でもあります。
芸能人の来店や、テレビ取材も入ることもあるので、観光客の来店も多く、安倍総理も串かつを食べに来ました。
2003年の会社設立以降、16年連続黒字経営の成長を続けています。

‐高卒採用を行うに至った経緯を教えてください。

これまでも高校生向けの求人票は出していましたが、近くの高校の先生に対してお渡しする程度で毎年1~2名の入社できればいい方でした。
飲食業では、人がいなければ新店舗が出せません。当社も2年前に新店舗を出してから、新規出店ができていませんでした。

そのため去年から高卒採用を強化し、自前で社員を育てることを決めました。

 

‐高卒採用を初めて、採用成果はいかがでしたか。

初年度である、昨年は、5名採用出来ればと思っていましたが、多くの応募を頂くことができ、23名の内定を出すことができました。
地方からの応募も多く、内定23名のうち7名が大阪でそれ以外が府外でした。
修学旅行や家族旅行先が大阪で、お店を知ってもらう機会が多かったというのもあります。
今年も現段階で目標をオーバーして応募を頂いています。

 

(2)注力した採用活動 ~高校生に効く採用活動~

‐ジョブドラフト1年目はどのような活動を行いましたか。

1000校以上への求人票の配布、採用動画製作、高校訪問などを行いました。

まず着手したのは、自社のリクルートサイトのリニューアルです。
また採用動画をジョブドラフトに契約してすぐに製作し、リクルートサイトにも掲載しました。
高校生は求人票を見た後に、一度ホームページを見るそうなんです。
ジョブドラフトや当社のサイトを見て、仕事の流れを把握してもらいやすいようにしたところ、求人票を送らなかった地域からも応募がありました。
石川や名古屋、沖縄からなどです。
ジョブドラフトは企業ページから求人票が見れるのが良いところです。

 

‐求人票だけですと、届けていない学校の高校生にとっては知る術がないので嬉しい成果ですね。

ジョブドラフトは手軽に見ることが出来るので使いやすいですね。載せていて良かったと思いました。
昨年は10月以降、年明けまで応募がありました。一回他社でダメだった生徒、通信制高校の生徒も採用しましたが、非常に努力家で頑張ってくれています。

色々なところに良い人材がいるんだと感じました。

 

‐特に効果的に感じた取り組みは何でしたか。

一つは最初の段階で採用動画を製作したことです。
圧倒的に情報量が多く、高校生にとっては頭に入りやすいですし、学校訪問で先生に見せる時にも多くを語らずに伝えらえました。
当社は会社名とお店の名前が異なります。
エンドユーザーと直接的に関わらない仕事をしている会社も「建設業です。」と言うより、動画を見せて「こんな会社です。」と伝える方がはるかに伝わります。
これまで条件のみの文字情報だった自社リクルートサイトに動画を掲載し、これまでアルバイトしか反応がなかったのが、この1年間で中途採用の応募が2名ありました。
導入で動画や採用パンフレットは少し費用がかかりますが、全体的にも効果が波及するので、採用活動を始める前に作ることをお勧めします。
ツールが揃えてやるべきことが明確になったことが多く採用できた要因だと思います。

二つ目は、「職場見学を頑張る」ということです。高校生の職場見学を随時受け付けています。
昨年は、職場見学でも20数件ありましたが、集団で受け入れするのではなく、全て個別に対応しました。
1時間話をして、1時間店内を見たり、串かつを食べたりと、体験をしてもらいます。職場見学からの応募率に拘っていて、見学後、半分は面接に来て頂けています。

 

‐3社に1社応募が来るのが標準と言われているので高いですね。

職場見学の対応の仕方一つで応募率が大きく変わります。高校生は仕事内容も見ますが、従業員や対応した人を見ています。
おそらくどこの企業でも「うちの会社は良い会社ですよ。」と話をします。
人には合う・合わないがありますが、高校生はまだ合う・合わないが分かりません。
そのため当社では、現場を見せた後、実際に去年入社した高卒社員に何でも質問できる時間を設けました。
私は口をはさみません。
「休みは取れますか?」
「寮はどうですか?」
など率直に質問してもらいます。
高卒社員が入った今年から始めたのですが、昨年より見学者からの応募率が増えました。
見学に来た高校生には、「職種で決めるのも良いけれど、現場の社員がイキイキとした顔で働いているかを見て決めた方が良い。」と伝えています。
見学に来てもらうまでが難しいので、「生徒が来たら必ず惚れさせる!」という想いでやっていますね。

‐応募率を一番気にされる人が多いですが、高卒は見学率が非常に大事です。掴まれている企業掴めていない企業がいると思いますが、何かアドバイスはありますか。

私は、ジンジブクラブ(ジョブドラフトが主催する人事向け勉強会&交流会)が非常に参考になりました。
今はオンラインになりましたが受講しています。
色々な業種や、長く高卒採用されている企業の人事の方と知り合えました。

僕は高卒採用が初めてで求人票の書き方も適当でした。
ほとんどの中小企業では、会社名と業種や仕事内容が一致しません。
僕らの会社も一門会では分からない、でも「串かつだるま」であれば知られています。
その場合の書き方も皆さんに丁寧に教えて頂いたり、採用から内定後のフォロー、面接率や応募率どのようにしたらどのような結果が出るのかまで情報共有が出来たのもとても参考になりました。
今年が上手くいかなかったとしても、蓄積をして来年に活かせます。
当社は23名入社して、残念ながら4名退社してしまいました。次の課題は定着です。
高卒の採用はポテンシャル採用ですので、ポテンシャルを見出し、その才能を伸ばす研修を作っていきます。

ジンジブクラブでどんな研修や教育をやっているのかを聞かせて頂きました。来年は修正して行いたいと思います。

 

(3)高校生の育成教育 ~高校生をどう育てる?~

‐高卒はすぐ辞めるからやりたくないという企業さんもいます。

人手不足だからこそ、人に時間と労力をかけないと、中小企業は生き残っていけません。
研修する人の人件費、研修内容も考える時間もないし労力が惜しい、という意見も分かりますが、そこを頑張って人材を育てていくことが不可欠であると考えています。
企業間での人の取り合いや、人手不足による人件費の高騰で中小企業は疲弊しています。
大企業にはできない細やかな採用から人材育成の仕組みを構築しなければなりません。

今年はまだまだ課題が残る1年ではありますが、今年1年は採用して1期生が入り、1年間みんなで一生懸命育てようと言って教育に取り組んでいます。来年この子たちに後輩が入ったらどう変わるかが楽しみにしています。

もちろん、退職してしまう人もいます。働くことが初めての人もいるので、仕方ない部分もあります。
企業として至らぬ点があり、一人前の社会人に育て上げれなかったことを先生に謝罪します。
しかし、弊社で社会人1年目を迎えた18歳の若者をどれだけ一人前に育てられるかを挑みたいです。
大卒も中途も離職のリスクは同じくあります。

4月時点社会で働く状態になっていない高卒者を、いかに働くベクトルにするかは1年かけて取り組んでいます。
研修ではマナー研修、社会人として、チームビルディングなど自作しました。あとは、だるまの歴史、自分の考えていることを伝える練習、一番は同期同士の仕事や悩みの共有を行っています。
外部研修も必要だと思いました。社内で作るのは、産みの苦しみもありますし、社外研修だと、規律や雰囲気が違います。
ある一定の水準の教育を受けさせることができ、他社さんとの刺激も得られます。アウトソーシングできることはしても良いと思います。

 

‐新卒に多くの求めてしまいがちでは?

現場ではそうだと思います。戦力の1名で数えてしまいますよね。
お客様からも求職者からも選ばれる企業になることを考えなければと思っています。
入社したから、給与支払ったから、やってもらえる訳ではないです。

高卒者への研修は必須です。何も教えないで活躍できる高校生はいません。
最初からモチベーションが高く、何でも吸収し成長する高校生ばかりであれば良いですが、成長の素地づくりが重要です。
OJTだけでは得られないことがあります。
仕事の姿勢や考え方、マインドを教えることができるのは現場ではなくOFF JTです。
辞めにくくする、仕事の飲み込みを早くさせるのもOFFJTの役割です。

「辞めたら次の人。誰でも良い」ではなく、「この人しかいない!」と思って教育していくことが大事です。

 

‐最後に高卒社員に期待することを教えてください。

伝えたいことは「焦らずじっくりと。」です。
新入社員には、4月から社会人になりますが、仕事の楽しみを見つけて欲しいと思っています。
お金をもらうのは大変なことです。楽しみを見つけないと嫌になってしまいます。
好きなことは、接客、調理、話すこと、食べること、何でも良いのです。
当社では「休みの日は必ず休みしっかりとメリハリをつけて働く」ように伝えています。

女性社員達が休みを合わせて、他の店舗のだるまを食べにいったりしてくれています。
好きになってくれているんだなと思います。

「好き」は、人が与えてくれるものではないので自分で探して欲しいと伝えています。
また1年目は土台作りです。
「これから働くための骨格」つくり。
2年目から一歩ずつ進んでいく、それで良いんです。

‐貴重なお話ありがとうございました!

ジョブドラフトでは全国2,000社以上の企業様の高卒採用をサポートしています。
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