「うまくいかない」と悔しかった日を超えて。19才のトリックアート美術館スタッフが、笑顔で感謝されるまでの成長物語

小さいころに家族で遊びに来て「楽しかった!」と印象に残っている那須とりっくあーとぴあ。
益子綾菜(ましこあやな)さんは高校卒業後、思い出の場所を運営する株式会社エス・デーで働き始めました。
益子さんは高校生の頃、進学か就職かで悩んでいた時期も……。
家庭の事情もあり「働く」と決めてからも、不安な気持ちは簡単には消えませんでした。
入社後は接客の難しさにぶつかり、涙を流した日々。
それでも、周りの先輩たちに支えられながら、少しずつ前に進んできました。
悩みながら選んだ就職という道。
その先にあった成長の姿は、今まさに進路に迷う高校生にとって、大きなヒントになるでしょう。

小さいころの思い出が将来の仕事になるなんて
高校時代はどのように過ごしていましたか?
学校が終わったら友達と買い物に行ったり、カラオケに行ったりしていました。テスト帰りとかに、みんなでワイワイ話しながら歩いている時間が一番楽しかったですね。
なぜ就職を選んだのでしょうか?
実は高校2年生のときから、進学か就職かという進路希望調査がありました。でも私はギリギリまで悩んでいたんです。
進学も考えましたが、家庭の事情もあって「早く自立して、家族のサポートができたらいいな」と思って就職を決めました。
就職活動の流れを教えてください
3年生の春頃から少しずつ動き始めました。
本格的な就職活動というよりは、まずは興味のある業界や会社を調べたり、見学やインターンに参加したりするところからスタートしたんです。
その後、夏休みに入る前の7月には本格的に就職活動を始めました。
就職について誰かに相談しましたか?
一番相談していたのは親ですね。
進学するか就職するかでとても悩んでいたので、まずは家族に話を聞いてもらっていました。
また、家族以外にも担任の先生や高校時代に当時お世話になっていた先生に相談することも多かったです。
エス・デーに応募した決め手は何ですか?
実は、最初は別の会社を受けたんですが合格できなかったんです。どうしようと悩んでいたときに、担任の先生がこの会社をすすめてくれました。
トリックアートは小さい頃に遊びに来て、楽しかった思い出がずっと残っていました。実際に職場見学に行ってみたら、仕事内容や職場の雰囲気が自分にすごく合っていたんですね。ここで働いたら楽しそうだなと思って、就職を決めました。

想像していたよりも人と近い接客だった
仕事内容を教えてください
当社が運営するトリックアート施設のひとつ「那須とりっくあーとぴあ」で館内のお客様対応をしています。トリックアートの魅力をお伝えしたり、館内をご案内したりしながら、写真撮影のサポートもします。
一日の流れは、まず館内でお客様の受付をして、その都度トリックアートの説明や写真撮影をお手伝いします。夕方には館内の清掃をして、事務所へ戻ってからは翌日の準備をして一日が終わります。
仕事で一番苦労したことは何でしょうか?
一番大変だったのは朝ですね(笑)もともと朝がすごく苦手だったので、毎日決まった時間に起きるのに苦労しました。
仕事面では、やはり接客ですね。入り口で受付をするだけだと思っていたのに、ここは館内を回りながらお客様と近い距離感で接客をするんです。最初は、どんなふうにお客様に話しかけたらいいのか分からなくて悩みました。
今は慣れてきましたか?
はい。最近は少しずつ慣れてきて、部署で運用しているInstagramの動画づくりにも関わっています。
動画のお手伝いをしたり、先輩たちと「今の時代なら、こうした方が楽しいよね」とアイデアを出し合いながら撮影したりする時間がものすごく楽しいですね。
やりがいを感じる瞬間を教えてください
トリックアートに来てくださるお客様の中には、最初は少し距離を感じる方や、あまり表情が動かない方もいらっしゃいます。でも、館内を案内しながら少しずつお話ししたり、写真撮影をお手伝いしたりしているうちに、表情が和らいでいくんですよ。
最初はあまり乗り気じゃなかったお客様が、帰るときに「楽しかったよ」と笑顔で声をかけてくださるときは嬉しいですね!
「接客をしていてよかった」と、心からやりがいを感じます。

心の持ち方が変わった1年目の経験
影山さんにお伺いします。益子さんの働きぶりはいかがですか?
定期的に相談の時間を設けているのですが、真面目で努力家の性格なので、最初の頃はお客様への対応が「うまくいかない」と悩んで、話の間に涙を流すこともありました。先輩や上司からのアドバイスをもらい、「がんばりたいです」と前向きな気持ちになって、翌日にはまた笑顔で接客をしていました。彼女は苦手なことにも目をそらさず、一つひとつ課題に向き合ってきました。
印象に残っているのは、つい先日の出来事です。
入口でお客様に説明をした際、ほんの3分ほどの案内だったのですが、「すごく分かりやすかった。ありがとう」と声をかけていただき、そのままお客様が笑顔で館内に入っていかれました。
その様子を見たときに、「益子さん本当に成長したな」と実感しました。
最初は接客に悩んでいた益子さんが、しっかりと説明し、お客様が安心して楽しまれている姿を見て、よくここまでがんばってきたなと思いましたね。
益子さんはご自身が変わったと思われますか?
そうですね。最初は、トラブルやイレギュラーなことが起きるとすぐにパニックになっていたんです。
でも、今は「自分にできることをしよう」「まずは先輩に相談しよう」と落ち着いて考えられるようになりました。
モチベーションは何ですか?
一番のモチベーションは、職場の人間関係だと思います。スタッフ同士の距離感がとても心地よくて、自然体でいられる職場なんです。
もちろん先輩・後輩・上司という立場の違いはありますが、みんなで集まって話す機会があったり、イベントのときには「みんなで盛り上げよう」という雰囲気があったりして、チームで働いている実感があります。
この職場で働いていることで、自然とやる気が沸いてきますね!
とても素敵な職場ですね
はい。先輩方がとても丁寧に教えてくださいます。
できていないことはきちんと指摘してもらいますが、ただ注意するのではなく「こうした方がいいよ」と優しく伝えてくれます。なので、たとえ落ち込むことがあっても、「自分のために言ってくれているんだ」と前向きに受け止められるようになりました。
もっとがんばろう!と思えるので、ここまで続けてこられたのだと思います。
プライベートの楽しみはありますか?
有給休暇を使って旅行したいという目標があります。
コロナの影響で修学旅行に行けなかったので、「次はここに行こう」と楽しみがあるからこそ、日々の仕事も前向きにがんばれますね!
支えてもらった感謝を胸に、次は私が支える番
目標にしている先輩はいますか?
入社してから教えてくださっている先輩がいて、最初は分からないことが本当に多かったので、たくさん指導していただきました。正直、その頃はちょっと怖いなって思っていたんです。でも、関わっていくうちに「ちゃんと私のことや周りのことを見てくださっているんだ」と考えるようになりました。
みんなのことを考えながら行動している姿を見て、私も先輩みたいになりたいなと思います。
それから、私が入社したときに新人教育を担当してくださった先輩もいます。その方は本当に丁寧に教えてくださって、私が落ち込んだときも、ずっと支えてくれました。
なので、これから後輩が入ってきたら、仕事だけを教えるのではなくて、メンタルも含めて支えられる先輩になりたいなと思っています。
進路に悩んでいる高校生へメッセージをお願いします
私も、進学と就職ですごく悩みました。
たぶん、今悩んでいる高校生のみなさんも、最初は本当にたくさん考えると思います。
でも、正直なところ、実際にその道に進んでみないと分からないことは多いなと感じています。どちらが「絶対に正しい」ことはないと思いますし、もし入ってみて、違うと感じてもやり直すことはできます。
なので、一つの選択に縛られすぎずに、「こっちをやってみたいな」と思った方に、一度チャレンジしてみるのもいいと思いますよ!
まとめ
「高卒採用」という選択は、高校生にとっては大きな挑戦ですが、受け入れる企業にとっても組織を活性化させる大きなチャンスです。
今回お話を伺った益子さんの姿からは、高卒新卒ならではの「吸収力」と「急速な成長」を感じました。
入社当初は涙を流すほど不安だった18才の若者が、わずか数ヶ月で「お客様に感謝されるプロ」へと成長し、今ではInstagramでの発信など、若者らしい感性を活かして会社に新しい風を吹き込んでいます。
企業側が益子さんのように「まずはやってみたい」という芽を大切に育て、定期的な相談やメンタル面のサポートなどの環境を整える。そうすることで、高卒社員は驚くほどのスピードで自社の文化を吸収し、数年後には現場を支えるかけがえのない戦力へと育っていくでしょう。
益子さんとエス・デーの歩みは、高卒採用が単なる人員確保ではなく、企業の未来を共に創る「人財育成」の第一歩であることを教えてくれます。
【企業情報】
企業名:株式会社エス・デー
従業員数:社員42名
業種:トリックアート美術館企画制作、トリックアート壁画制作、トリックアートイベント展企画制作、直営美術館企画、制作、運営