ダイナミックな現場で抱いた憧れと5年の成長ストーリー【高卒社会人のリアルキャリア】

「高卒で社会に出て、ちゃんとやっていけるのだろうか?」
今、多くの高校生や保護者が、そんな不安を抱えています。
若手人材が求められる時代にもかかわらず、高卒新卒者には「即戦力になれるのか」という懐疑的な目が向けられることも少なくありません。
そんな中、横浜鉄構株式会社は、経験ゼロから若手を育て上げる文化を築き、高卒採用に本気で取り組んでいます。
ダムや水門など社会インフラを支える小規模精鋭の建設会社である同社は、着実に成果を上げています。
今回は、現場監督の見習いとして成長を続ける、入社5年目の荒嵐(あら・あらし)さん(23歳)に話をうかがいました。
彼のリアルな声から、「高卒だからこそ掴めたチャンス」と「若手育成に本気で向き合う企業の力」をお伝えします。
目次

遊びたい、でもアルバイトに本気だった高校時代
荒さんは、神奈川県相模原市出身です。高校時代は定時制に通いながら、昼間は回転寿司チェーン大手で4年間アルバイトを続けていました。
「外で遊ぶのが好きで、勉強はあんまり…。でも、働く経験がしたいのとお金を稼ぎたいのとでアルバイトには真剣でした。」
そんな荒さんは、最初から「就職」という選択肢を意識していました。
「もともと勉強は苦手だったし、社会に出たほうが早く稼げると思ったんです。
兄の影響もあり高校に入学する時から就職しようと決めていました。」
周囲の進学ムードに流されることなく、自分の道を見定めていた荒さん。しかし、就職先選びは決して簡単なものではありませんでした。

横浜鉄構株式会社との出会い「職場見学で感じた運命」
「最初は足場の会社とか、とび職に興味がありました。でも、求人票を見ても正直よくわからなくて…。」
進路指導の先生や母親に相談しながら、求人票の見方を学び、お給料だけではなく休日数や福利厚生などもきちんと確認するようになりました。
そんな中、ふと目に留まったのが横浜鉄構株式会社の求人票でした。
お給料、休日数、福利厚生、その他にも普通科高校で建設に関する資格を持っていなかったため、「資格取得制度有」にも目が留まりました。
「もう1社見ていた会社はあったのですが、神奈川県の高校では1社しか受けられないので。」
そして8月、職場見学をしに横浜鉄構株式会社を訪れた荒さん。
そこで目にしたのは、ただの工事現場ではありませんでした。
1度目は何もない土地に、巨大な水門が少しずつ形作られていく現場風景、そして、温かく迎えてくれた社員たちの姿でした。
「こんなスケールの仕事に、自分も携わりたいと思いました。会社の人たちも、家族みたいに接してくれて。ここなら頑張れるかもしれないって思ったんです。」
2回目は、社長に会って、会社や会社寮のアパートを案内してもらいました。
職場見学での出会いが決め手となり、荒さんは横浜鉄構株式会社への入社を決めました。
成長ゼロからのスタート 現場で育てられた日々
入社後すぐに現場で活躍、というわけにはいきませんでした。
最初の半年間は倉庫でひたすら道具の名前を覚え、使い方を練習する日々が続きました。
「入社してから半年は現場がない時期だったので、とにかく準備ばかりでした。地味だけど、今思えばすごく大事な時間でした。」
半年後、ようやく初めて岩手県釜石市の水門工事の現場に配属されます。
待ちに待った現場です。
「右も左もわからない中で、まずは、先輩に言われた道具を持っていったり。そのあとはグラインダー(鉄やステンレスなどの鋼材を切断、研磨する工具)を使って仕上げ作業を繰り返しました。初めは怖さもありましたが、やっと現場に立てた喜びがありました。」
最初は同期の社員と3つの現場を1週間ずつローテーションで回りました。
次の現場は、栃木県鹿沼市のダムで2年半の工事でした。
少しずつ現場の感覚を体に刻み込みながら、荒さんは着実に経験を積んでいきました。
「長期の現場では会社がアパートを用意してくれます。
いろんな場所や環境で働くことも楽しみの一つです。同じ場所で同じ仕事の繰り返しをすることでは飽きてしまって。山や海の近くなど、ロケーションが変わるだけでも楽しいんです。
実家に、友人、社宅のアパートと自分の居場所が増えることは、全然苦ではないんです。」

「何もない場所に、自分たちの手で形を作る」達成感
現在、荒さんは静岡県浜松市の津波対策の水門工事の現場で、現場監督の見習いとして活躍しています。
「最初は本当に不安しかなかったです。現場監督としての水門工事は初めてでしたし、3つの水門を据え付ける工事でサイズも大きい。そんな中、今まではサポート役だったのが、今度は指示を出す側になるんですから。
それでも、ベテランの先輩にサポートしてもらいながら、一つ目の水門工事をやり遂げました。少しだけ自信が芽生えてきました。
同じ水門を建てるのでもロケーションによって工事は全く違うんです。
何もない場所に、仲間と一緒に自分たちの手で大きな構造物を作ること。それが形になったときの達成感は、言葉では言い表せないです。」
現場で汗を流し、試行錯誤を重ねる中で得たもの、それは、机上の知識では到底たどり着けない、確かな「手応え」でした。
育てる企業、支える文化 横浜鉄構株式会社の取り組み
横浜鉄構株式会社は、小さな会社ながらも高卒採用に本気で取り組んでいます。
初めて高卒社員を受け入れたときから、「経験ゼロでも社会人として一人前に育てる」ことを目標に掲げ、育成方法を手探りで模索してきました。
採用担当で、先輩でもある関さんはこう話します。
「荒くんの入社前の職場見学の日のことはよく覚えています。作業現場に車で連れていきました。
挨拶も律儀でしっかりした子だという印象でした。
最初は教育に手探りでしたが、毎年後輩たちが入社してくれ、今は一人ひとりに合わせた教え方ができるようになってきました。」
普通科高卒の出身で、建設に関わる資格を持たずに入社した荒さんも、会社での資格取得の支援を受けながら、今では特別教育含む資格を15種以上取得しています。
会社全体で若手を支え、育てる空気があるからこそ、荒さんのような成長が実現しているのです。
これからの挑戦「一人前の現場監督を目指したい!」
荒さんの次なる目標は、「一人で現場を任される」ことです。
入社2年目で、国家資格の「2級 土木施工管理技士」の一次試験に合格しました。
今年には次の二次試験と、「1級 土木施工管理技士」の一次試験に挑戦しています。
「今とても充実してるからこのまま過ごしていきたい。まだまだですけど、少しずつ、先輩たちみたいに、誰かに頼られたり、任せられる存在になりたいです。」

未来の高校生たちへ「まずは挨拶からでいい」
最後にこれから進路を決める高校生に伝えたいことを聞いてみました。
「最初から完璧にできなくてもいいんです。伝えたいのはコミュニケーション、“挨拶”とか“返事”がとても大事だということです。まずはそれだけでも十分です。」
コミュニケーションを恐れず、素直に一歩踏み出すこと。
それが社会で生き抜くための第一歩になるはずです。
「2年目の先輩になるのは僕も怖かったです。1年目は一番年下でいられる。
でも1年目だからとか2年目だからとか考えないでずばずば質問していくことが実は大事でした。
2年目だって分からないことは分からないですからね。
そして、「高卒」という選択肢にも、自信を持ってほしいです。」
ここには、「高卒新卒」という道を選び、自分の未来を歩み始めた若者がいます。
※インタビュー内容は、2025年3月28日当時のものです。
<企業情報>
企業名:横浜鉄構株式会社
事業内容:ダム・水門などの機械器具設置工事
従業員数:19名
募集職種:設備の据え付け・メンテナンス、施工管理、現場作業
高卒採用実績:5名(2025年度入社)
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