工業高校生の採用を成功させる!現場の先生に聞く高校生に選ばれる企業とは?

高卒採用市場は、2024年の調査で企業の51%が人手不足を感じており、令和5年度の求人数は過去最高を記録しています。
今回は、現役の工業高校の進路指導の先生をお招きして開催したセミナーの内容を基に、学校現場の現状、進路指導における課題、生徒の企業選定ポイント、学校との関係構築や採用活動の参考として、ぜひご活用ください。
工業高校における進路の現状
求人状況
僕の学校のですと、コロナ以降の高卒採用需要は高まっています。2024年度の求人状況は、過去最高水準に達しています。
・指定校求人:757人分(467社)
・公開求人を含む総求人数:約2000件
・指定校だけの求人倍率:9-10倍
先生のお悩み
求人が非常に多いので生徒に紹介する企業を絞り切れないのが1つ悩みです。
生徒の要望にあった企業を探すときにも、条件に合う企業さんがたくさん見つかってしまいます。最終的には生徒自身が複数の企業に職場見学に行ってきます。しかし、今のスケジュールでは短く、時間が足りない状況です。
高校生の企業選定のポイント
勤務地・仕事内容
地元志向が強い本校の生徒の多くは、大阪府内での就職を希望しており、通勤圏内での転勤が少ない企業を特に志望しています。
また、授業で学んでいる分野に関連した仕事に注目する傾向が強く、 特に工科高校では、工場勤務でモノづくりに関わる仕事に強い関心を示す生徒が多いようです。
これは、具体的な仕事内容や作業工程をイメージしやすいためと考えられます。
休日・勤務時間
今の生徒自身も週休2日で学校に通っているため、年間休日数が120日という基準を重視する傾向にあるのは自然と言えるでしょう。
コロナ禍以降、求人が増えるにつれて、多くの企業が従業員の働きやすい環境づくりとして、年間休暇を増やす動きが見られます。
昨年度までは、生徒の多くが休みを重視する傾向にありましたが、今年度においては、夜勤もいとわず、とにかく稼ぎたいと考える生徒も一定数存在しました。
この変化は、経済状況や社会情勢の変化を反映しているのかもしれません。しかし、この傾向が今後も続くのかどうかは、今後の動向を注視する必要があります。
給与面について
給与面では、学校に届く求人の平均月給は18万5千円~19万5千円程度で、企業間での大きな差は見られません。コロナ禍以降、毎年5千円程度の賃上げが続いており、人材確保のため、中小企業も大企業も給与水準の向上に努めている印象です。
福利厚生・職場の雰囲気
生徒は企業選びの際に新卒と全体としての離職率を見ています。極端ですが、いっぱい辞めてる会社は良くないという見方です。一つの目安にしている生徒は多くいます。
福利厚生や職場の雰囲気についても、お昼ご飯が出るか、何か資格の手当が出るとかなど差別化になるポイントだと思います。
工業高校先生が語る高卒採用成功のポイント
求人票だけでなく、生徒の記憶に残る工夫が必要
非常に多くの求人票が届く中で、単純に送るだけでは、生徒にとって印象に残りにくいです。我々の印象にも残らないんので、特に初めて求人を出す企業や地元で知られていない企業の場合は、行事に参加していただくのもいいと思います。
「独特な形状のパンフレット」「目立つ色使い」などは生徒から特に注目されます。実際に手に取る生徒も多かったです。
職場見学の質を高める
説明であったり、案内の人であったりが丁寧に対応していただけたところは、やっぱり印象が良いです。生徒も非常に満足度が高いです。そのまま応募に繋がることが多いと思います。
また、作業体験をやられる企業さんはまだ多くはないです。どんな業務なのか生徒もわかり助かる部分でもあります。しかし、ほぼ丸一日実施していただいて、ちょっともう生徒が疲れてしまったという話も実際にありました。しんどかったっていう印象だけが残ってしまって、その場合逆効果だと思います。見学時間は1〜1.5時間程度で、止めておいた方がいいと思います。
早期からのアプローチがカギ
5月6月に市の行事に来ていただいた企業さんはその時点で、求人票を持ってきてくださいました。生徒はその企業さんをメモして、7月の求人開始のタイミングで、実際に条件を見て見学に行っていました。
学校訪問は、7月1日以降だと対応しきれないっていうのが正直なところです。対応できる企業数に限界がありますので、4月〜6月に訪問していただいた企業様とはゆっくり話もできます。
生徒の疑問に答えやすい情報提供
生徒は、具体的な仕事内容や業界についてより詳細な情報を求めています。学外で行われる企業説明会など、様々な情報収集の機会がありますが、学生にとって参加が難しい場合もあります。そのため、学校内で企業の方々を招いて説明会を実施することは、生徒にとって非常に有益な機会となるでしょう。
業界の魅力を1年生から伝える
1年生から業界研究を行う学校もあるため、この時期からの企業訪問や業界説明会は、生徒に職業観を育む絶好の機会となるでしょう。具体的な仕事内容や業界の魅力を伝えることで、早期から企業名を覚えてもらい、将来の選択肢を広げることができます。
まとめ
高卒採用において、工業高校への関係構築や効果的なアプローチは、製造業や建設業の人材確保に不可欠です。求人票のデザインや内容、職場見学の質を高めることが高校生に「選ばれる企業」になるための重要なポイントです。早期からのアプローチをすることで、具体的な情報提供や業界の魅力発信など、生徒の心に響く採用活動を実現しましょう。