採用コストとは?採用単価(新卒)を下げるために効果的な採用戦略・コスト削減のコツを解説!
「新卒採用にかかる費用って、実際どれくらい?」「効果的な採用活動をするにはどうすればいい?」とお悩みの人事担当者様へ。本記事では、採用コストの内訳から、新卒採用単価の相場、そしてコスト高騰の理由まで詳しく解説します。自社の採用活動を成功に導くためのヒントにお役立てください。
1.採用コストとは?
採用コストとは、企業が従業員を採用するためにかかる費用の総額を指します。一言で採用コストといっても、募集広告費や採用イベント参加費など、さまざまな費用が含まれます。
企業は、採用コストを把握し、適切に管理することが重要です。
費用項目 | 内容 |
募集広告費 | 求人サイトへの掲載費用、自社ホームページへの掲載費用、求人広告の作成費用など |
採用イベント参加費 | 合同企業説明会への参加費用、自社主催の会社説明会開催費用など |
人材紹介会社への手数料 | 人材紹介会社を通じて採用した場合に発生する費用 |
採用担当者の人件費 | 採用活動に従事する社員の人件費 |
選考費用 | 応募書類の選考費用、面接の実施費用、適性検査の実施費用など |
採用後の研修費用 | 新入社員研修の実施費用、OJTの実施費用など |
これらの費用のうち、どの費用を採用コストに含めるかは、企業によって異なります。例えば、自社の採用ホームページの運用費用や、採用活動に利用するシステムの費用を採用コストに含めない企業もあります。重要なのは、自社にとって何が採用コストに当たるのかを明確に定義することです。
なぜ採用コストを把握することが重要なのか?
採用活動の費用対効果を測定するため
採用コストを把握することで、採用活動にかかった費用と、採用できた人数や質を比較し、費用対効果を測定することができます。費用対効果が低い場合は、採用活動の方法を見直す必要があるかもしれません。
採用予算を適切に策定するため
採用コストを把握することで、次年度以降の採用予算を適切に策定することができます。また、過去の採用コストを分析することで、将来の採用コストを予測しやすくなります。
経営資源を効率的に配分するため
採用コストを把握することで、他の経営資源とのバランスを考慮しながら、採用活動に適切な資源を配分することができます。例えば、採用コストを抑えるために、採用活動の一部をアウトソーシングしたり、採用活動の効率化を図るためのシステムを導入したりすることができます。
2. 新卒採用の採用単価の相場
新卒採用の採用単価は、企業の規模や業界、採用する学生の属性などによって大きく異なります。ここでは、厚生労働省や転職サイトの調査データなどを参考に、新卒採用の採用単価の相場について詳しく解説していきます。
業界・規模別の採用単価の違い
業界や企業規模によって、新卒採用にかかる費用は大きく異なります。一般的に、規模が大きく、知名度が高い企業ほど採用活動に費用をかけられるため、採用単価が高くなる傾向があります。また、人気業界や専門性の高い業界も、採用単価が高くなる傾向があります。
業界別の採用単価の相場
業界別の採用単価の相場は、下記の通りです。
業界 | 平均採用単価 |
建築業 | 69.4万円 |
製造業 | 69.7万円 |
流通業 | 67.7万円 |
金融業 | 84.8万円 |
サービス業・情報業 | 78.1万円 |
規模別の採用単価の相場
企業規模別の採用単価の相場は、下記の通りです。
従業員規模 | 平均採用予算 |
3~50人 | 109万円 |
51~300人 | 350万円 |
301~1000人 | 593万円 |
1001人以上 | 1638万円 |
大企業は、採用活動に多くのリソースを投入できるため、採用予算が高くなる傾向があります。また、知名度向上や優秀な人材の確保のために、積極的に採用活動を行う傾向があります。一方、中小企業は、採用予算が限られているため、採用予算を抑える傾向があります。そのため、費用対効果の高い採用方法を検討する必要があります。
採用単価の算出方法
採用単価は、以下の計算式で算出することができます。
採用単価 = 採用にかかった総費用 ÷ 採用人数
例えば、採用にかかった総費用が1,000万円、採用人数が10人の場合、採用単価は100万円となります。採用単価を算出することで、自社の採用活動の効率性を把握することができます。また、他社の採用単価と比較することで、自社の採用活動の改善点を見つけることができます。
3. 採用単価(新卒)が高騰する理由
新卒採用の採用単価が高騰している背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。ここでは、特に影響の大きい要因として、以下の2つ3つを解説します。
売り手市場の長期化
近年、日本では少子化の影響で、労働力人口が減少傾向にあります。このような状況下、企業間では優秀な人材を獲得するための競争が激化し、採用単価の高騰を招いています。特に、新卒採用市場は、企業の将来を担う人材を求める競争が激しく、採用単価は上昇傾向にあります。
新卒採用にかかる費用の増加
新卒採用活動においては、従来型の採用活動に加えて、企業の認知度向上や応募者とのエンゲージメントを高めるための取り組みが重要視されるようになっています。例えば、以下のような費用が増加傾向にあります。
・採用広報費:企業の魅力を効果的に伝えるために、自社のホームページや採用サイトのリニューアル、採用動画の作成、SNS広告の活用など、多様な広報活動を行う企業が増えています。これらの費用は、採用単価の上昇に影響を与えています。
・選考費用:応募者とのコミュニケーションを重視し、選考プロセスを複数回に分けたり、個別説明会やオフィスツアーなどを実施したりする企業が増えています。また、オンライン選考の導入に伴い、新たなシステムの導入や運用費用も発生しています。これらの費用も、採用単価の上昇に繋がっています。
・内定者フォロー費用:内定辞退を防ぎ、入社率を高めるために、内定者向けの研修や懇親会、メンター制度の導入など、手厚いフォローを行う企業が増えています。これらの費用も、採用単価に影響を与えています。
このように、新卒採用にかかる費用全体が増加傾向にあることも、採用単価の高騰の一因となっています。
4. 採用単価を下げる効果的な採用戦略
限られた予算の中で効率的に採用活動を行うためには、採用単価を抑制することが重要です。ここでは、採用単価(新卒)を効果的に下げるための戦略を紹介します。
採用ターゲットの明確化
どんな学生を採用したいのか、自社の求める人物像を明確化することが重要です。ターゲットを絞り込むことで、効果的な採用活動に繋げることができます。例えば、以下のような項目を具体的に定めましょう。
- 求めるスキル・経験
- 人物像・価値観
- 将来のキャリアパス
ターゲット層を明確にすることで、採用活動全体を効率化し、結果として採用単価の抑制につながります。
自社の魅力を効果的に伝える採用ブランディング
学生にとって魅力的な企業であることを効果的に伝える採用ブランディングは、応募者の増加、ひいては採用単価の抑制に大きく貢献します。企業理念、ビジョン、事業内容、社風、待遇などを魅力的に伝え、他の企業との差別化を図りましょう。具体的には、以下のような方法が考えられます。
・企業理念やビジョンを明確に発信する
・社員インタビューや社内イベントの様子を発信する
・働き方改革やダイバーシティ&インクルージョン推進などの取り組みを発信する
魅力的な採用ブランディングによって、企業は多くの学生の共感を集め、優秀な人材を獲得できる可能性を高めます。
5.3 応募者との接点を増やす母集団形成
より多くの学生と接触し、自社のことを知ってもらう機会を増やすことは、優秀な人材の獲得に繋がります。従来型の合同企業説明会だけでなく、オンライン会社説明会の実施や、SNSを活用した情報発信など、様々な方法を検討しましょう。
インターンシップの活用
インターンシップは、学生に企業の仕事内容や社風を理解してもらうための有効な手段です。企業は、インターンシップを通じて自社の魅力をアピールし、学生との接点を深めることができます。また、学生にとっても、実際の仕事体験を通じて、自らのキャリアプランを考える貴重な機会となります。インターンシップには、大きく分けて以下の2種類があります。
就業型インターンシップ:一定期間、実際の業務を体験する
ワンデー・短期インターンシップ:1日から数日間の短い期間で、業界や企業の仕事内容を理解する
インターンシップは、企業と学生双方にとってメリットがあり、採用活動において重要な役割を果たします。
採用媒体の選定
採用活動の成否を大きく左右する要素の一つに、適切な採用媒体の選定が挙げられます。数多くの求人媒体が存在する中で、自社の採用ターゲットや予算、採用人数などに最適なものを選ぶことが重要です。主な採用媒体には、以下のようなものがあります。
種類 | 特徴 | 費用 |
総合求人サイト | 幅広い業種・職種の求人を掲載。認知度が高く、多くの求職者へアプローチ可能。 | 高額になりやすい |
業界・職種特化型求人サイト | 特定の業界・職種に特化した求人を掲載。専門性の高い人材の募集に最適。 | 総合求人サイトに比べて安価な場合が多い |
ダイレクトリクルーティングサイト | 企業の採用ページや求人情報を掲載。自社の魅力を直接伝えられる。 | 比較的安価 |
人材紹介会社 | 企業の求める人材を探し、紹介してくれる。採用活動の効率化が可能。 | 成功報酬型で高額になる場合が多い |
大学推薦 | 大学を通じて学生を紹介してもらう。信頼性の高い人材を獲得できる可能性が高い。 | 比較的安価 |
これらの媒体を組み合わせることで、より効果的に採用活動を進めることができます。また、近年では、企業の採用ホームページやSNSを活用した採用活動も増加しています。これらの媒体を効果的に活用することで、採用コストを抑えながら、優秀な人材を獲得できる可能性が広がります。
リファラル採用の推進
リファラル採用とは、社員や関係者から人材を紹介してもらう採用方法です。従業員が信頼できる人材を紹介してくれるため、ミスマッチが少なく、採用コストも抑えられるというメリットがあります。また、紹介された人材にとっても、企業や仕事内容について事前に情報を得ることができるため、入社後のミスマッチを防ぐことができます。リファラル採用を成功させるためには、以下のような取り組みが重要です。
社内制度の整備:紹介制度の運用ルールを明確化し、社員に周知する
インセンティブの付与:紹介者に報奨金を支給するなど、積極的に紹介を促す仕組みを導入する
紹介しやすい環境づくり:社員同士のコミュニケーションを活性化し、紹介しやすい雰囲気を作る
リファラル採用を積極的に活用することで、採用コストの削減だけでなく、優秀な人材の確保、従業員エンゲージメントの向上などの効果も期待できます。積極的に導入を検討してみましょう。
選考プロセスを見直し効率化
選考プロセスを効率化することで、時間とコストを削減し、採用単価の抑制につなげることができます。例えば、オンライン面接の実施や、応募書類の簡素化などを検討してみましょう。
選考基準の明確化
選考基準を明確にすることは、選考の精度を高め、採用活動全体の効率化に繋がります。曖昧な基準で選考を行うことは、ミスマッチや選考期間の長期化を招き、結果として採用コストの増加につながる可能性があります。企業は、求める人物像を具体的に定義し、それに基づいた評価項目を設定する必要があります。また、評価項目には、それぞれの項目に対する重要度を設定することで、より客観的な評価が可能になります。選考基準を明確にすることで、企業は、本当に必要な人材を見極め、採用活動の効率性を高めることができます。
オンライン選考の導入
オンライン選考は、従来の対面式の選考に比べて、時間とコストを大幅に削減できるというメリットがあります。企業は、遠方の学生とも容易に面接を行うことができ、学生にとっても、移動時間や交通費の負担を軽減することができます。オンライン選考には、主に以下の方法があります。
Web面接:インターネットを通じて、リアルタイムで面接を行う
録画型面接:事前に設定された質問に対して、録画で回答を送信する
AI面接:AIが応募者の回答内容や表情などを分析し、合否判定を行う
これらの方法を組み合わせることで、より効率的かつ効果的な選考プロセスを構築することができます。オンライン選考の導入は、企業の採用活動における時間とコストの削減に大きく貢献するだけでなく、地方在住の学生など、より広範囲からの応募を促進する効果も期待できます。
5. 採用コストを削減するためのコツ
採用コストを削減するためには、戦略的な取り組みが必要です。ここでは、具体的なコツを5つ紹介します。これらのコツを実践することで、より効率的かつ効果的な採用活動を実現できるでしょう。
採用活動の年間計画
年間計画を立てずに場当たり的な採用活動を行うことは、非効率なだけでなく、採用コストの増加にもつながります。企業は、年間を通していつ、どのような人材を、何人採用する必要があるのかを明確化し、計画的に採用活動を進める必要があります。年間計画を立てることで、予算配分や採用活動のスケジュール調整がスムーズに行えるようになり、無駄なコストを削減することができます。また、採用活動の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正することで、より効果的な採用活動を実現できます。
応募者管理システムの導入
応募者管理システムは、応募者の情報を一元管理することで、選考プロセスを効率化し、採用担当者の負担を軽減するツールです。応募者情報の登録、選考状況の管理、応募者との連絡などをシステム上で行うことができます。応募者管理システムを導入することで、従来、手作業で行っていた業務を自動化することができ、業務効率化とコスト削減に繋がります。また、応募者への連絡漏れや選考ミスなどを防ぐことができるため、採用活動の質の向上にも貢献します。無料または低価格で利用できる応募者管理システムも多数存在するため、自社のニーズに合ったシステムを導入することで、より効果的に採用コストを削減することができます。
採用広報の強化
採用広報とは、企業が自社の魅力や求める人物像などを発信し、企業理解を促進するための活動です。採用広報を強化することで、自社の魅力を効果的に伝え、応募者を増やすことができます。採用広報には、以下のような方法があります。
企業ホームページでの情報発信:企業理念や事業内容、社員インタビューなどを掲載する
SNSの活用:採用情報や社内の雰囲気などを発信する
会社説明会の実施:企業や仕事内容について詳しく説明する
これらの方法を組み合わせることで、より効果的に企業の魅力を伝えることができます。また、最近では、動画コンテンツやVRなどを活用した採用広報も注目されています。これらの新しい技術を活用することで、より多くの求職者の関心を集め、採用活動の成功に繋げることができます。
内定承諾率の向上
内定承諾率を高めることは、採用コストの削減に直結します。内定辞退者を減らすためには、内定者とのコミュニケーションを密に取り、入社後のミスマッチを防ぐことが重要です。内定者フォローには、以下のような方法があります。
定期的な連絡:メールや電話などで、内定者の不安や疑問を解消する
内定者懇親会の実施:内定者同士の交流を深め、帰属意識を高める
メンター制度の導入:先輩社員が内定者をサポートする
これらの取り組みを通じて、内定者の不安を取り除き、入社意欲を高めることが重要です。内定承諾率を高めることで、採用活動全体の効率が向上し、結果として採用コストの削減に繋がります。企業は、内定者一人ひとりと向き合い、きめ細やかなフォローを行うことで、優秀な人材の確保を目指しましょう。
参考資料:
・株式会社リクルート
・パーソルホールディングス株式会社
6. まとめ
採用単価の高騰が続く中、企業は採用コストを意識した戦略を立てることが重要です。採用コストを抑えるためには、闇雲に採用活動を行うのではなく、採用ターゲットを明確化し、自社の魅力を効果的に伝える採用ブランディングや、インターンシップ、採用媒体の選定、リファラル採用など、応募者との接点を増やす母集団形成が重要になります。また、選考プロセスを見直し、選考基準の明確化やオンライン選考の導入によって効率化を図ることも重要です。さらに、採用活動の年間計画や無料ツールの活用、応募者管理システムの導入など、コスト削減を意識した取り組みも効果的です。内定承諾率を高めることも、採用コスト全体を抑えることに繋がります。これらの施策を実行することで、採用コストを抑えつつ、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
お役立ち資料のダウンロードをご希望の方は下記フォームに入力の上、ダウンロードボタンを押してください。