大阪の高校生、就活「1人2社」の複数応募可能に 2022年度から | 記事一覧 | 高卒採用Lab 高校生採用を科学する

大阪の高校生、就活「1人2社」の複数応募可能に 2022年度から

大阪での高卒採用において、2022年9月の選考開始時点から複数応募が可能になりました。これまでは「1人1社制」が採用されていましたが、企業側と生徒のミスマッチによる早期離職を防ぐため、条件が緩和されました。そこで、本記事では、今回導入される複数応募の概要やメリット、他県との比較、複数応募の課題について解説して行きます。

1、大阪の高卒採用、1人1社制を廃止

大阪の高卒採用において、現行の「1人1社制」が廃止されることになりました。まずは「1人1社制」廃止の背景や条件緩和の狙いについて解説します。

2022年度から併願可能に

全国を見渡すと、多くの都道府県では高校生が1社にしか応募できない「1人1社制」が定着していますが、大阪府は2022年2月に大阪府の高卒採用における「1人1社制」の廃止を発表しました。
大阪府は、これまで毎年9月5日から学校からの推薦を受けて1社だけ応募する「1人1社制」を採用していました。そのため、就職希望の高校生は、学校の推薦を受けて「指定校求人」か「公開求人」のどちらか1社に応募する形式で就職を進めてきました。

「指定校求人」は、企業側が特定の高校に求人を出すもので、「進路の先生が企業のことを理解しているため、ミスマッチが起きにくい」「過去に採用した社員が真面目に働いてくれている」など長く働いてくれる高校生を斡旋してもらえる可能性が高くなります。学校側も競争率が低いことがわかっているため、生徒を推薦しやすくなる点がメリットで、メーカーが工業高校に指定校求人を出すなど専門的なマッチングを求める企業にも利用されています。

一方で、全国の高校生に対して求人を公開する「公開求人」は、学科を問わずに募集をかけるため、様々な人材を採用できる可能性がある求人方法です。いずれの求人も学校の推薦をもらったとしても、確実に採用されるわけではありません。そのため、推薦で内定が得られなかった高校生は、選考から約1カ月半後の11月1日から2社目以降の応募が解禁されるまで待たなければなりませんでした。しかし、解禁されるまでの1カ月半の間に求人が減ってしまい、応募の選択肢が狭くなるというデメリットがあります。

そこで、大阪府は「1人1社制」を廃止し、選考が開始される9月時点から1人2社まで併願できる「1人2社制」を採用しました。なお、2社まで応募できるのは「公開求人」に限られ、「指定校求人」に関しては1社制を維持する点には注意が必要です。

早期離職を防ぐ狙い

現行の「1人1社制」は、より多くの高校生に採用機会を与えられる点や、内定率が高くなるなど高校生に配慮した設計になっています。しかし、成績をほかの生徒と比較し、働きたいと思える企業よりも学校からの推薦が得られやすくなる企業を選択するという実態もあり、企業とのミスマッチを引き起こす原因になるなど、問題がないわけではありません。

実際に、学校から推薦される高校生が必ずしも求める人材ではないという企業側からの意見や、企業と高卒生とのミスマッチによる早期離職率の高さが大卒の新卒採用に比べて多いという指摘もあります。また、高校生が企業をあまり選べず、最初の就職に失敗すると働きたくない企業に就職しなければならない可能性が高くなる点も拍車をかけています。
このような実態を鑑みると、厚生労働省と文部科学省が2020年に全国の都道府県教育委員会に見直しの検討を求めたのも頷けるでしょう。そこで、大阪府は「1人2社制」によってミスマッチを減らし、高卒採用における早期離職を防ごうとしています。


2、複数応募が可能なのは秋田、和歌山、沖縄

少数ですが、複数応募を認めている県もあります。それが秋田県、和歌山県、沖縄県の3県です。
沖縄県労働局によると、2021年度の沖縄県高等学校就職問題検討会議において、沖縄県内の求人事業所に応募や推薦をする場合、一次募集の時点から3社までの複数応募が可能であるという決定が下されています。秋田県も、企業と高校生のミスマッチ抑制とフリーターや無職になる高校生を減らすため、2003年度から3社までの複数応募が可能です。

一方、和歌山県では、少し違う体制が取られています。2021年度から、9月の選考開始日より県内の企業へ複数応募が可能になりました。ただし、県内の企業側が「複数応募が可能」と承諾した場合に限られます。承諾されない場合は、1人1社制が維持されているので、沖縄県や秋田県とは異なります。

今回大阪府が決定した1人2社制は、厚生労働省と文部科学省の求めに応じた形になります。今後、ほかの都道府県も追随する可能性があるので、その動向に注目したいところです。

3、複数応募で高校生の選択肢は広がるが、課題も

複数応募が可能になると進路の選択肢が広がり、ミスマッチによる早期離職が減るなどのメリットが期待できる一方で課題もあります。特に各方面の負担が大きくなる点への対処が求められるでしょう。

まず、「1人1社制」は内定率が高く、就職希望の高校生はほぼ確実に就職できました。進路指導の先生も指定校求人から推薦する生徒を選出していき、指定校求人の推薦が取れなかった生徒に全国求人を斡旋するので、負担が抑えられていたでしょう。企業にとっても、「1人1社制」のほうが採用活動にかかるコストが少なく済むことや、内定辞退者が少ないため、採用計画を立てやすく、効率的に人材確保ができるメリットがあります。

しかし、複数応募の場合、高校生側は複数回準備をしなければなりませんし、優秀な高校生が複数の内定を獲得した結果、従来であれば採用されていた企業に採用されないケースも出てくると考えられます。逆に内定辞退によるトラブルも増加する可能性が高く、学校側の負担は増大するでしょう。一方、企業によっては内定辞退や認知度の低さから人材を確保できない可能性もあります。このように複数応募には課題もあるため、自社の知名度や従来の就職希望者の志望度合いなどを参考にしながら採用計画を立てる必要があるでしょう。

4、まとめ

大阪府では、「1人1社制」が廃止され、2022年度の選考開始時点から複数応募が可能になります。高校生の選択肢が広がり、早期離職を防止する効果が期待されるでしょう。ただし、複数応募はメリットがある一方で、生徒、学校、企業の負担が重くなるという課題もあります。高卒採用を予定している企業の採用担当者は、自社の知名度や求職者の志望度合い、懇意にしている高校での情報収拾など、複数の指標や情報をもとに採用計画を立てる必要があるでしょう。

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