高卒採用 内定後の注意点 生徒への直接連絡禁止に企業はどう対応すべきか
企業における高卒採用には、さまざまな注意点があります。ひとつには、生徒への直接連絡の禁止が挙げられますが、企業はどのように対応すればよいのでしょうか。この記事では、生徒への直接連絡禁止が高校生に与える影響や、注意点を守ったうえで企業がとれる対応などについて解説していきます。
1.高校生への直接連絡は禁止
企業が高卒採用を行う際は、定められたルールや注意点を守りつつ採用活動を行わなければなりません。
そのルールのひとつが、高校生への直接連絡禁止です。大学生の就職希望者を対象とする場合は認められている、電話やメールなどを用いた直接的な連絡が禁止されているのです。高卒採用では、学校を通してメッセージを伝えなくてはなりません。
直接連絡が禁止されている理由は、高校生の本分が学業であるためです。電話やメールによる連絡が原因で、学業に支障をきたすことがあってはならないため禁止しています。また、高校生は未成年であり、未熟な部分があるため、誤った意思決定をしないように直接連絡を制限しているのです。
また、書類やレポートの提出を求める行為をはじめ、卒業式前の研修もNGです。入社日も卒業式以降に執り行わなければならないなど、さまざまなルールがあります。なお、書類に関しては就職承諾書のみ提出を求められます。
2.しかし内定後、高校生は不安になっている
未成年で社会人経験のない高校生は、内定をもらったあとも不安を抱いているケースがほとんどです。不安が膨らむことで内定後にモチベーションが低下し、早期離職につながる可能性もあります。
情報不足は高校生のモチベーション低下につながる
企業から内定を出した高校生への連絡は禁じられているため、情報を提供できません。このような情報不足が、高校生のモチベーション低下につながるおそれがあります。
多くの高校生は、企業からの情報を求めています。入社は確実なのか、職場の雰囲気はどうなのか、仕事の内容は自分に合っているのかなど、さまざまな不安を払拭するためにも情報を求めているのです。
しかし、企業からの直接的な連絡は禁止であるため、生徒は情報を得られません。不安がどんどん大きくなり、結果的にモチベーションが低下してしまう、といったことは十分考えられるでしょう。情報不足とモチベーションが低下した状態で入社しても、仕事についていけず早期離職につながるおそれがあります。
高校の大半が企業による内定者フォローに前向き
内定後の高校生が抱く不安を払拭するため、現在では多くの高校が企業による内定者のフォローに前向きな姿勢を見せています。株式会社ジンジブのアンケート調査によれば、全体の86%にのぼる先生が、内定者のフォローに前向きであるとわかったのです。
たとえば、ある高校の先生はアンケートに対し、「入社まで何もないのは生徒が不安になるため、接点が欲しい」と回答していました。またある先生は、「年明けごろから生活に支障が出ない範囲で、研修があるとよい」と答えています。
ほかにも、「授業がないときなら研修を行っても問題ない」「入社前にアルバイトとして雇ってもらえれば、入社後のギャップを少なくでき、離職率が低くなる感覚がある」といった回答がありました。
実際に生徒と向き合っている多くの先生が、内定者のフォローが必要である、したほうがよいと考えているのがわかります。では、直接連絡禁止のルールがある中で、企業はどのような対応ができるのでしょうか。
3.注意点を守ったうえで企業ができること
企業が高卒採用に関するルールを守らなかった場合、次年度の求人特記事項欄に、ルール違反を犯した旨が記載されてしまうおそれがあります。では、注意点やルールを守ったうえで、企業はどのようなことができるのでしょうか。
高校に内定者フォローをしてもよいかどうか確認する
内定者のフォローをしてよいかどうかを学校に確認し、そのうえで具体的なアクションを決めましょう。先輩社員と話す機会を創出してほしい、アルバイトとして雇用してほしい、授業がないときに研修をしてほしいなど、学校によって内定者に求めるフォローの内容が異なるため、事前の確認は必須です。
どこまでがOKで、どこからがNGなのかを確認しておかないと、のちのちトラブルになる可能性があるため注意しましょう。
高校を通じて社内報などを送付
高校生への直接的な連絡は禁止されていますが、高校を通じてメッセージを送るのは問題ありません。そのため、学校に社内報を送付し、生徒へ渡してもらうといったフォローの方法が考えられます。
社内報には、その企業に関するさまざまな情報が掲載されているため、高校生にとっても求めていた情報を入手できる可能性があります。また、定期的に社内報を受け取ることで、会社との接点があると再確認できれば、不安の払拭にもつながるでしょう。
社内報には、職場の雰囲気がわかるような内容を掲載するとなおよいでしょう。社員同士が協力しあって業務を行っているような写真など、積極的に写真や画像を使用し、視覚的にイメージを伝えるとより雰囲気も伝わりやすくなります。また、会社で行っている花見や社員旅行といった、イベントの情報を掲載するのもおすすめです。
このような情報は、内定を受けた高校生だけでなく、保護者も求める傾向があります。保護者としては、子どもがその会社で本当にやっていけるのか不安を感じてしまうのです。会社の雰囲気や情報を知りたいニーズを満たせるため、学校を通じた社内報の送付は効果的な取り組みといえるでしょう。
懇親会の実施
会社主導の懇親会を実施すれば、高校生の不安を払拭できる可能性があります。懇親会で企業関係者から直接業務に関する話を聞くことができれば、高校生としても仕事に対するモチベーションを高められます。
ただ、平日の高校生は勉学や部活など、忙しい生活を送っています。そのため、懇親会を実施するのであれば、平日の放課後や休日などに行うとよいでしょう。もちろん、学校への事前連絡と相談を怠らないよう注意が必要です。
内定者が一堂に会する懇親会であれば、交流が生まれます。楽しく交流するだけでなく、情報交換も行えるため、高校生にとっても有意義な時間をすごせるでしょう。このような機会を求めている高校生は少なくないと考えられるため、内定者同士が交流を行える懇親会の開催は有効です。
なお、懇親会へ強制参加させるのはNGです。高校生によっては、そのような場へ出たくない人もいるでしょう。強制してしまうとストレスを感じさせてしまい、会社に対するネガティブな印象を植え付けかねません。また、不参加であった高校生に対し、不利益な扱いをするのも絶対にNGです。
入社式の案内
入社式の案内を行うのも、高校生の不安払拭につながります。内定が出たあとも、高校生は「本当に内定をもらえているのだろうか」といった不安を抱えるケースが少なくありません。入社式の案内をすれば、入社が決まっていることを実感でき、不安を解消できるでしょう。
入社式の案内では、当日の服装や持ち物などについて、詳細を連絡しましょう。開始時間や終了時間だけでなく、式の流れなどについても記載しておくと親切です。
入社式にはスーツでの参加が一般的ですが、社会人経験のない高校生は、その認識がない人も少なくありません。そのため、服装や持ち物に関する情報はきちんと掲載することをおすすめします。
4.まとめ
高卒採用では内定者への直接連絡が禁止されているため、必ず学校を通じて連絡を行いましょう。ただ、近年では学校側の認識も変わりつつあるため、学校と相談しつつ内定者をフォローすることで、モチベーション低下や早期離職の回避につながります。
高卒採用における内定者フォローについて、さらに詳しく知りたいなら、以下のサイトにもアクセスしてみましょう。内定者フォローに役立つ内容が掲載されています。
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