中小企業が新卒採用に苦戦する理由と若手人材獲得への対策 | 記事一覧 | 高卒採用Lab 高校生採用を科学する

中小企業が新卒採用に苦戦する理由と若手人材獲得への対策

国内で人材不足が深刻化するなか、特に採用活動で苦戦しているのが中小企業です。中小企業は大企業に比べて知名度や社内に蓄積された採用ノウハウが乏しく、広告にかける資金も限られることから採用活動では不利な立場にあります。本記事では、中小企業が採用活動で直面している課題と、優秀な人材を獲得するための対策を紹介します。


1、中小企業の採用状況

2021年10月に発足した岸田政権が中小企業の事業再構築やスタートアップへの徹底支援を重点戦略に掲げるなか、中小企業では現在、優秀な人材獲得に向けて心血を注いでいます。しかしながらリクルートワークス研究所が発表した「第37回ワークス大卒求人倍率調査(2021年卒)」によると、2021年3月の大卒求人倍率は、300人未満の中小企業で3.40倍なのに対し、1000〜4999人の企業で1.14倍、5000人以上の大企業で0.6倍と中小企業の倍率が非常に高く、中小企業は採用において苦戦を強いられています。
(参照元:https://www.works-i.com/research/works-report/item/200806_kyujin.pdf p5)

2、中小企業の新卒採用が難しい理由

現在の日本では人口減少と少子高齢化に伴って労働人口も減少し、大企業ですら人手不足に悩まされています。さらには人口の都市部一極集中が進んでおり、地方の中小企業となるとより一層人材獲得が難しい状況です。その理由として、中小企業の知名度の低さ、大企業との待遇面での格差、採用ノウハウの乏しさなどが挙げられます。

知名度が低い

そもそも大企業は知名度が高く、多くの学生が認知しています。ネームバリューがあるため、採用情報を出せば自ずと多数の学生が集まるでしょう。しかし、中小企業は大企業と比較して知名度が低く、採用情報を出してもなかなか応募者が集まりません。また、同じ時期に大企業が大量に採用情報を出すと、中小企業の採用情報は他の求人に埋もれてしまいます。

さらに、中小企業の内定を得た学生が家族の意向によって内定辞退するという事例もあります。新卒者の就職先の決定には親も積極的に関与する傾向があり、子供が無名の中小企業への就職を希望した場合、親がその会社の存在を知らないことや、ブラック企業かもしれないという不安から就職に反対するケースは少なくないようです。

併せて読みたい:オヤカクとは?内定辞退を防ぐためのオヤカク対策を紹介

待遇で負けている

中小企業は初任給や平均年収、福利厚生といった条件面で大企業に比べて不利な場合がほとんどです。資金力のある大企業であれば福利厚生も充実しているほか、一定の内部留保があり、たとえコロナ禍で売上が減少してもここから社員の給与を支払うことができます。しかし、中小企業では社員に還元する資金が限られ、福利厚生を充実させる余裕がないのが現状です。そうなると、複数の企業から内定を得た学生は待遇を比較して大企業を選び、中小企業の内定を辞退するようになります。

採用にかけられる予算が少なく、ノウハウもない

歴史の長い大企業であれば、人事部が採用活動を一貫して担当するため、自社である程度の採用ノウハウが構築されており、高校や大学の就職担当者とのコネクションもあるかもしれません。しかし、多くの中小企業は採用活動に投入できるリソースに限界があり、十分な時間やお金をかけられません。人手が足りず採用活動の専任者を設けられないことから、どのように学生を探せばよいのか、どのような採用条件であれば学生が集まりやすいのかといった情報が不足しており、ノウハウの蓄積も遅れがちです。また、大企業の採用担当者のように大学などとのコネクションもない場合が大半です。

3、中小企業が新卒採用に成功するための対策

このように日本の至る所で人手不足が深刻化し、大企業でも人材確保に苦戦するこの時代、知名度、条件面、採用ノウハウにおいてハンデのある中小企業は大変不利な状況にあります。そこで、中小企業が大企業に対抗し、人材確保に成功するための対策として、「情報発信」「魅力ややりがいのアピール」「高卒採用」の重要性について述べていきます。

効果的な情報発信を行う

中小企業にとって新卒採用における情報発信は重要です。大企業であればその会社がどのような事業活動を行い、どのようなサービスを提供しているのか、会社名を聞けば大体のことは想像がつくでしょう。しかし、中小企業は会社名を聞いただけでは、どのような会社なのか、入社後にどのような仕事をするのかわかりません。
そこで、中小企業は求人サイトの情報や自社採用ホームページの情報を充実させることが重要です。情報が古い、あるいは更新が滞っていると、きちんと営業しているのかどうかがわからず、学生の信用を得られません。そのためホームページは定期的に更新し、常に最新の情報を発信していく必要があります。また、若い学生は採用関連の情報収集にSNSを活用することも珍しくないため、求人サイトやホームページに加えてSNSも積極的に利用するべきです。SNSを採用活動に活利用している企業の例としては、会社での1日の流れや職場の写真を公開し学生に親しみを持ってもらうよう工夫しているケースなどがあります。

自社ならではの魅力ややりがいをアピールする

労働条件や福利厚生で大企業と争おうとしても勝ち目がないため、中小企業は自社の魅力を言語化して伝えることが重要です。自社のビジョンやミッションを明確にし、従業員へのインタビューを通して仕事のやりがいを発信し、一緒に働きたいと思ってもらう必要があります。

また、中小企業やスタートアップでは一人の従業員が幅広い業務に携わることになるため、大企業に比べて早くから責任のある仕事を任せられるのが特徴です。早い段階で多くの経験を積み、社会人としてスピード感を持って成長していきたい学生に対しては、このような中小企業やスタートアップならではの強みを伝えることが効果的です。

また、自社の魅力を発信する上でもSNSは有効です。会社の公式アカウントを作り、当番制で毎日、社内の雰囲気や食事会などイベントでの和気あいあいとした様子を公開している会社もあります。

高卒採用に力を入れる

中小企業が採用を行うにあたって、高卒採用に力を入れるというのも一つの手段です。高卒採用のメリットは、大卒採用に比べて採用プロセスが少なく、コストを抑えられる点にあります。大卒採用の場合、インターンシップ、求人ページの制作、エントリーの獲得、説明会の開催、書類選考、筆記試験、面接、内定者決定、内定者フォローと、様々なプロセスがあります。一方の高卒採用であれば、求人票の制作、学校訪問、職場見学、採用試験(筆記・面接)、内定者決定と、プロセスがかなり短縮化され、採用業務にかかる時間を少なく済ませることができます。

採用業務にかかる時間が少なくなる分、コストを抑えることも可能です。大卒採用では求人サイトへの出稿費や説明会の運営費などで莫大な費用を要します。しかし、高卒採用では学校の教員が窓口となることが多く、教員に対して必要な情報をしっかり伝えれば、学校側で学生へのガイダンスを実施してくれます。そのため、企業は何度も求人広告を打ったり、説明会を開催したりする必要がないのです。

採用コストについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご一読ください。
「大卒・高卒の採用コスト比較 3本勝負!」
「採用コストはどれくらい上がった?費用と時間で見る新卒採用のコスト」

4、中小企業の採用成功事例

最後に、中小企業が高卒に狙いを絞って採用に成功した事例をご紹介します。デジタルマーケティングやITツールの導入コンサルティングを行っている株式会社トライエッジでは、これまで求人サイトを利用した中途採用のみを行なっていました。新卒採用への希望もあったものの、現状で使用している求人サイトでは自社が求める能力を持った人材は集まりにくいだろうと、なかなか新卒採用に踏み切れずにいたといいます。しかし、高卒採用の求人でIT系やマーケティングの仕事は珍しく、競合が少ないと判断して高卒採用を実施してみたそうです。その結果、経済的な問題を理由に進学しなかった優秀な人材の確保に成功。当初は1名のみ採用の予定でしたが、自社の採用ニーズに合致する人材を2人獲得できたということです。

トライエッジの事例について詳しく知りたい方はこちらの記事をご一読ください。
「初めての高卒採用。採用成功のカギは”採用マーケティング”【ニューノーマル時代の高卒採用成功事例 株式会社トライエッジ】」

5、まとめ

中小企業の多くは現在深刻な人手不足の状況にあり、いかに人材を確保するかが重要な課題となっています。しかし、資金力や採用ノウハウ、知名度で大企業に劣る中小企業は、なかなかスムーズな採用活動が困難です。高卒採用であれば、広告の出稿や説明会が必要なく、大卒に比べて少ない時間とコストで人材を確保することができます。人材確保に苦戦している中小企業は、一度高卒の採用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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