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働き方改革で残業の上限規制はどう変わったか

2021年08月03日

働き方改革によって、時間外労働の上限規制が改正されました。大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用され、企業の管理職や人事担当者は必ず把握しておきたい重要な改正です。

この記事を読めば、時間外労働の上限規制の基本的な知識を把握できます。適切に労働時間を管理するために、ぜひ参考にしてください。

 

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1、残業(時間外労働)の上限規制とは

残業(時間外労働)の上限規制とは、企業が従業員に過度の残業をさせないための規制です。上限を設けることで、企業が従業員に残業を強制しないよう防止しています。

労働基準法は昭和22年の制定後、時間外労働について何度も改正を繰り返してきました。そして、最新の改正では、従業員に時間外労働をさせられる上限の改定と、違反した場合の罰則が設定されました。

 

残業の上限規制の定義

残業(時間外労働)の上限規制は、「年間・複数月・1ヶ月」の単位でそれぞれ定義があります。

「年間」での残業の上限規制

残業時間を、年間「720時間以内」に抑える必要があります。

 

「複数月(2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の間隔)」での残業の上限規制

ひと月の平均残業時間を計算し、いずれの期間においても残業時間を「1ヶ月あたり80時間以内」に抑える必要があります。

 

「1ヶ月」での残業の上限規制

残業時間を、ひと月「100時間未満」に抑える必要があります。

年間や複数月平均の残業時間に問題がなくても、1ヶ月に100時間以上の残業はNGです。また、これらは出勤日の残業以外に、休日出勤をしたときの労働時間も合わせて計算します。

 

所定外労働時間

残業には2つの種類があることを理解しておきましょう。

まず1つ目が、所定外労働時間とよばれるものです。所定外労働時間とは、「労働契約によって決定した所定労働時間」以外の労働時間を指します。よりわかりやすくいえば、会社が独自に決めた労働時間を超えた残業です。

所定労働時間は、労働契約の内容によってさまざまです。「週5日で実労働時間は8時間、休憩1時間」というケースもあれば、「週5日で実労働時間は4時間、休憩なし」というケースもあるでしょう。

残業の上限規制での残業とは、所定外労働時間のことを指しているわけではありません。2つ目に説明する法定外労働時間が発生しない限り、所定外労働時間が超えていても上限規制の対象ではありません。

法定外労働時間

法定外労働時間とは、「労働基準法で決められた労働時間(法定労働時間)」を超えた部分を指します。労働基準法第4章第32条では、「1日で8時間、1週間で40時間」と労働時間を決めています。つまり、1日のうち8時間を超えた部分や、1週間で40時間を超えた部分が、法定外労働時間となります。

(参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049_20200401_502AC0000000013&keyword=%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95)

上限規制の対象となるのは、法定外労働時間のみです。例えば、先述した所定労働時間が1日4時間との労働契約で、残業して1日10時間働いた場合でも、上限規制の対象は2時間のみであって、6時間ではありません。

2、働き方改革での法改正

そもそも、働き方改革による法改正はどのような目的で推進されたのでしょうか?政府が掲げた働き方改革の目的は、「一億総活躍社会の実現」です。
少子化に伴い、労働力となる生産年齢人口は今後も減少していくことが予想されます。また、子育てや介護との両立など、「どのように働くか」という労働環境のニーズも多様になっています。

これらの問題に対応するため、労働者が働き方を柔軟に選択し、能力を最大限に発揮できるよう制度を整えるのが、働き方改革の目的です。労働者が働きやすい環境を作れば、企業の生産性も上がり、社会に利益が循環されるという考えのもと進められています。

3、法改正で残業の上限規制と罰則ができた

上限規制の改正がある前から、時間外労働は「年間で60時間、月間で45時間」という目安がありました。現在も1年で360時間、1ヶ月で45時間の残業を超える場合には、企業と従業員の間で36協定を締結し、労働基準監督署への届出が必要です。

しかし、上記の目安を超えても行政指導が入るだけで、法的な強制力はないのが実情でした。そこで、最新の改正で上限規制を明確にし、罰則を設けたのです。
残業の上限規制を超えた場合、企業には6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されます。大企業に対しては2019年4月1日から施行されましたが、中小企業には1年間の猶予があり、2020年4月1日から規制の対象となりました。

また、働き方改革に関連して改正されたのは、残業時間だけではありません。月60時間を超えた部分の残業代割増率も、50%に引き上げられます。中小企業は引き上げに猶予が与えられているため、2021年現在は残業時間に関わらず25%の割増率になっています。しかし、2023年4月からは中小企業も50%になる予定です。

4、残業時間の上限規制が猶予・除外される事業・職種

日本の社会全体に影響を及ぼす働き方改革ですが、事業や職種によっては残業規制の猶予や除外があります。適用が猶予される事業・業務は、「自動車運転の業務」「建設事業」「医師」が対象で、2024年4月まで残業の上限規制が適用されません。
また、「鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業」については、月100時間未満、2~6ヶ月それぞれの平均が80時間以内、という規制は2024年4月まで適用されないことになっています。
これらの事業・業務では、長時間労働法改正への適応まで時間が必要とされています。業界の慣習や特殊性、天候など外部からの影響度が大きいなど、労働環境を改善するには多くの課題があるため、残業規制も猶予されたのです。

適用が除外される事業・業務は、「新商品や新技術等の研究開発業務」です。専門的な知識や技術が必要とされ、極めて特殊性が高いため、残業の上限規制から除外されました。とは言うものの、企業は従業員の安全や健康に配慮しなければいけません。労働安全衛生法によって、1週40時間超の時間外労働の時間が月100時間を超えた場合は医師の面接指導が義務付けられています。
また、これら残業時間の上限規制が猶予・除外される事業・職種であっても、業界ごとに独自で労働環境を改善する取り組みが行われています。

5、残業の上限規制ができたメリットとデメリット

残業の上限規制は、労働環境の改善によってあらゆる人が能力を発揮できるようにし、生産性を上げることで企業や社会の利益にもつながります。
では、上限規制によって具体的にどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

 

メリット

従業員から見た残業の上限規制のメリットは、労働環境の改善です。とくに、いわゆるブラック企業と呼ばれるような、過酷な長時間労働は厳しく規制されます。
労働時間が適正になれば、日常の家事や育児・介護だけでなく、余暇の時間も増やせます。趣味やキャリアアップのための勉強、休養などに十分な時間を使えるようになるでしょう。

このように従業員のワークライフバランスが向上すれば、企業の生産性も上がります。仕事以外の時間が増えたことで労働意欲が上がるだけでなく、限られた時間で終わらせるために、自然に業務が効率化されていくでしょう。過労による事故などの防止効果も期待できます。また、無駄な残業が減ることで、残業代などのコストをカットできるというメリットもあります。

 

デメリット

一方で、残業の上限規制によるデメリットもいくつか考えられます。
残業ができなくなったのに業務量が減らないため、各従業員の負担が増える可能性があります。「管理監督者」に当たる人は残業をしても割増料金にならないため、負担が集中してしまう事態もありえるでしょう。
休憩時間も業務を進めたり、家に持ち帰ってのサービス残業が発生したりするかもしれません。業務時間内に業務を終わらせることを強いるあまり、かえって労働意欲が下がってしまう恐れがあるのです。

また、人によっては残業できないことで給与が減少し、生活が困窮する恐れもあります。高い残業代を見込んで長期間のローンなどを組んでいるなど、残業代が減ると生活設計が狂ってしまう人もいるかもしれません。
企業はこれらのデメリットにも注意を払い、従業員それぞれが適切に労働できる企業体制を整える必要があります。

6、残業代の計算方法

働き方改革に関連して、残業代の割増賃金も増えることは先に解説しました。では、実際にはどのように残業代を計算するのでしょうか?

残業代は、「時給×割増率×残業時間」で計算します。

時給は、もともと時給制の雇用形態である場合は、そのまま適用されます。月給などの場合は時給換算で金額を算出しますが、家族手当や住宅手当といった除外する手当と、営業手当などの除外しない手当があるので、注意が必要です。

割増率は、法定外労働時間に対して、25%が割増されます。所定外労働時間に割増率の規定はありませんが、会社が独自に割増率を設けているケースも少なくありません。また、割増率は条件によってさらに加算されます。休日出勤は35%割増、深夜労働は25%割増、月60時間を超えた法定外労働時間は50%割増となります。

7、まとめ

働き方改革と、それに伴う残業の上限規制について解説しました。残業の上限規制は、適切な労働時間を守ることで従業員を守るだけでなく、企業の生産性も上げる取り組みです。

業務に無駄がないか常にチェックし、余計な残業を減らしてワークライフバランスを向上させましょう。そうすれば、企業としてもより高い生産性を実現できます。企業と従業員が一体となって、個人が能力を最大限発揮できる体制を整えることが大切です。

 

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