採用条件の作成方法をわかりやすく解説!条件に盛り込みたい5つの要素!
新卒採用や中途採用など求人への応募があった際、どのように人材を選べば良いか、選び方に問題がないかと不安に感じている、人事担当の方は多いのではないでしょうか。どういった人材を採用すれば良いかは、企業によって異なります。このとき、明確な採用条件を作成しておけば、採用後のミスマッチや離職の回避にもつながるでしょう。
そこで今回は、採用条件の作成方法を解説し、採用条件に盛り込んでおきたい要素5つを紹介します。
(1)採用条件とは?
採用条件とは、求める人材を採用するための「採用基準」や「採用ルール」です。冒頭でも簡単に触れましたが、採用条件を明確に定めておくことで、「自社にはどういった条件の人材が必要か」「自社で働く条件には、どのようなスキルや資質が必要か」の判断がしやすくなります。条件を定めることでより適切な人材へ効率良くスムーズにアプローチできるので、人事担当者の負担軽減にもつながるでしょう。
また、明確な採用条件の作成は、人事担当者が複数存在する場合にも役立ちます。採用条件が定まっていない場合、評価基準はそれぞれの人事担当者が考える「自社が求める人材の基準」となります。どういった人材が必要かをすべての人事担当者で共有できていれば、採用した人材に大きく差が出ることはないかもしれません。しかし、現実的に考えると、明確な基準がない状態では、採用した人材にバラつきが出てしまうのは避けられないでしょう。
そうなると、採用しても「思ったような成果を上げてくれない」「すぐに離職してしまった」ということにもなりかねません。新たに人材を募集することになれば、採用にかけた予算や時間などのコストが二重でかかってしまうことになるのです。明確に条件を定めておけば、採用する時点である程度の人材の精査が可能になります。採用条件の効果により、入社後のミスマッチを減らす効果も期待でき、結果的に採用コストの削減も可能になるでしょう。
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(2)重視するべき5つの要素
良い人材かどうかを見極めるためのポイントはさまざまありますが、特に重視したいのはどういった採用基準なのでしょうか。ここでは、2018年に一般社団法人 日本経済団体連合会が実施した「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」のデータを参考にして、5つの要素を紹介します。
以下の5つは、どれも決して特別な能力ではなく、社会人として備えておきたい一般的な人柄・人間性です。したがって、どういった企業においても、まずは基本の人柄や人間性を特に重視していることがわかります。詳しく確認しましょう。
◇コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、単純に「人づきあいが上手かそうでないか」ということではありません。例えば、「信頼関係が築けるか」「相手の感情や真意を察せられるか」「意見の違う相手とも折り合いをつけられるか」といった部分も、コミュニケーション能力に含まれます。なお、上記の調査結果によると、人材を採用する際の基準として「コミュニケーション能力」を重視すると回答した企業は82.4%にのぼり、16年連続ダントツの1位という結果になっています。やはり、仕事を円滑に回すためには、コミュニケーション能力が必要だと考える企業が多いということでしょう。
◇主体性
主体性とは、受動的に仕事をするのではなく、能動的に自分から課題を探して解決する力です。主体性が高いと、自分自身をよりよく理解し、自己管理や自己評価を適切に行なうことができます。「主体性」を採用基準として重視すると回答した企業は64.3%で、10年連続2位という結果です。コミュニケーション能力と同様に、多くの企業で主体性が重視されていることがわかります。
◇チャレンジ精神
チャレンジ精神の強い人材は、仕事だけに関わらず自分から進んで成長できます。柔軟な発想で、より高い目標設定をしながら仕事に挑戦してくれることが期待できそうです。なお、「チャレンジ精神」を採用基準において重視すると回答した企業は48.9%でした。前年に比べると少し割合は減っているものの、3年連続3位という結果です。チャレンジ精神とは、「仕事への熱意」とも言い換えられるでしょう。約半数の企業が「熱意を持って積極的に仕事に取り組む姿勢」のある人材を求めているといえます。
◇協調性
仕事はチームで行なうことが多いので、チームのメンバーや同僚・上司など、周囲との助け合いや譲り合いが必要です。したがって、十分な協調性がある人材かどうかは採用基準のうえで重要な指標となります。「協調性」を採用基準において重視すると回答した企業は47%です。前述の「チャレンジ精神」を追う形で第4位となっています。
◇誠実性
コンプライアンスが厳しくなった現代、誠実に仕事に取り組む能力は重要な要素の一つです。誠実性の高い人材は、社会からの信頼も厚くなります。法令や社内規則を遵守し、問題なく仕事に取り組んでくれると期待できるでしょう。「誠実性」を採用基準において重視すると回答した企業は43.4%です。半数を少し下回ったところに位置していますが、例年、重視している採用基準として上位にランクインしています。
(3)会社にマッチした採用条件の作り方
多くの企業は、前項で紹介した要素を重視していることがわかりました。しかし、上記の要素だけだと自社にマッチした人材の採用は難しく、自社ならではの採用要件を作る必要があります。ここで、どのように採用条件を作るのか、確認しておきましょう。
◇就活市場・転職市場の調査
採用条件を作るときには、まず就活市場・転職市場を調査し、就活生や転職者の動向、他社の動きを把握することが重要です。動向調査によって、他社は現在どのような採用条件を就活生や転職者に提示しているのか、ターゲット層の人々がどのような価値観を持っているのかを、ある程度理解できます。
その調査結果をもとに、世間の風潮に逆行せず、ペルソナ(求める人物像)の価値観とも乖離がない採用条件を考えていきましょう。
◇業務で必要とされる経験やスキルのヒアリング
採用条件を作成するには、実際に現場が求めている経験値やスキルをヒアリングすることが重要です。人材の配属を予定している現場の社員や責任者、経営陣に業務で必要な経験やスキルを丁寧にヒアリングし、本当に求められているものは何かを確認しておきましょう。
経営陣だけの意見を聞き入れると、現場が思う「欲しい人材」との差が生じることがあります。かといって、現場の意見を重視しすぎると、今後管理職を任せられるような人材を取りこぼすこともあるでしょう。ですから、ヒアリングは現場・経営陣の双方に行なうことが大切です。
◇コンピテンシーモデルの設定
コンピテンシーとは、社内で活躍する社員の行動特性を指します。例えば、業績や成果を上げている社員の行動特性を分析して、コンピテンシーモデルを作成すると、採用選考時により自社に適した人材を見つけやすくなるでしょう。
◇ペルソナの作成
ペルソナとは、より詳細な人物像を指します。現場・経営陣へのヒアリングで得た意見や、コンピテンシーモデルを参考にしながら、求める人材のペルソナを構築しましょう。ペルソナは、スキルやマインド、人間性のほか、想定の勤務形態・給与額といった項目も、できる限り細かく設定することがポイントです。そうすることで、求める人物像を明確に定められます。
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◇選考フローへの反映
採用基準を作成したら、各選考フローに落とし込んで運用に乗せましょう。書類選考から筆記試験、面接までのどの段階で、どの採用基準を適用するかを決めていきます。例えば、「一次面接ではコミュニケーション能力、最終面接ではチャレンジ精神を重視する」といった形です。
また、選考を重ねるにつれて、求めるレベルが高まるように設定する方法もあります。
(4)作成してからが重要になる!!
採用条件は、作成したら完了するものではありません。採用条件を作成する際に現場や経営陣へのヒアリングが大事なように、採用条件を徹底するには社内の協力が必要不可欠です。
作成した条件に添わず自社にマッチしない人を採用してしまうと、教育に時間がかかったり早期離職をされたりして、採用にかかったコストが無駄になってしまいます。教育をしたのに離職されてしまうと、現場の手間やストレスにもつながり、他の業務を滞らせることにもなりかねません。
そうならないように、採用条件は全社員の共通認識として、会社全体で採用に本気で臨むことが重要です。就活・転職市場の動向も変化していくので、作成した採用条件はPDCAを回しながら、常に改善・最適化する必要があるでしょう。
(5)まとめ
人材採用において、採用する人材の明確な基準やルールは必要不可欠です。多くの企業では、人材を採用するときに今回紹介した5つの要素を重視していますが、各要素をどのように判断するかは企業によって異なります。採用条件を作成する際には、就活・転職市場の動向調査や現場のヒアリングなどで、しっかりと準備を行ないましょう。そして、コンピテンシーモデルを分析してペルソナを設定し、「自社がどのような人材を求めているのか」を明確に把握していきます。
作成した採用条件は適切に選考フローへ反映し、PDCAを回しながら常に最適化することで、より会社にマッチした採用が実現できるでしょう。
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