採用で用いられるペルソナ(求める人物像)とは?正しい設計方法やポイントを解説!
会社に必要な人材を採用するためには、求めている人物のペルソナを正しく設計することが重要です。
ペルソナを正しく設計すると「採用しても離職する社員が多い」「採用の基準がいつも曖昧で判断に困る」といった、採用担当者の悩みの解消につながります。それだけでなく、採用される側のミスマッチも回避でき、やりがいを持って働きやすくなるでしょう。
今回は、採用人事で用いられるペルソナの定義やメリットについて解説します。正しいペルソナ設計のポイントについても紹介していますので、採用基準の設定や見直す際にもお役立てください。
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(1)採用におけるペルソナ設計とは?
採用におけるペルソナの定義や、ペルソナ設定を用いて採用した場合のメリットについて解説します。
◇そもそもペルソナとは?
ペルソナは「人格」という意味を持ち、マーケティングでは「実在していそうな架空の人物」を指して、よく用いられる言葉です。採用の場面では、「採用したい架空の人物像」を指します。
ペルソナ設計では、年齢や性別に加えて職業や住所、趣味、家族構成など、内容を細かく設定していきます。こうしたペルソナを最初に設定しておくと、会社に必要な人物像が明確になり、効率的に採用活動を行なえるようになるでしょう。
◇採用でペルソナ設計を用いるメリット
採用でペルソナ設計を用いることにより得られるメリットは、大きく分けて2つあります。
まず1つは、入社後のミスマッチを減らして社員の定着率を高められることです。ペルソナが適切に設計されていれば「ペルソナに近い人物」が採用時の判断基準となり、より自社にマッチした人材を採用できるようになります。自社にマッチした人材であれば早期離職は起こりにくいため、定着率の向上も期待できるでしょう。
もう1つは、欲しい人材をピンポイントで採用できることです。正しくペルソナ設計ができていればそれを判断基準として、選考前の募集段階から必要な人材へ訴求する求人を設定できます。選考にかかる時間が短縮されるうえに、欲しい人材の採用にもつながるでしょう。
(2)設計をする際に盛り込む内容
次に、採用時に用いるペルソナを設計する際には、以下のような内容を盛り込むとよいでしょう。
◇価値観や仕事に対する考え方
「地道にコツコツ作業をするのが好き」「リーダーシップがあり面倒見が良い」など、配属先にマッチしそうな価値観・考え方を選択しましょう。配属先だけでなく、会社の方針やマインドにマッチしているかどうかも重要になります。
保守的な社風の会社と、ベンチャー系企業で求められる人材のタイプが異なるように、自社ならではのペルソナを細かく設計することで、入社後のミスマッチを減らせます。また、ペルソナに盛り込んだ価値観・考えにマッチする人材であれば、採用後に活躍してくれることが期待できるでしょう。
◇経験やスキル
経理職であれば「簿記2級取得」「給与計算、決算業務を○年間担当」、海外営業職であれば「TOEICスコア800」「三国間貿易の手配、交渉経験」など、人材を配属したい部署の業務内容に沿って経験やスキルを設定します。
このように、仕事で必要な経験やスキルを明文化させ、ペルソナ設計に盛り込みましょう。
◇性別や年齢
性別や年齢によっても、採用方法は変わります。ミスマッチを避け、条件や待遇に適した採用方法を選択するために、性別や年齢もペルソナに含めることが大切です。
◇新卒採用の場合の経験スキル
新卒採用においては、重要視されるスキルとして「課題解決に対する発想力」「課題解決能力」などを求める会社が多い傾向です。
また、近年では写真加工や動画編集、Webサイト作成などが行なえるクリエイティブ系のツールを活用する企業が増えています。そのため、ITを駆使できる能力の「デジタルリテラシー」を新卒者に求める傾向も高まってきているようです。
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(3)採用で用いるペルソナの設計方法
採用で用いるペルソナの設計は、以下のようなフローで進めていきます。
◇STEP1:採用目的を明確化させる
ペルソナ設計にあたり、採用する目的を明確化しましょう。中長期的な人材育成をしたいのか、即戦力となる人材が欲しいのかによっても、設計するペルソナが異なるからです。
「安定志向の社風だが、今回は新規事業を任せられる人材が欲しい」「ベンチャー系だが軌道に乗ってきた事業を安定させる人材を採用したい」など、前例とは異なる人材が必要な場合もあるでしょう。そのため、採用目的の明確化はペルソナ設計において重要といえます。
◇STEP2:求める人物像の特徴をすべて洗い出す
すべてに該当する応募者が実際にいるかどうかは別として、求めている人物像の要望や特徴をすべて洗い出し設定していきましょう。
例えば、「趣味はスポーツ」「両親と兄の4人暮らし」といった趣味や家族構成、「失敗してもクヨクヨしない」「焦ると慌ててしまう」といった長所と短所などです。その他にも、失敗とそれによって得た経験なども細かく洗い出してみましょう。
ペルソナの特徴が具体的であるほど、人材に対するイメージをより明確にすることができます。業務に必要な経験やスキルの設定も重要ですが、一見仕事に関係のないような特徴であっても、人物像の洗い出しは重要です。
職場で良好な人間関係を構築できそうか、転勤や出向に対応可能かといった点も含めて、ペルソナ設計を行ないましょう。
◇STEP3:人物像のブラッシュアップ
STEP2で洗い出したペルソナを、現場の意見や会社の方針などと照らし合わせ、さらに厳選してブラッシュアップさせていきます。
人事部門や経営陣の考え方と、実際の現場で求められている人物像が一致しない場合もあります。その場合は必要に応じて、人事と現場で人物像をすり合わせやペルソナ設計の微調整を行なうようにしましょう。
♢STEP4:新卒採用や転職市場の状況と照らし合わせ
STEP3でブラッシュアップしたペルソナが、現在の新卒採用における市場や、転職市場の傾向とマッチしているのかを人事で確認することが大切です。実際の市場状況と照らし合わせて判断していきます。
また、新卒採用を想定する人物像に豊富な経歴が盛り込まれていないか、転職市場で求人の待遇や求人条件に見合った人物像が設計できているか、といった点もチェックしましょう。
(4)設計を行う上でのポイント
「携帯キャリアは格安シムを使用している」「最近スポーツジムに通い始めたが、継続を迷っている」など、あまりにも細かい内容を盛り込んでしまうと、ペルソナに該当する人物がなかなか見つからず、母集団形成ができないこともあります。
人物像を洗い出す際にはこうした細部の設計も有益ですが、最終的なブラッシュアップでは、母集団形成ができる程度には条件を絞り込むようにしましょう。また、設計したペルソナは社内で共有し、ペルソナを周知することも大切です。採用には関わらない現場の社員にも、「我がこと意識」で採用に関わってもらうようにしましょう。
ペルソナ設計をして採用活動を行なったあとは、効果検証や分析、改善を行ない、PDCAを回し続けることが重要です。採用活動を行なうたびにペルソナに関するPDCAを回し、毎年のように改善を行なうことで、よりミスマッチを回避して社員の定着率を高めることができるでしょう。
(5)まとめ
ペルソナには「人格」という意味があり、マーケティングでは「実在しそうな架空の人物」を表す場合に使われる言葉です。採用の場面では「採用したい架空の人物像」を指し、ペルソナを定めることで採用活動の成功率が向上します。
ペルソナ設計では経験やスキルだけではなく、趣味や家族構成など、一見業務に関連がなさそうな内容も細かく洗い出して設定していきます。現場と上層部で人材への希望が異なる場合はすり合わせを行なうなどして、ペルソナをブラッシュアップしていくことが大切です。
ペルソナは社内でも共有し、PDCAを回して逐次改善を行なうことで、より精度の高いものにすることができるでしょう。
近年では、早くから企業の方針を教えられたり、現場で実績を積めたりするというメリットがあることから、高卒採用への注目が集まっています。それにともない、高卒者をペルソナに設定する会社も増加傾向にあります。
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