工業高校の生徒を採用したい企業が注意すべきポイント | 記事一覧 | 高卒採用Lab 高校生採用を科学する

工業高校の生徒を採用したい企業が注意すべきポイント

7月1日から、2021卒の高卒採用の求人が解禁となりましたが、採用活動は順調でしょうか。求人票を発送したり、高校へ訪問したり…ターゲットとする高校を決めて今まさに活動をされていらっしゃると思いますが、今回はターゲットとする高校について注意すべきポイントをお話ししたいと思います。

目次

1、学科別就職人数の割合

2、工業高校からの採用は難しい!?高卒人材に求めていることはなんですか

3、工業高校から採用が難しいもう一つの理由

4、ターゲット高校を見直して、採用成功した企業の事例

5、まとめ

1、学科別就職人数の割合

製造業の企業は、「工業高校出身の子しか採用しない」と決めて採用活動をしている場合が多いのではないでしょうか。しかし、高卒採用をこれからは始める企業や始めたばかりの企業が工業高校のみにターゲットを絞ってしまうと、採用活動に苦戦する場合があります。

下の表は、平成31年5月時点での、高校や生徒数について文部科学省から発表されているデータです。この表の通り、187,342人の就職希望者に対して工業系の学校の就職希望者数は、たったの54,760人しかいません。つまり、工業高校からの採用に限定してしまうと、多くの就職希望者がいる中で3割の生徒に絞って採用活動をすることになってしまいます。また、勘違いされがちなポイントとして、「普通科の高校生は製造業に行かないのでは?」と思われることが多いのですが、実際は普通科から製造業に行きたいと考える高校生もたくさんいるため、高卒採用初年度の企業や、まだ始めたばかりで高校とのリレーション構築が進んでいない企業は、ターゲットの高校を狭めずに活動することをお勧めします。(※また、上記の内容は「スクール・トゥ・ワーク早活人材データ集2019」という資料からも読み取ることが出来ます。)

※出典:「平成31年3月新規高等学校卒業者の就職状況に関する調査について」文部科学省より

2.工業高校からの採用は難しい!?高卒人材にもとめていることはなんですか

高校生の新卒採用は「ポテンシャル採用」にあたりますが、貴社が高校新卒に求めていることや理想の人物像はいったいどのようなものでしょうか。ぜひこの機会に、貴社に入社して活躍する為に必要なスキルと、入社時に求めるスキルを10個ずつ書き出した上で、書き出したスキルが工業など専門の知識を学んだ学校からの採用ではないと難しいか再確認をする機会を設けてみましょう。

高卒新卒の採用で良い点の1つは「素直さ・吸収力」であり、専門的な知識が無くても学ぶ姿勢を持ち続け、スキルアップを目指してくれるところです。学科に関係なく募集をかけることで母数が多くなり、採用成功の確度も高まっていくでしょう。書き出した10個のスキルと照らし合わせてみて、普通科や総合学科などの高校にも採用活動の幅を広げられないか、ぜひ検討してみてください。

3.工業高校から採用が難しいもう一つの理由

工業高校の生徒は、卒業後の進路を「就職」で定めている場合が多いです。その為、学校側も就職活動についてのフォローを開始する時期が非常に早いという特徴があります。普通科の生徒は、2年生の終わりに三者面談や二者面談を重ね、将来のことについて考える機会を設け始めるケースが多いですが、工業高校となると1年生から業界勉強のような時間が設けられています。また、2年生になると、学校に届いている前年度の求人票を見ながら自分が来年どこを受けようか選び始めています。

このスケジュール感を見てもわかる通り、採用活動が解禁した7月から学校へアプローチしても、高校生に選んでもらえる可能性は極めて低くなってしまいます。

4.ターゲット高校を見直して採用成功した企業の事例

工業系の高校のみをターゲットとして採用活動していた企業が、他の学校も視野に入れて活動したところ採用成功できたという事例も多くあります。最後に、実際の事例の一部をご紹介していきます。

《A社のエピソード》

①なぜ、工業高校に絞って採用活動していたのでしょうか?

「工業科を出た高校生の方が優秀だと思っていたからです」

②他の学校も視野に入れた理由は何ですか?

「工業科の高校は非常に人気でした。生徒は、求人票に記載してある就職実績も見て応募しているようで、名だたる大企業や有名な企業の中で、弊社が工業高校から採用するのは現実的ではないと考えました。」

③その後の具体的な採用活動について教えてください。

「求人サイト、就職雑誌への掲載、求人票発送代行、高卒用のオリジナルパンフの作成、学内合同企業説明会への参加(大事にしている理念を中心に話しました)などを実施しました」

④ターゲット校を広げて活動してみていかがでしたか?

「満足しています。学内合同企業説明会に参加した高校から1名採用、事務職の採用も2名できました。」

上記の事例のように、高校や高校生に対する固定概念を一度取り払うことは重要です。就職活動をしている高校生の中には、元々進学をしようと頑張って勉強していたけれど、家庭の事情でやむなく就職に切り替えるといった高校生も沢山います。また、今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、より一層そういった高校生が増えるのではないかと予想されます。高校の学科やコースにとらわれず、一人ひとりの高校生と向き合ってポテンシャルを見つけていくことが採用成功の1つのポイントになります。

《B社のエピソード》

①なぜ、工業高校に絞って採用活動していたのでしょうか?

「製造業に就職する人は、工業科の生徒が殆どだと思っていたからです。」

②他の学校も視野に入れた理由は何ですか?

「普通科にも製造業に進んでいる生徒が一定数いるという事が分かり、一度チャレンジしてみようと思いました。」

③その後の具体的な採用活動について教えてください。

「求人サイト、就職雑誌への掲載、高卒用のオリジナルパンフの作成、求人票発送代行、学内合同企業説明会への参加、合同企業説明会への参加などです」

※合説時は、金属で加工したスマホスタンドを生徒に配布して、実際の製品を見てもらう機会をつくりました。また、工場内をVRで撮影し、iPadを配布してVR工場見学も実施。常務のほか、社員2~3名程度を連れて、社員の雰囲気が伝わる努力をしました。

④ターゲット校を広げて活動してみていかがでしたか?

「高卒採用1年目:1名内定 ※内定辞退 

 高卒採用2年目:2名採用 ※普通科の高校生から2名採用が決定

 

 上記のように、製造系の企業様は「高卒採用では工業高校からしか採用しない」とお考えになっているケースもたくさんありますが、高校生の就職活動の実態を見てみると、全体の4割の生徒は製造業へ就職しています。普通科や総合学科へ属している生徒も製造業へ就職することが多いとお分かりになると思います。

その他の意見では、「毎年、工業高校をターゲットにして採用活動をしているが、職場見学0人、応募0人の状況が続いていた。どうにかこの状況を打開するべく、試しにターゲットを広げて採用活動を行った結果、採用に至った。」というケースも多くありました。

5、まとめ

高卒採用経験が浅い企業にとって、工業高校にターゲットを絞っての採用はハードルが高いことが現実です。会社として求めている人物像を再度確認し、まずはターゲット校を広げて採用活動をしてみましょう。

高卒採用における採用実績を気にする高校生や先生もいるため、採用実績をつけてから再度、指定校求人で工業高校へアプローチする等、自社の採用活動のフェーズに合わせて採用活動も変革させていくとよいでしょう。


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