勉強苦手・社員経験ゼロの私が22才で社長に!?「やってみよう」でつかんだチャンス

目次
高校時代から飲食チェーン店カレーハウスCoCo壱番屋でアルバイトを続け、社員経験ゼロのまま22才で社長に――
そんな異例のキャリアを歩んだ、株式会社スカイスクレイパー代表取締役社長・諸沢莉乃さん。
「勉強は苦手でした。でも、人と関わることは大好きでした」
諸沢さんはなぜフリーターから社長に抜擢されたのでしょうか?
その背景には、素直さややってみる勇気といった、今から大切にできる姿勢がありました。
2025年7月14日通信制高校で、諸沢社長の高校時代のアルバイト経験から社長就任の舞台裏まで、これから将来を選んでいく高校生に向けて、特別キャリア授業を実施しました。今回はそのスカイスクレイパー諸沢社長と、ジンジブの星野の特別対談の様子をお伝えします。
読み終えた頃にはきっと、新しい一歩を踏み出す勇気が湧いてくるでしょう
諸沢社長のキャリアステップ

勉強よりもアルバイトが面白かった高校時代
(司会)
今日は「17才から考える、私のキャリア」というテーマで授業を行い、高校生のみなさんがキャリアについて考えるきっかけになればいいな、と思っています。まずは自己紹介からよろしくお願いいたします。

(諸沢社長)
株式会社スカイスクレイパーの代表取締役社長、諸沢と申します。
当社は、1都9県でカレーハウスCoCo壱番屋を29店舗と、ラーメン大戦争というラーメン店を神田と水道橋で2店舗のフランチャイズ、美容サロンを1店舗経営しています。よろしくお願いいたします。

(星野)
株式会社ジンジブ キャリア教育開発部、取締役の星野と申します。
キャリア教育開発部では、高校生向けにキャリアの授業をしたり、高校向けのサービスを提供したりしています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
(星野)
まず最初に伺いたいのですが、諸沢社長は高校時代、どんなふうに過ごしていましたか?
(諸沢社長)
学校行って、終わったらCoCo壱番屋でアルバイトして……それを1週間ずっと繰り返す毎日でしたね。たまに友達と遊んだりもしてたんですけど、正直、あまり勉強はしていなかったです(笑)
(星野)
なぜ、そこまでアルバイトに夢中だったのでしょうか。
(諸沢社長)
楽しかったからですね!アルバイトでは、学校とは違うことを社会で学べると感じていました。
人と接するのが好きなので、お客様と会話したり、少しずつできることが増えていったりするのが、とても楽しかったんです。
(星野)
CoCo壱番屋の魅力とは何だと思いますか。
(諸沢社長)
私は親から「勉強しなさい」と言われたことは一度もなかったんです。でも「挨拶をちゃんとしなさい」とか「時間を守りなさい」という、人として大事なことはすごく厳しく言われて育ちました。
当社はまさにそれを大事にしています。仕事ができるかできないかじゃなくて、まず人としてどうか、だと思っていて。なので、両親から教わっていたことと会社の価値観ががっちり重なって、「ここは信頼できるな」って自然に思えたんですよね。
(星野)
それは大きな出会いですね。高校時代にそういう場所と出会えたことは、すごく貴重な体験だと思います。
フリーターから社長に!?人生が変わった決断の日

(星野)
高校卒業後、そのままスカイスクレイパーで働き続けたんですか?
(諸沢社長)
はい。今は社長ですが(笑)ずっとCoCo壱番屋で働いています。ただ、社長になる前は正社員ではなくフリーターでした。
(星野)
えっ、それで社長に?詳しく教えてもらえますか?
(諸沢社長)
2024年5月1日に社長に就任したんですが、前日4月30日まではアルバイトでした。社員経験を一切挟まずに、いきなり社長になった感じです。だから、本当に人生は何が起きるかわからないなと思いますね。
(星野)
社長になられたときのエピソードを聞かせていただけますか?
(諸沢社長)
あるとき、接客の評価で高いランクの称号をいただいたんです。そのお祝いの席で、当時の社長(現在の会長)から「次の社長になってくれないか」と声をかけていただきました。20歳のときですね。そこから2年間は修行みたいな感じで店長経験させていただいて、その後社長になりました。
(星野)
社長になると決断されたときに、不安や迷い、怖さのようなものはありませんでしたか?
(諸沢社長)
まったくなかったですね。その場で「やります!」って即答したんですよ。正直、社長がどんな仕事なのかもわかってなかったんですけど、「やってみなきゃわからない」という気持ちで決めました。
(星野)
素敵な考え方ですね!即答できた理由は、どこにあったと思いますか?
(諸沢社長)
やはり、ずっと信頼していた当時の社長の存在が大きかったですね。「あなたなら大丈夫」と言ってくれたので、「じゃあ、大丈夫かも」って思えたんです。自分自身より、その人の言葉を信じることができたんだと思います。

(星野)
信頼する人の言葉が、迷いを吹き飛ばしたんですね。
落ち込んでも寝たら忘れる!折れない心の育て方

(星野)
早く社会に出たことで、何を得られたと思いますか?アルバイトから社長へとつながったと思われる経験なども教えてください。
(諸沢社長)
高校生の頃から、店長がいない日は店長代行としてお店を守っていました。その日にクレームが来て「責任者を出して」と言われたら、私が出るんです。
高校生のアルバイト面接も私が担当していましたが、当時はそれが当たり前だと思っていたんですよね。振り返ると、高校生のうちから責任ある仕事を任せていただいたことは、自分にとってすごく得だったなと思います。
(星野)
アルバイトの環境の中に成長できるチャンスがあったんですね。
(諸沢社長)
はい!当社は「やる気がある人にはどんどんチャンスを与えてくれる会社」なんですよ。
年齢とか性別とか関係なくて。そういう文化だったから、すごく恵まれてたなと思います。
(星野)
でも、任されるぶんプレッシャーを感じたこともありましたよね?
(諸沢社長)
それが私、寝たら忘れちゃうタイプなんですよね(笑)
つらいことも、あまり引きずらないというか……落ち込んでも、一晩寝ると気持ちが切り替わるんです。
(星野)
そのマインド、すごく強いですね。
(諸沢社長)
もちろん苦労したこともあったんですけど、たくさんの人が支えてくれたのが大きかったですね。
落ち込んだり試練があったりしたときも「この経験が次につながる」と思ってました。経験はすべて自分のためになるし、こうやってお話することで、誰かのためにもなると思います。
(星野)
挑戦は大事ですよね。当社も「挑戦と創造」をスローガンとしています。
ただ、新しいことに踏み出すときは誰しも不安があると思います。高校生のみなさんも、「社会に出るのが怖い」とか、「進路どうしよう」と悩んでいると思いますが……
(諸沢社長)
やってみなきゃ、わからない!
やってみて途中でやめちゃうから「失敗した」ってなるんですよ。やり続ければ、絶対に何か得られるものはあるんです。「ここ違ったな」と思っても、それはひとつ得たことだし、「あれ?意外と楽しいかも」と思えたら、それも収穫です。
とにかく、やってみないと何も始まらない!うじうじ悩んでる時間が一番もったいないと私は思いますよ。
(星野)
確かに行動しないと何も得られませんよね。
(諸沢社長)
そうなんです!
チャンスは全員に平等に来るわけじゃない。だからこそ、来たときに「ありがとうございます!」と素早くつかみにいけるかどうかが大事。同じタイミングで誰かとチャンスが被っても、先に動いた人がつかむものなんですよね。
だからみなさんも、まずはやってみてほしいです!

特別な才能より「素直さ」が仕事の武器になる
(星野)
ここからは視点を変えて、会社側としてのお話を聞かせてください。若い人を採用するとき、「伸びそうだな」と感じるのはどんな人ですか?
(諸沢社長)
絶対に「素直な人」ですね。
私、本当に勉強もできないし、スポーツもできないし、得意なことが特になくて。
でも、会長から褒めていただけるのが「素直な心」なんです。
何かアドバイスをもらったときに「でも私はこう思います」とか「僕はこういうやり方があるんです」と返す前に、まずはいったん受け止めてやってみる。そうすると、その人が本当に伝えたかった意図が見えてくるんですよね。
なので、素直に吸収する力はとても大切だと感じています。
(星野)
おっしゃる通りです!
正直に自分の気持ちを伝えたり、わからないと素直に言えたりする姿勢、そして学び続けようとする姿勢って、社会に出てからもすごく大切ですよね。
(諸沢社長)
そうなんですよ。学生のときに教わった「時間を守る」とか「わからないことはわからないと言う」ことこそ、社会に出ても大切。
特別な才能がなくても、人としての基本を守ることが大事だと思います。
(星野)
まさにそうですね。スキルや知識は入社してからいくらでも学べるけど、素直さや姿勢はその人の軸ですから。
では次の質問にいきますね。会社側として高校生や若い人を迎える際に、どんなことに気を配っていますか?
(諸沢社長)
当社は、アルバイトさんの入社でも、新卒の人でも、「ウェルカム体制」を大事にしてます。たとえば「お名前を把握しておこう」とか、「職場見学に来てくれた人にはウェルカムボードを作って用意しておこう」とか。
単純なことなんですけど、自分がされてうれしいことは相手もうれしいですよね。
当社はみんなであたたかくお迎えします!
(星野)
なんだか、私も働いてみたくなります。お互いが気持ちよく働ける環境づくりは本当に大事ですよね。
では最後に、高校生の就職活動についてお伺いします。活動期間が短かったり、「一人一社制」などのルールがあったりする中で、情報が少なくてミスマッチが起こりやすいとも言われています。この点についてどうお考えですか?
(諸沢社長)
当社は職場見学や面接に来てくれた人には、包み隠さず話すことを心がけています。
「飲食店ってこういうところは大変だよ」「でも、ここはいいところだよ」と正直に伝えるようにしてるんです。私が本音で話すので、「あなたも本音で話してね」って。
ミスマッチのまま働くのは、やはりお互いにとってよくないですから。
もちろん1社目で当社がいいと思ってもらえたら嬉しいですけど、できれば他にも2社くらいは見てみてほしいなと思います。
あとは、身近な大人に相談して話を聞くこと。自分のまわりから、リアルな情報を集めるのも大切だと思います。
悩むよりやってみよう!あなたの一歩が未来を変える

(星野)
悩んだり迷ったりすると思いますが、それは「選べる自由がある」とも言えますよね。
迷いながらでもいいので、いろんな選択肢を見て、自分で情報を集めて決めていく。それは素敵な権利だと思います。
では最後に、高校生に向けてメッセージをお願いできますか?
(諸沢社長)
とにかく、「やろうかな?どうしようかな?」って迷ってるなら、絶対にやった方がいいです!
情報は、多ければ多いほどいい。今の時代はスマートフォンで何でも調べられるし、身近なところに情報はあふれているから。
もし人の話が聞きたかったら、私に連絡してくれてもいいです(笑)あなたの答えは出せないかもしれないけど、お話することはできます。
こういうご縁を大事にして、周りを頼ってほしいなと思います。
(星野)
素敵なお話ありがとうございます。
「第2の諸沢社長」のような人を育てたい、採用したいと考えている企業さんもきっと多いと思います。
そういった人材を増やしていくには、どんな教育や体制が必要だと思いますか?
(諸沢社長)
教育というよりは、その人が目指すありたい姿やビジョンを応援することが大切だと思っています。
当社は会社のためじゃなくて「自分のために」この場所を使ってほしいと伝えています。
どこで働いても、人として大事なことは変わらないので、自分のために今の環境を活用してほしい。
誰かを一方的に教育するのではなく、ひとりひとりのビジョンを知って応援すれば、みんな自然と自分のために頑張れると思います。
私自身も、最初から社長を目指していたわけではなくて、「人のために汗をかきたい」という気持ちから、より多くの人のために動ける手段として社長という立場を選びました。
だからこそ、「何になりたいか」より、「どうありたいか」を大切にしたいですね。
(星野)
選択肢は提示してもらうこともあるかもしれないけど、最終的に選ぶのは自分なんですよね。誰かに敷かれたレールじゃなくて、自分で選びとっていく。
進学でも就職でも自分で考えて動いた道がキャリアになりますから!
今日は本当に素敵なエピソードをありがとうございました。
(諸沢社長)
ありがとうございました!
キャリアを創造するのは自分自身
「才能がある人しか成功できない」「勉強ができないと将来困る」
悩んだり迷ったりしたときは、今日のお話を思い出してください。
諸沢さんは、特別なスキルや才能があったわけではないかもしれません。
しかし、「目の前のことに素直に向き合う」「チャンスが来たらすぐにやってみる」
そんな一つひとつの行動が、社長という大きなチャンスにつながりました。
これから社会に出る高校生のみなさんにとって、今の選択がすべてではありません。
「自分はどうありたいか」を大切にしながら、迷いながらでも一歩を踏み出してみてください。
その一歩が、きっと未来のあなたにつながっています。

この記事を読んで高卒採用に少しでも興味を持たれた方は、ぜひこちらの資料をご確認ください。高卒採用を始めるにあたって必要なルールやポイントを1冊にまとめております。
◆この資料で分かること