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介護業界の人手不足解消へ!原因と企業が取り組むべき対策とは?

介護業界の人手不足は、もはや社会問題と言えるほど深刻化しています。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、介護ニーズはさらに増大することが予想されます。その中で、介護の担い手不足は深刻な介護崩壊の危機を招きかねません。介護業界の人手不足問題の現状と課題について解説し、具体的な解決策についてご紹介いたします。

1. 介護業界の人手不足の現状

深刻化する人手不足の現状データ

厚生労働省の発表によると、2025年には約34万人の介護人材が不足すると予測されています。この数字は、現在の介護職員全体の約20%に相当し、介護サービスの提供に大きな支障をきたす可能性があります。

 また、介護職員の有効求人倍率は常に高く、2023年では3.96倍と全産業平均の1.17倍を大きく上回っています。これは、求職者1人に対して約4件の求人があることを意味し、人材獲得競争の激しさを示しています。

年度介護職員数求人倍率
2020年211.93.99
2021年214.93.64
2022年215.43.71

2025年問題と介護崩壊の危機

2025年には、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、介護需要がピークを迎えるとされています。この「2025年問題」は、既に深刻な人手不足に拍車をかけ、介護サービスの提供体制を崩壊させる可能性があるとして大きな懸念となっています。 

介護崩壊を防ぐためには、人材確保とサービス提供体制の強化が急務です。特に、団塊の世代は、現役時代に高度経済成長を支えてきた世代であり、多様なニーズや価値観を持つため、従来の画一的な介護サービスでは対応できない可能性があります。

2. 介護業界で人手不足が起きる原因

低賃金と重労働による負担

介護職は、身体的・精神的に負担が大きい仕事です。しかし、他の業種と比較して賃金が低いという現状にあります。

肉体的負担としては、入浴介助や排泄介助、移動介助など、力仕事が多く、腰痛などの職業病のリスクも高いです。また、認知症の方への対応や、利用者の死と向き合うなどの場面も多くあり、精神的負担も大きいものとなっています。これらの負担に見合うだけの賃金が支払われていないことが、人材の離職や新規参入の障壁となっています。令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職員の平均月収は約30万円ですが、手取り額はさらに少なくなっていくと予想されます。

キャリアパスが見えにくい

介護職は、資格取得による昇給はあるものの、他の業界と比べてキャリアアップの道筋が明確でないという課題があります。管理職への昇進の機会も限られており、将来的なキャリアビジョンを描けないことが、若年層の入職意欲を阻害する要因の一つとなっています。

また、専門性を高めていくための研修機会や、資格取得支援制度が十分に整っていない施設も多く、スキルアップを目指す職員にとってキャリア形成の難しさを感じさせる原因となっています。

職場環境の課題

ハラスメント問題

介護現場では、利用者からの暴力や暴言、セクシュアルハラスメント、同僚や上司からのパワーハラスメントなど、様々なハラスメントが発生するリスクがあります。ハラスメント対策が不十分な職場は、職員の精神的健康を損ない、離職につながる可能性が高いため、安心して働ける環境づくりが不可欠です。

長時間労働

人手不足のために、残業や休日出勤を強いられるケースも少なくありません。慢性的な長時間労働は、職員の心身の健康を害し、離職の大きな要因となります。業務の効率化や、人員配置の最適化など、労働時間削減に向けた取り組みが急務です。

3. 企業が取り組むべき人手不足対策

介護業界の人手不足は深刻な問題であり、各企業は積極的に対策に取り組む必要があります。ここでは、効果的な人手不足対策について詳しく解説します。

働きやすい環境づくり

労働時間管理の徹底

長時間労働は従業員の心身の健康を損ない、離職の大きな要因となります。時間外労働を削減するため、業務の効率化や人員配置の最適化を図り、法定労働時間を遵守することが重要です。勤怠管理システムを導入し、労働時間の正確な把握と管理に努めましょう。また、年次有給休暇の取得促進にも取り組み、従業員が休暇を取得しやすい雰囲気づくりも大切です。

ハラスメント対策の実施

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメントは、職場環境を悪化させ、人材の流出に繋がります。ハラスメント防止研修を定期的に実施し、相談窓口を設置するなど、適切な対策を講じる必要があります。また、発生したハラスメントに対しては迅速かつ厳正な対応を行い、再発防止に努めることが重要です。風通しの良い職場環境を整備し、誰もが安心して働ける環境を作ることで、従業員の定着率向上に繋がります。

相談窓口の設置だけでなく、外部機関との連携も検討しましょう。例えば、厚生労働省が紹介する総合労働相談コーナーなどを活用することで、より専門的な対応が可能になります。

福利厚生の充実

魅力的な福利厚生制度は、求職者にとって大きなメリットとなり、採用活動においても有利に働きます。介護職員の処遇改善加算を活用し、昇給や賞与の支給額を増やす、退職金制度を導入するなど、従業員のモチベーション向上に繋がる取り組みを行いましょう。また、子育て支援制度や介護休暇制度などを充実させることで、仕事と家庭の両立を支援し、より働きやすい環境を提供することが重要です。

未経験者の採用と育成

経験者不足を補うためには、未経験者の採用と育成が不可欠です。未経験者でも安心して働けるよう、教育体制の整備に力を入れることが重要です。

資格取得支援制度

介護福祉士や実務者研修などの資格取得にかかる費用を補助する制度を導入することで、未経験者でも安心してキャリアアップを目指せる環境を提供できます。資格取得後は、資格手当を支給することで、更なるモチベーション向上を図ることができます。具体的な支援内容としては、費用補助だけでなく、介護福祉士実務者研修の受講時間確保のための勤務調整なども有効です。

研修制度の充実

新人研修だけでなく、スキルアップ研修や階層別研修など、多様な研修プログラムを用意することで、従業員のスキル向上を促進します。OJT制度を導入し、先輩職員による指導体制を構築することで、実践的なスキルを習得できる環境を提供しましょう。また、外部研修への参加を推奨し、最新の知識や技術を習得する機会を提供することも重要です。

賃金体系の見直し

介護職員の賃金は、他の業種と比較して低い水準にあることが課題となっています。賃金体系を見直し、処遇改善を進めることは、人材確保と定着率向上に不可欠です。介護職員の経験や能力に応じた賃金体系を構築し、昇給や賞与の機会を増やすことで、モチベーション向上に繋げましょう。また、夜勤手当や資格手当などの各種手当を充実させることも重要です。

4. まとめ

介護業界の人手不足は、深刻な社会問題となっています。2025年問題を控え、介護崩壊を防ぐためには、早急な対策が必要です。この記事では、人手不足の現状と原因、そして企業が取り組むべき対策について解説しました。

介護は、人の人生を支える尊い仕事です。より多くの人材が介護業界で活躍できるよう、企業は積極的に環境改善に取り組む必要があります。

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