【3つのポイント】高卒新入社員の特徴〜大卒との違いと教え方〜
最近の高卒新入社員について、彼らがどのような特徴を持った人材なのかを把握したい管理職の方は少なくありません。少子高齢化による人材不足が叫ばれる昨今において、大卒社員との性質の違いを理解し、高卒社員の定着率を向上させることは人事の重要課題であるといえるでしょう。
まずは最近の若者を取り巻く環境を知り、それが若者の価値観にどんな影響を与えているかを考えることで、高卒社員をはじめとする若者の特徴を理解していきましょう。
高卒新入社員が育ってきた環境とその影響
インターネットが普及
現代の若者世代は、生まれたときには既にインターネットが普及しています。学生時代には一人一台スマートフォンを持つのが当たり前になっており、疑問があればすぐ手元の端末で検索し、正解を調べるのが当たり前になっています。そのような環境で育ってきているためか、「分からないことを質問するのは恥ずかしいことだ」と考える傾向にあるようです。また、高卒に限らず最近の若者全般に言えることとして、過度に失敗を恐れる性質を持つことも挙げられます。
日本能率協会の2021年調査からも、最近の新入社員は経験から学びたいという気持ちはあるものの、失敗はしたくないと考えていることが分かります。失敗を避けるために、行動を起こす前にインターネットで調べ物をする人が多いといえるでしょう。
他にはSNS上でのコミュニケーションが多くなっていることも考慮する必要があります。SNSにおいては、気に入った相手とだけ対話を行えるようなシステムが構築されています。そのため、SNSを主体としたコミュニケーションを行ってきたこの世代は、考え方の違う相手とのリアルなコミュニケーションが不足している傾向にあるようです。
日本経済は低成長
現在の高卒新入社員を理解する上で、近年の日本経済の停滞についても触れておく必要があります。日本の実質賃金は20年間伸びることなく、ほかの先進国と比較しても平均年収は低くなっています。少子高齢化が進み、働く世代の負担が増えていることで、国民全体に財政の持続可能性に対する懸念が出ています。他にも非正規雇用が増加し、ワーキングプアが社会問題化する中で先行きの見えない不安が広がっている状況です。
これらの複数の要因により、努力してもなかなか給与などの待遇が良くならないという日本の現状を受けて、新入社員は全体的に上昇志向の薄い、より現実主義的な意識を持っている傾向にあります。
大卒社員との違い
高卒社員を採用し、教育していくことを考えた場合、大卒社員とは取るべき手法が変わってきます。大卒社員と比べた場合、高卒社員がどのような違いを持つのかを知ることで、適切なコミュニケーションを取れるようになるでしょう。
失敗や挫折の経験が少ない
高卒の新入社員は、どうしても社会経験に乏しい側面があります。高校時代にアルバイトを経験している場合はまれで、学校教育外で活動をした経験が極端に少ない場合が多いため、大卒社員と比べると失敗経験に乏しい傾向にあります。そのため失敗に弱く、ちょっとしたことで心が折れてしまいやすいようです。必要以上に自分を責めたり、他人から見れば取るに足りないような小さなミスでも気に病んだりして、悩み込んでしまいがちです。
傍目から見れば些細な出来事なので、落ち込んでいることに周囲が気づきにくい点も問題です。早めに気づいてケアができればよいのですが、サポートが遅れたことで離職に繋がってしまうケースもあります。
年齢が離れた人とのコミュニケーションに慣れていない
高卒新入社員は、校外で活動した経験が乏しいため、年齢が離れた人とうまくコミュニケーションが取れない場合が多いようです。また、高卒だとどうしても同期の社員が少なく、先輩も年が離れていることがほとんどなので、同じ立場で悩みを共有できる相手がおらず、社内で孤立してしまう傾向があります。そのため教育担当の選任者を設けるなど、高卒新入社員が普段から悩みを相談しやすい環境を構築しておくことが大切です。
高卒新入社員育成3つのポイント
社内教育を考えた場合にも、大卒社員と比べると高卒の新入社員へは有効な手法が違います。要点を押さえて、高卒社員の定着率を高め、会社に貢献できる人材をできるだけ早く育成できるようにしていきましょう。
質問・相談するクセをつけさせる
前述したように、高卒の新入社員は質問が不得手な傾向にあります。そういった苦手な部分を克服するために、まずは質問をすること自体に慣れてもらうところから始めるのがよいでしょう。基本的なビジネスマナーや、上司、先輩、社外の人との関わり方を教え、年齢の離れた相手とコミュニケーションを取ることへのハードルを下げていきます。
また、彼らがこれまで経験してきた学校での勉強とは違い、仕事というのは基本的に絶対的な正解というものは存在しません。複合的な要因を精査して、判断に迷う場合には自分の考えをまとめた上で、積極的に周囲に相談していくのがよい仕事のやり方であるということを伝えましょう。
不安との向き合い方や悩みの整理方法を教える
不安や悩みは誰しもが抱くものであり、それを抱え込んで思いつめすぎる必要はないことを伝えることが効果的です。悩み事があっても、それを客観的かつ冷静にとらえることの大切さを伝えましょう。また、高卒新入社員は失敗を過度に恐れる傾向があるということを前に述べましたが、この点を改善するために、失敗とはただ避けるべきものではなく成長の機会でもあることを教えてあげてください。
失敗は悪いことではなく、恐れすぎることなく前向きに受け止めてよいこと、失敗によって会社からの評価が下がるわけではないことを伝えましょう。むしろ、失敗するということは新しいことに挑戦しているということでもあります。チャレンジすることは評価を高めることにつながると教えられるとよいでしょう。
会社側としては、失敗の経験も含めて、新入社員の今後の成長に期待をかけています。そのことをはっきりと何度も本人に伝えていきましょう。
自分の成長や達成感を味わえるようにする
新入社員の自己肯定感を高めるため、業務上の目標と計画を自分で立てさせてみましょう。達成までの道のりが遠い大きな目標だけではなく、比較的簡単にこなせる目標も用意させて、小さな成功体験を少しずつ、日々の業務上で積めるようにするのが効果的です。こうして仕事でやりがいを感じられるよう工夫することで、高卒新入社員の早期離職を減らすことにもつながります。
まとめ
本記事では、大卒社員とは異なる高卒新入社員の特性について述べてきました。彼らは日本経済が不況な時代に生まれたことによって現実的な考え方を持つほか、幼いころからITインフラが整っていたデジタルネイティブ世代ならではの特徴もあり、なかなか肌感覚では理解が難しい部分もあります。しかし、高卒新入社員の価値観を把握した上で適切な教育ができれば、彼らの真面目な性質がプラスの方向に発揮され、会社にとって有用な人材になりうる可能性を秘めています。理解を進め、辛抱強くコミュニケーションを取ることで、人材不足の波に立ち向かっていきましょう。
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