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DX人材採用・育成成功のポイントとは

慢性的に不足するDX人材を採用・社内育成するにあたり、企業にはどのような取り組みが求められるでしょうか。この記事では、DX人材の定義やいまDX人材が必要とされる理由、DX人材の採用時に見るべき応募者のスキルや資質などについて解説します。

 

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1、DX人材とは

DX人材とは何かを理解する前に、まずはDXの定義を把握しておきましょう。

DXとは、データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデル、業務プロセスや組織のあり方、企業文化までをも変革し、競争上の優位を確立しようとする概念のことです。

そして、これらの変革の実現に向けて主体的に取り組める人材がDX人材です。経済産業省が2018年に発表したDX推進ガイドラインの中では、「デジタル技術やデータ活用に精通した人材」「業務内容を詳しく把握しているだけでなく、デジタルで何ができるかを理解し、DX推進をリードする人材」などがDX人材の特徴として挙げられており、単にITスキルをもった人材だけを指しているのではないことがわかります。


2、DXを担う6業種

それでは、具体的にどのような業種がDX人材に当てはまるのでしょうか。独立行政法人情報処理推進機(IPA)では、DXを担う6業種とそれぞれの役割を以下のように定義しています。

①プロデューサー:DX推進を主導する
②ビジネスデザイナー:DX推進のための企画・立案を担う
③アークテクト:DXに関するシステムを設計できる
➃データサイエンティスト・AIエンジニア:DXに関するデジタル技術とデータ解析について熟知している
⑤UX・UIデザイナー:DXに関するシステムの利用者向けのデザインを担当する
⑥エンジニア・プログラマ:デジタルシステムの実装やインフラ構築を担う


3、DX人材が求められている理由

AIやIoTといったテクノロジーが進化し、インターネット上で提供されるサービスが拡大する中、製品やサービスの高度化が進んでいます。さらに、これら最新のデジタル技術を駆使して従来にないビジネスモデルを打ち出す新規参入者が市場に登場してきており、企業間の競争は激しさを増す一方です。

企業が競争力を維持して今後もビジネスを発展させていくためには、早期にDXを推し進め、業務改革を図っていくことが求められています。とはいえ、DXは一朝一夕に実現できるものではなく、最新技術に関する深い知見をもった人材が不可欠です。

しかしながら日本のIT人材は圧倒的に不足しており、経済産業省は2030年に45万人のIT人材が不足するという試算を発表しています。このような背景から、企業がDXを推進するためにまずはDX人材の確保と育成が急務となっているのです。

4、新卒でもDX人材獲得に乗り出す企業が増加

上述したように多くの企業でDX人材が不足しており、即戦力のある中途採用の人材だけでは必要な人材を確保し切れない状況が生まれています。この課題を打破しようと、大手企業を中心に新卒採用にDX人材の専門枠を設け、高額な報酬を提示して優秀なDX人材を獲得しようとする動きが加速しています。

実際に2022年春の新卒採用では、パナソニックがデータ分析に強い学生を、NTT西日本はセキュリティー関連のスキルを持つ学生を募集しています。他にも三井物産ではデジタル人材向けのインターンシップを実施してDXに強い学生の囲い込みを行っているなど、新卒社員からもDX人材の獲得に乗り出す企業が増えてきているのです。


5、DX人材採用時に見るべきスキルや資質

中途採用ではもちろん、社内育成を前提に新卒採用からDX人材の予備軍を募集する際にも、応募者の資質や成長可能性をチェックする必要があります。ここでは、DX人材の選考時に採用担当者が注目すべき応募者のスキルや資質について解説します。

資質①戦略的思考とビジョンを持てるかどうか

システムやデータを活用するためのスキルも必要ですが、ビジョンを自ら描き周囲を巻き込んで実行していく推進力と、現状での課題を明確にし、それを解決できる方法を考え出す戦略的思考力がなければDX推進を任せるのは困難です。

これらのスキルは、上述した「DX人材を担う6業種」でいうところのプロデューサーの役割に該当します。自社の課題を明らかにするには、社内業務だけでなくビジネスを業界やビジネスを取り巻く環境をしっかりと把握しておかなければなりません。周囲の協力を得るには、社内外のステークホルダーと良好な関係を構築して方向性を一致させる必要もあります。

資質②ITやデータサイエンスなどの知識

DX人材には、AIやIoTといった最新のIT技術を使いこなすスキルと、データサイエンスの知見が必要です。AIは車の自動運転やスマホの音声認識、ビッグデータを活用したマーケティングなど、さまざまな分野に取り入れられていますが、それを可能にするのが機械学習やデータ解析を専門とするAIエンジニアの存在です。

AIエンジニアには、主にAIの開発・実装を行うプログラミングのスキルと、IoTによって得られたビッグデータをAIで解析し、統計学の知識も応用してビジネスに役立つ情報を抽出するアナリティクスのスキルが求められます。

 

資質③プロジェクトマネジメント能力

DX推進においても、プロジェクトをマネジメントする能力が欠かせません。DXは単に新たなシステムを導入して完了するものではなく、場合によっては業務プロセスを再構築しなければならなかったり、クライアントの仕事にも影響が出たりします。

業務に関わる社内外の人と円滑な関係を築くためのコミュニケーション能力が必要になることはもちろん、プロジェクトの計画立案や進捗管理のスキルも求められます。全社規模の変革になることから、全体を俯瞰してさまざまな部署の調整を行い、問題が起こった時もその都度原因を追求して解決するなど、最後まで計画を遂行する能力が不可欠です。


6、DX人材の社内育成のポイント

DX人材をゼロから新たに確保するのは容易ではありません。新卒で採用したDX人材予備軍や、優秀な中堅社員の育成にも注力していくべきです。以下では、DX人材を社内育成する際のポイントを解説します。

①失敗を許容する体制を整備する

「失敗してはいけない」というプレッシャーはDX実現に向けた積極的な挑戦を阻害してしまい、スピード感を損なう原因となります。初めから全てが上手くいくとは考えず、失敗する前提で従業員が失敗を許容する体制整備を行うことが重要です。

それにはDX人材の成長やDXの進捗を可視化し、社内の全員が確認できるようにしておくことが効果的です。失敗体験も成功体験も両方を共有することで、DX実現に向けたマインドセットが全社的に醸成され、仮に失敗した取り組みがあっても次に活かせる反省材料として捉えられるようになります。

 

②OJTや学べる機会を増やす

従業員がDXに関する知識や技術を習得するための環境整備も行いましょう。研修など座学で知識を身につけることも大切ですが、DXを早期に実現するためにはOJTの機会を増やし、現場でしか得られない生きた経験を積んでもらう必要があります。

また、経営層が主導してDXを推進しようとしても、現場の従業員がDXに対して前向きなマインドセットを持っていなければなかなか現状は変わりません。何のためにDXに取り組むのかという意義と、DXが従業員にもたらすメリットを、トップがきちんと示し、現場の納得を得ることがDX成功の鍵といえます。

 

③スモールステップで取り組み、柔軟に修正する

DX人材育成の方法としても、アジャイル開発が有効です。アジャイル開発とは、システム開発などのプロジェクトに用いられる手法の一種で、機能単位の小規模なサイクルで計画から設計、開発、テストまで繰り返し行い、少しずつ開発を進めていくものです。はじめに厳密な要件設定を行わないため、開発に着手してからも柔軟に変更に対応することができます。

全機能の要件設定を事前に行ってから開発に入る従来型の開発方法と比較すると、開発のスピードを大幅に早められるメリットがあります。


7、まとめ

新規参入者が最新のデジタル技術を活用してこれまでにない革新的なビジネスモデルを打ち出す中、企業が生き残るためにはDXの実現が不可欠です。しかしながらDX人材を一から確保していくのは容易ではなく、多くの企業がDX人材の不足という課題を抱えています。

今後は経験豊富で即戦力になる中途社員だけでなく、ITやデジタルに知見をもつ学生の新卒採用にも注力していくべきです。また、採用後の社内教育の体制もあわせて整備し、長期的にDX人材を育成していくことも視野に入れる必要があるでしょう。

 

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