22年高卒内定率は? コロナ長期化で求人数と求職者数が減少 | 記事一覧 | 高卒採用Lab 高校生採用を科学する

22年高卒内定率は? コロナ長期化で求人数と求職者数が減少

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、高卒者の内定率にも変化が見られます。企業における求人活動では、現状を把握した上で戦略を立てることが不可欠です。本記事では、2022年高卒者の内定率を紹介するとともに、求人数や求職者率についても解説します。採用活動に役立てるためにも、ぜひ最後までご覧ください。

1、令和3年度卒業予定の高校生内定率は9月末で62%

厚生労働省が2021年11月に公表した、2022年3月卒業予定の高校生の就職内定率は62.0%(2021年9月末時点)でした。これは前年10月比で2.2ポイントのマイナスです。また求人数は約36万9,000人(同)となり、2019年の同時期と比較すると2割ほど減少しています。ここではこれらの数値に至った社会的要因や最近の傾向について紐解いていきます。

新型コロナで求人数が減少

新型コロナウイルスの影響を受けた2020年10月末時点の求人数は約37万人で、前年同期比で20.7ポイントも減少。この求人数の減少は11年ぶりのことでした。前述の2021年9月末の求人数はここから微減し、2年連続でマイナス傾向にあります。求人数の落ち込みは未だ回復の兆しが見えない状況です。

なお、2020年のデータ調査が10月末となった要因は、新型コロナウイルスの影響によって採用試験のスタートが例年よりも1ヵ月遅れたためです。このように、新型コロナウイルスの長期化は、高卒者の求人数にも影響を及ぼしています。

景気の悪化により、進学へと進路変更した高校生も

高校生の求職者数は、約13万8,000人(2021年9月末時点)となっており、前年10月比で9.2ポイント減少しています。これは過去35年間を振り返っても最も少ない数値であり、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年同時期と比較すると、2割も減少しています。この結果は、求人数の減少や先の見えない不安感から、大学や専門学校への進学や公務員への就職など進路変更した可能性が高いとみられています。

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2、都道府県別の比較

都道府県ごとの求人数や求職者数、内定率がどのような状況になっているのかを確認しておきましょう。ここでは2021年9月時点のデータと、前年同時期のデータを比較しながら解説します。

求人数

香川県における高卒者の求人数は3,559人(2021年9月時点)で、前年10月比で9.8ポイントのマイナスとなっています。一方、山梨県の求人数は2,363人(同)となっており、これは前年10月比で12.1ポイントの増加となっています。

なお、東京都の求人数は3万6,136人(同)で、前年10月比で7.1ポイント減少という結果になりました。そのほか、前年10月比でみると神奈川県が3.8ポイント減、千葉県が0.8ポイント減、埼玉県が3.0ポイント減など首都圏においてはいずれも減少傾向となっています。

また、関東地区の高卒者求人数は47,880人で、0.6%の減少となっています。ただし、関東地区の求人倍率は2.42倍で、前年10月比で0.22ポイント上昇という結果です。

求職者数

高卒者の求職者数に関しては、全都道府県において前年10月比で軒並み減少しています。特に、山形県の求職者数は2,016人で、前年10月比15.5ポイントのマイナスと大きく落ち込んでいます。また首都圏に関しても、東京都の求職者数は4,967人で12.4ポイント減、神奈川県の求職者数は4,259人で15.0ポイント減という結果でした。

内定率

就職内定率が最も高かったのは福井県で、81.2%(同)となっています。一方、就職内定率が最も低いのは沖縄県で、27.0%(同)と3割に満たない状況です。なお、東京都の就職内定率は46.9%で、前年10月と比較すると0.7%ポイントの減少となっています。

3、求人数の業種別比較

ここでは、業種別の求人数について確認します。まず、金融・保険業の求人数が2020年10月末時点と比べて16.1ポイント減少しました。また、新型コロナウイルスの影響を直に受け、感染対策の強化が特に求められる宿泊・飲食サービス業に関して、求人数は10.0ポイントのマイナスでした。生活関連サービス・娯楽業に関しても、8.3ポイントの減少となっています。

しかし、求人数が11万5,202人と全体の約3割を占めている製造業においては9.3ポイント増加しました。最も増加率が高かったのは29.6ポイント増の「ゴム製品製造業」で、次点に26.4ポイント増の「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が続きます。

加えて建設業の求人数も増えており、前年10月比で1,241人増加の7万1,770人で、増加率は1.8%でした。この結果からは、必ずしもすべての業種において求人数が落ち込んでいるわけではないことが分かります。

4、今後の見通し

高卒採用における今後の見通しはどのように捉えておくべきでしょうか。現在のところ、最終的な高卒者の就職内定率は、例年のように就職希望者のうち9割以上が内定を得られるだろうと予想されています。新型コロナウイルスの影響により、求人数は一時的に下がっていますが、それ以前の求人数は増加傾向にありました。そのため、新型コロナウイルスが収束するタイミングで、求人数は再び増えていくことが予想されます。

例えば、次年度の2022年度に新型コロナウイルスの影響が収まっていた場合、高卒採用における求人数の増加が期待できます。これまでにない変革の時を迎えている中、企業の高卒採用を推進する上で、今後に向けた種まきのチャンスの時期と言っても過言ではありません。

学校現場では生徒のよりよい未来に向けて、先生方が必死に就職支援を実施しています。しかし必ずしもすべての高校生が良い求人と巡り会えているわけではありません。そのため、積極的な求人活動を行い、各学校と良好な関係(母集団形成)が築ければ、高卒採用を安定的に実施することにもつながるでしょう。

併せて読みたい:母集団形成とは? 新卒採用での重要性や実現の方法を解説

5、まとめ

2021年9月時点の求人数や求職者数は、前年の同時期と比較して減少傾向にあります。一方、業種別で見ると製造業の求人数は、前年の同時期より9.3%増加しており、回復の兆しが見られます。現在は、未来の高卒者人材の採用に向けて、各高校への積極的な求人活動を行うことがポイントです。自社に興味関心を寄せる学生にしっかりと求人情報が届くように、高卒採用で実績のあるWebサイトや就職支援サービスなども有効に活用していきましょう。

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